- はじめに
- Chapter1 やってみよう!ソーシャルスキルミニアクティビティ
- 1 ソーシャルスキルアクティビティに求められるもの
- 2 ソーシャルスキル授業の基本的な進め方
- 3 道徳授業を使ったソーシャルスキルトレーニングの例
- 4 ソーシャルスキルアクティビティを通して育つもの
- 5 本書の使い方 長い目で見守ろう
- Chapter2 あそびを通して身につく!ソーシャルスキルミニアクティビティ70
- あいさつができる
- 01 ひと言を付け加えて,自分の思いを伝えよう!/あいさつにひと言
- [登校時/低・中学年]
- 02 表情から気持ちを察して声をかけよう!/あいさつプラス1
- [学級活動/中・高学年]
- 03 友達とジャンケンをして,気分よく帰ろう!/さよならジャンケン
- [帰りの会/低・中学年]
- 感謝できる
- 04 感謝を伝え合うことで,もっと仲良くなろう!/ありがとうって言えるかな?
- [掃除の時間/低学年]
- 05 感謝を伝える場面を広げよう!/10回のありがとう
- [学級活動・道徳/中・高学年]
- 06 ほめてもらって自分のよさに気づこう!/返事はいつも「ありがとう」
- [学級活動/高学年]
- 謝ることができる
- 07 「ごめんね」を伝えて仲良くなろう!/ケンケン相撲でごめんなさい
- [学級活動/低学年]
- 08 すぐに伝えよう!/わざとじゃなかったんだよ
- [学級活動/中・高学年]
- 09 理不尽への対処法を考えよう!/こんなとき,どうする?
- [学級活動/高学年]
- 自己紹介する
- 10 身振り手振りで問題を出そう!/ジェスチャー自己紹介
- [学級開き/全学年]
- 11 みんなの印象に残そう!/名前の由来自己紹介
- [学級開き・生活科/全学年]
- 12 個性を伝えてみんなに知ってもらおう!/こんなふうにかかわってね
- [学級開き/中・高学年]
- 質問する
- 13 工夫してカードの答えを当てよう!/5回で当てよう!
- [学級活動/全学年]
- 14 イエス・ノーで答えられる質問を考えよう!/わたしは誰でしょう?
- [学級活動/中・高学年]
- 15 身振り手振りを使って同じカードで集まろう!/ジェスチャー仲間集め
- [学級活動/全学年]
- 礼儀・マナーを知る
- 16 職員室を訪ねる際のマナーを知ろう!/職員室へGO
- [学級活動/低・中学年]
- 17 足音を立てずにトイレに行こう!/忍者でトイレ
- [朝の会など/低学年]
- 18 困ったときの対処法を学ぼう!/忘れたときにはどうするの?
- [学級活動/低・中学年]
- 褒める・あったか言葉を知る
- 19 様々な言葉の中から,よい言葉を探そう!/あったか言葉を救え!
- [国語や道徳/低学年]
- 20 褒め合うことで自信を高めよう!/日直ほめほめ大作戦
- [帰りの会/全学年]
- 21 あったか言葉やチクチク言葉を温度計に表そう!/言葉の温度計
- [学級活動/中・高学年]
- 問題を解決する
- 22 自分たちで解決できる問題を考えてみよう!/助けて!助けて!
- [学級活動/低・中学年]
- 23 教室や廊下に落ちている物を届けよう!/持ち主を探せ!
- [学級活動/低・中学年]
- 24 こんなときにどうするかを考えておこう!/危機管理マニュアルづくり
- [学級活動/中・高学年]
- 注目する
- 25 コダーイのハンドサインでドレミを歌おう!/ハンドサインでドレミ
- [音楽/全学年]
- 26 友達の口の動きから言葉をイメージしよう!/口パク伝言
- [帰りの会・学級活動/高学年]
- 27 手話で感情を伝えてみよう!/どんな気持ちかな?
- [学級活動/低・中学年]
- 28 手元をよく見て,言葉を感じよう!/空書き伝言
- [学級活動/中・高学年]
- 29 カードの中の何が消えたのかを当てよう!/ミッシングゲーム
- [学級活動/全学年]
- 30 バラバラに並んだ4つの漢字から当てよう!/熟語探偵
- [学級活動・国語/高学年]
- 耳をすます
- 31 順番通りに覚えよう!/誰が出てきたのかな?
