- 刊行にあたって /金森 克浩
- 特集 学習のユニバーサルデザインにATを活用しよう
- ―小・中学校で使える教材と支援機器―
- 理論編
- (1) 発達障害のある子どもに使える教材教具 /梅田 真理
- 〜使ったらできた!「できた」体験を味わわせるために〜
- (2) 支援機器活用で変わる!読み書きの困難な子どもの学習 /河野 俊寛
- (3) 眼鏡のようにタブレットPCを活用しよう /井上 賞子
- 〜自閉症・情緒障害特別支援学級での実践から〜
- 実践事例編
- 学校全体での取り組み
- (1) 事例1 さまざまな場面でニーズに合わせたデジタル教材の活用 /原田 浩司
- (2) 事例2 すべての子どもたちに最善の学びを /五十嵐 俊子
- 通常の学級での取り組み
- (3) 事例3 中学校理科におけるAT(支援技術) /八木 悟
- 通級指導教室での取り組み
- (4) 事例4 「動きを通した自己制御・自己統制・自己コントロール」を目指す! /沼田 敦
- (5) 事例5 子どもの自信を育む漢字の読み指導 /川村 修弘
- (6) 事例6 「できるようになりたい!」を支援するAT /山下 公司
- 特別支援学級での取り組み
- (7) 事例7 発達に差がある学級の教材の工夫 /田辺 敦子
- (8) 事例8 できた!わかった!ICT活用で達成感のある授業づくり /伊東 尚子
- (9) 事例9 電子黒板を使っての授業づくり /相澤 悦子
- ミニ特集 どうなる?!電子教科書の行方―調査研究最前線―
- 文部科学省の調査研究より
- (1) 障害のある児童生徒のための教材配布インフラ構築に関する研究 /近藤 武夫
- (2) 「音声による教科用特定図書等や教材の在り方及びそれらを利用した効果的な指導方法や教育効果等に関する実証実験」について /藤堂 栄子
- (3) 発達障害等に適する電子教科書と教材の研究について /野村 美佐子
- 情報コーナー
- Webサイト 発達障害教育情報センター /佐藤 肇
- 研究会案内 なんとカンファレンス /村瀬 直樹
- 海外情報 米国で見た支援技術の実際 /上野 一彦
- 知っておきたいAT用語 いまさら聞けないAT用語をピックアップ /大森 直也
- 一度は手にしたい本 /中鉢 宏子
- 『タブレットPC・スマホ時代の子どもの教育』(中邑賢龍・近藤武夫 編著)
- 『発達障害の子を育てる本 ケータイ・パソコン活用編』(中邑賢龍・近藤武夫 監修)
- 編集後記 /金森 克浩
刊行にあたって
〔実践〕特別支援教育とAT(アシスティブテクノロジー)第3集
特集 学習のユニバーサルデザインにATを活用しよう―小・中学校で使える教材と支援機器―
文部科学省は平成24年に「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」という報告書を出しました。障害のない子どもも,障害のある子どもも共に学ぶためのこれからの教育の方向性を示しているものです。
しかし,現実にはどうでしょうか? 発達障害があるまたは,その疑いがあるというだけで学習に困難を示す子どもたちへの教育が,十分におこなわれてはいない場合もあるようです。彼らの特性を理解し,その力を高めるためには社会的な環境整備や理解啓発などソフト面の充実も必要ですが,それを支えるためのハード面もまた,大変重要だと考えています。
つまり,学びやすくするための「基礎的環境整備」や「合理的配慮」として,工夫や配慮された学習の教材を有効に活用する必要があります。私たちが見えづらかったら眼鏡をかけるように,コンピュータなどは学習や生活上の困難を支える支援機器にもなりうると思っています。
今回の特集では,そういった様々な教材を紹介していただきました。そして,近年広がりを見せるiPadを中心としたハイテク機器の効果的な活用法についても紹介していただきました。ローテクな紙の教材からICT機器まで,学びにくさを感じる子どもたちへの様々な活用事例を通し,その可能性を学校現場にいる多くの先生方に知っていただきたいと考えています。
通常の学級の中においてもどの子も同じではなく,様々な特性を持った子どもたちが共に学んでいます。より多くの子どもたちが参加できるために「学習のユニバーサルデザイン」という言葉が近年よく聞かれるようになりました。ここで紹介するような教材やICT機器はその,学習のユニバーサルデザインを支えるものです。そして,それらは診断を受けるほどではないが,学び方に時間のかかる「スローラーナー」といわれる子どもたちにも,有効なものだと考えています。
編集代表 /金森 克浩
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- 明治図書
- 指導上の参考になった2016/1/230代・男性