- はじめに
- 序章 「ありがとう!」があふれるクラスはあたたかい
- 第1章 物を大切にする心を育む「筆箱」大作戦
- もったいない!落とし物
- 落とし物bPは毎年「鉛筆」
- カンボジアの小学校を視察して受けた衝撃
- 鉛筆は何からできている?
- 鉛筆の終わりを意識しよう
- 名前をつければ鉛筆に愛着がわいてくる
- 誰の鉛筆か,級友は知っている!
- 使い終わった鉛筆でつくるメモリアル教室掲示
- 鉛筆を大切に使って育まれた子どもの心
- 転がりやすく名前が書きにくい消しゴム
- 消しゴムの「決め台詞」が輝く教室掲示
- 消しゴムを大切に使って育まれた子どもの心
- マンネリを防ぐ「筆箱」定期チェック
- 物があふれる今だからこそ身近な物を大切に
- 第2章 使い捨てをなくす「ごみ箱」大作戦
- 捨てるより畳んでリサイクル
- 紙は木からの贈り物
- 木を大切にしてきた日本人
- ごみから葉書をつくる紙漉き体験
- 紙のリサイクルで育まれた子どもの心
- 第3章 クラスメイトを親友にする「サンキューカード」大作戦
- 「サンキューカード」って?
- 手紙のやりとりが「大好き女子」と「慣れない男子」
- 手紙を「渡す」「もらう」ときのマナー
- サンキューカードで「幸せ」教室掲示
- マンネリ化と枚数格差を防ぐ工夫
- サンキューカードのまとめ方
- 実はサンキューカードに「はまる」男子
- サンキューカードに取り組んで育まれた子どもの心
- 第4章 自治的なクラスをつくる「係活動」大作戦
- 自分たちで動ける集団への成長を願う
- 1人1役「係活動」からの脱却
- 言葉を交わして関係を深める「学級づくり」
- 自分たちの「教室」をつくっていく
- 活動のマンネリ化を防ぐ工夫
- 何をすべきか考え行動する
- 「学級づくり」で生まれた子どもの思い
- 第5章 社会で生きてはたらく「登下校ごみ拾い」大作戦
- 教師がまずはやって見せる
- 登下校のごみ拾いにチャレンジ
- 子どものやる気を生む地域のあたたかい声
- 「一緒に活動する」から生まれる友情
- ごみがなくなり始める!
- ごみ拾いを続けて育まれた子どもの心
- 第6章 尊敬の念を学ぶ「お」大作戦
- 単語の前に「お」をつけたら?
- 普通は捨てる「野菜の根っこ」を育てる
- リサイクル野菜で調理実習
- 育てたものをいただくことで育まれた子どもの心
- 第7章 立つ鳥跡を濁さず…「特別教室」大作戦
- 特別教室は来たときよりも美しく整理整頓
- 感謝を込めて年度末の大掃除
- おわりに
はじめに
悩み・学び・実践を繰り返した末に……。
一般的な会社員と違い,教師は大学卒業後すぐに(4月1日から)担任を任せられる。新入社員なのに経営者としての1年がスタートする。新人研修が始まる前に学級をまとめる経営者となる。
だからこそ,一般の会社以上に自主的な学びが必要なのだ。学校は授業(教科)だけを行えばよいのではない。掃除の仕方や給食の盛りつけ,食べ方,廊下の歩き方まで教える。子どもへ指導することを書き出すとキリがない。各学年に応じて教えていく必要がある。
学級担任は学級の責任者である。しかも,学級経営という言葉から考えると,学級の経営者である。経営者である以上,その学級をどう成長させ,つくっていくか。経営者である学級担任にかかってくる。赤字(子どもにとってマイナスの1年)を出すわけにはいかない。黒字(子どもにとってプラスの1年)を出したい。学級においての業績は,まさに1人1人の子どもの成長であると頭ではわかっていたが……。
小学校は登校から下校まで学級と向き合い,学級の子どもと関わり合う。朝から夕方まで笑ったり怒ったりと一息つく暇がほとんどない。仕事は山のようにある。特に小学校は全教科が対象となる。明日の授業準備だけでもキリがない。授業準備や校務分掌の仕事は朝や放課後に行うが,日中は目の前にいる子の発言・行動で仕事が次々と生まれる。
仕事に追われ,自分自身が教師を目指した熱意が段々と薄れていった。何かを行えば仕事が増えた。仕事を増やしたくない。これ以上できないといった後ろ向きの考え方に変わっていく自分がいた。そんなときは,やっつけ仕事が多くなり,遅くまで働いているのに,うまくいかないことが続いた。情熱をもって教師の道を選んだはずなのに,何をやってもぶれている気がした。
このままでは駄目だ。同じ教育関係者だけでなく,様々な分野で活躍されている方(企業,スポーツ界等)の話を聞いたり,本を読んだりした。
その学びは自分への気づきをもたらしてくれた。一流の方々には共通点があった。当たり前の話かもしれないが,一流の方は一本筋が通っており,話がぶれないからわかりやすく,面白い。自分には「道」というべきか,「柱」というべきものがなかった。
そこで,まず私は一つの柱を立て,そこから枝葉を増やし,大地に根をはる大木を思い描いた。大木をつくるイメージで自分の教師生活を送っていこうと決意したのが29歳になったときだった。
中でも,「日本を美しくする会」の相談役である鍵山秀三郎先生の「凡事徹底」という考え方が心に突き刺さった。それ以来,憧れの人となった。
私は,もっと感謝の気持ちを持たなくてはと強く思った。そこで,自分自身の柱を「感謝」と決め,自分が何かをつくり出すとき,何かに困ったときには「感謝」という柱から物事を考えることにした。
「感謝」を具体的な言葉に表すと「ありがとう」がすぐに頭の中に浮かんだ。「ありがとう」が溢れる,飛び交う学級をつくろう。そのための一人作戦会議が自分の中で始まった。「感謝」という柱が立つと,色々なものや出来事が感謝の枝葉として見えてきた。
何か特別なことをするのではなく,当たり前のことを当たり前に毎日丁寧に繰り返し行う。何でも継続していくことが大切であることを「凡事徹底」の教えから学び,無理なく毎日できることを積み重ねていこうと思った。
2017年8月 /河邊 昌之
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- 明治図書
- 学級経営の参考として使いたかったが、少し学級経営としてはずれている気がした。しかし、指導には使えるところもある。2017/10/2920代・小学校教員