- [朝の会/低・中学年]
- 32 短い言葉を聞いただけで反対から読もう!/下から読んだら?
- [学級活動・帰りの会/全学年]
- 33 リズムをよく聴いて,真似て叩こう!/まねしてトントン
- [朝の会・音楽/低・中学年]
- 34 歌いながらリズムに合わせて手を叩こう!/2拍目手拍子
- [朝の会・帰りの会/低学年]
- 35 4拍のリズムを友達に伝えてみよう!/リズム伝言
- [音楽・朝の会や帰りの会/全学年]
- 36 太鼓の音の数を聴いて仲間を集めよう!/友達集めてハイ,ポーズ
- [学級活動/低・中学年]
- 37 アイマスクをした友達を,声で誘導しよう!/一緒にゴール
- [学級活動・総合的な学習の時間/高学年]
- 気持ちをコントロールする
- 38 負けても「ま,いいか」で乗り切ろう!/勝ち抜きジャンケン
- [学級活動/低・中学年]
- 39 あきらめずにやってみよう!/大逆転!ジャンケン陣地取り
- [学級活動/全学年]
- 40 きれいなまま友達に紙を送ろう!/シワにしないで!
- [帰りの会/低・中学年]
- 友達と心を合わせる
- 41 そろえることの楽しさを味わおう!/リズム読み
- [朝の会/全学年]
- 42 お道具箱でキャッチしよう!/おはじきシュート
- [学級活動/中・高学年]
- 43 知恵を出し合い,声をかけ合ってひっくり返ろう!/みんなでなべなべ
- [学級活動・音楽/低・中学年]
- 44 知恵を出し合ってジェスチャーしよう!/チームジェスチャー
- [学級活動・帰りの会/中・高学年]
- 45 みんなで100回連続を目指そう!/順番風船バレーボール
- [学級活動・体育/全学年]
- 46 2人で暗号を解きながら計算しよう!/暗号かけ算
- [算数・学級活動/全学年]
- 47 点をつないで絵を描こう!/ドットからドットまで
- [学級活動/低・中学年]
- 48 漢字の音を組み合わせてカタカナ言葉を表そう!/これ,読めるかな?
- [学級活動・国語/中・高学年]
- 49 言葉を一周させよう!/地名しりとり
- [学級活動/中・高学年]
- 50 オリジナルカードをそろえよう!/絵カードで神経衰弱
- [学級活動/全学年]
- 動きを察する
- 51 言葉と同じ動きや違う動きをしてみよう!/みーんないっしょ!
- [体育・学級活動/低・中学年]
- 52 床の線上だけを歩いて逃げ切ろう!/線を歩いて鬼ごっこ
- [学級活動・体育/低・中学年]
- 53 友達と距離を置いて追いかけっこをしよう!/離れて鬼ごっこ
- [体育・学級活動/中・高学年]
- 54 友達の影のように,同じ動きをしよう!/シンクロナイズドパフォーマンス
- [体育・学級活動/全学年]
- 55 仲間が投げ上げた玉を捕ろう!/紅白玉キャッチ
- [学級活動/低・中学年]
- 56 相手が出すカードを予測してカードを出そう!/カードをさぐれ!
- [学級活動・休み時間/高学年]
- 器用さを培う
- 57 円や8の字の形の上をいろんな向きで歩こう!/逆モーション歩き
- [学級活動・体育/全学年]
- 58 一筆書きの模様を,逆向きに描こう!/ゴールからスタートへ
- [学級活動/中・高学年]
- 59 線対称な絵を描いてみよう!/両手でかけるかな?
- [学級活動/全学年]
- 60 いろんな動きで歩き回ろう!/動物に変身だ!
- [学級活動・体育/低学年]
- 61 座ったまま前に進もう!/雑巾ウォーク鬼ごっこ
- [体育・学級活動/低・中学年]
- 62 机の下を,机の脚に触れずにくぐろう!/机くぐり
- [学級活動/低・中学年]
- 63 ゴム紐に触れずにくぐり抜けよう!/ミッションコンプリート
- [体育・学級活動/全学年]
- 64 穴のあいた新聞紙を,破かないようにくぐろう!/新聞輪くぐり
- [学級活動/全学年]
- 65 どれだけ長くできるかな?/新聞紙をつなげ!
- [学級活動/全学年]
- 66 裸足で,新聞紙の上を破かないように歩こう!/新聞渡り
- [学級活動/低・中学年]
- 67 呼吸を合わせてボールを運ぼう!/紙筒でボール運び
- [学級活動/全学年]
- 68 折り方や飛ばし方を工夫して飛ばそう!/紙飛行機大会
- [学級活動/低・中学年]
- 69 紙吹雪を,より多く受け止めよう!/花咲じいさん
- [学級活動/中・高学年]
- 70 床に散らばった宝を,アイマスクをして見つけよう!/足で宝探し
- [学級活動/中・高学年]
- おわりに
はじめに
長年に渡って教師生活を続け,数多くの子どもたちとかかわる中で,最近特にふたつの点が気になっています。
ひとつ目は,ソーシャルディスタンスという考え方が浸透した結果,人とのかかわりが薄くなったという点です。それは,主に友達同士の関係に影響を与えていると感じます。大人が相手であれば気楽にかかわったり話したりできるのに,友達に対しては思うようなかかわり方ができない姿を目にするようになりました。
例えば,自分の机の上に友達の物が置かれていたり配られていたりすることは,よくあることです。以前であれば,それらは何事もなかったように持ち主のところに届けられました。しかし,「先生,これは私のではありません」とわざわざ教師の元へ持ってくるようなことがあるのです。
「□□さんの名前が書いてあるのだから,届けてあげたら喜ぶと思いますよ」と伝えると,そうすれば良かったのかと驚くような表情を見せます。そんなとき,こういった些細なことも,学ばせていく必要があるのだと考えさせられます。
ふたつ目は,教師の説明を聞いたり黙々とノートを取ったりするような授業に,魅力を感じにくい子どもたちが増えている点です。その背景には,世の中がコンテンツに溢れ,ゲーム等に興じる子どもたちが急増し,ゲーム感覚でないと楽しみを見出しにくくなっているという実態があるのでしょう。
しかし,それは悪いことばかりではありません。つまり,ワクワクしたりドキドキしたりするような授業を行うことさえできれば,彼らの意欲的な学びを引き出せるというヒントを,私たちに与えてくれているからです。
ところで,このような気になる点がある一方で,私が若いころに出会った子どもたちと比べて,非常に頼もしいと思う点もあります。幼いころから膨大な情報量の中で育ってきているせいか,言葉の使い方をよく知っているのです。もちろん,経験や体験に裏付けされていない表現をしがちなこともありますが,言葉で表現する力があることは大きな利点であると感じています。
あるとき,低学年の子どもが私に話しかけてきました。
「先生,○○さんから避けられているように感じるんです。話しかけようとしても上手くいかないので,助けてもらえませんか」
それで○○さんを説得して,ふたりが話し合えるような場を設けました。するとその子どもは,しっかりと相手を見て話し出しました。
「○○さんと話そうと思うんだけど,まるで磁石のように近づくと離れていってしまうでしょ。何か嫌なことがあったなら謝るから,理由を教えてもらえませんか」
若いころの私なら,○○さんから直接話を聞き出したり,勝手な思い込みで謝罪させたりしたかもしれません。しかし,幼い子ども同士であっても思いを伝え合う様子を目の当たりにして,そういう解決の仕方の未熟さに気づかされました。
このように,子どもたちは課題も素晴らしさも持ち合わせながら,泣いたり笑ったり,喧嘩をしたり仲直りをしたりしながら楽しく生活しています。私は,そんな子どもたちとかかわるのが大好きです。
そこで,彼らが社会の中で生きていくための力をさらに伸ばしていってほしいと願い,この本を書きました。
教師の皆さんがふと思い立ったときに,気楽に取り組んでいただければ嬉しいです。そして,子どもたちが人とかかわることが楽しいと思いながら育っていってくれることを,願ってやみません。
2022年5月 /荒畑 美貴子
-
- 明治図書