- プロローグ 「同じことをしているのに、うまくいかない」
- 1章 クラスがまとまる!うまくいく! 知っておきたい「ヒドゥンカリキュラム」
- 「ヒドゥンカリキュラム」とは何か
- ヒドゥンカリキュラムが教育を決定づける
- 自分の個性に合わせたヒドゥンカリキュラムをつくろう
- 優れた実践家のヒドゥンカリキュラムの共通点とは?
- 2章 トラブルを防ぐ!対応する! 目的別・実例でわかるヒドゥンカリキュラム
- Scene1 【学級経営】学級がなんだかぎすぎすしている 学級にプラスの風を送るヒドゥンカリキュラム10
- 1 機嫌よく笑顔で暮らす
- 2 さわやかな声を意識する
- 3 怒鳴らず、落ち着いた声で話す
- 4 教室をきれいにする
- 5 掲示物には子どもの悪いことを書かない
- 6 ロッカーを整理整頓する
- 7 子どもの失敗をフォローする
- 8 教室に音楽や歌がある
- 9 笑いをとる
- 10 空気を入れ換える
- Scene2 【個別対応】学級に気になる子どもがいる 気になるあの子を包み込むヒドゥンカリキュラム10
- 1 やっぱり笑顔が一番
- 2 清潔感がある
- 3 子どもと同じ目線に立つ
- 4 横から言葉を入れる
- 5 聞いたことをあたためる
- 6 他の子からの評価に耳を傾ける
- 7 口が堅い
- 8 「大切に思っている」ことを口にする
- 9 言われなくても悟る
- 10 信念がある
- Scene3 【授業づくり】聴くことに集中できない 聴く子どもが増えるヒドゥンカリキュラム10
- 1 子どもの目を見て話す
- 2 細かな反応をしながら聞く
- 3 明るい話し方ができる
- 4 引くのも聞くコツ
- 5 オウム返しをしない
- 6 説得力がある話し方をする
- 7 読み聞かせの力がある
- 8 小ネタを持つ
- 9 教師の知恵袋を持つ
- 10 聞き合うためのアドバイスができる
- Scene4 【保護者対応】保護者とのトラブル発生 学校と家庭が協力し合えるヒドゥンカリキュラム10
- 1 クジラ聞きができる
- 2 相手の目を見て会話をする
- 3 先手必勝の意識が高い
- 4 子どもを褒めることができる
- 5 具体的な事実で語る
- 6 保護者会はライブである
- 7 参観授業を意識する
- 8 タイトルで通信を読ませる
- 9 威厳がある
- 10 可愛げがある
- Scene5 【学級崩壊】授業が成立しなくなる前に 授業成立の布石となるヒドゥンカリキュラム10
- 1 第一声の直前の空気を読む
- 2 注意ではなく、手をかける
- 3 待つ時間をとる
- 4 マイナスをプラスに転じる
- 5 侮辱を「訴え」ととらえる
- 6 遅刻なし、延長なし
- 7 おもしろい授業ネタを持っている
- 8 授業形式にバリエーションがある
- 9 「後で」という言葉に責任を持つ
- 10 子どもを追い込む「怖さ」がある
- Scene6 【子ども理解】子どものことが分からない 子どもを見る観点となるヒドゥンカリキュラム10
- 1 服装と髪型に目を止める
- 2 学校での生活圏を知る
- 3 「一人」か「独り」かを見る
- 4 笑いの質を見抜く
- 5 表情を変化でとらえる
- 6 鳥瞰できる
- 7 距離をうまくとる
- 8 背景という観点を持つ
- 9 良い子の時間を探す
- 10 言葉の裏を見抜く
- Scene7 【教師力アップ】学級を崩しているのに気づかない 教師が発するマイナスのヒドゥンカリキュラム10
- 1 不機嫌さを露骨に表す
- 2 お願いしやすい子どもにばかり頼んでいる
- 3 冗談が独りよがりになっている
- 4 ひとこと皮肉を言ってしまう
- 5 子どもをからかう
- 6 ごまかしをする
- 7 マイナス点にこだわる
- 8 人権意識がない
- 9 しょっちゅう、ぶれる
- 10 物事への関心が薄い
- 3章 ヒドゥンカリキュラムを使いこなすには
- 若いうちに身に付けたい仕事観
- 若手だからこそできること、できないこと
- 困ったときは、どうしたらいいの?
- ベテランや先輩との付き合い方
- 力量を高めるためにするべきこと
- 人間として、ふつうの暮らしを歩もう
- エピローグ
プロローグ 「同じことをしているのに、うまくいかない」
「本に書いてある通りにやっているのに、うまくいきません。」
「先輩の言う通りにしてみたが、どうも教えられたようにはいかない。」
「セミナーで教わったことと、自分のやっていることとは、どうも違っているような気がする。」
というような経験をされたことは、ありませんか。
実は、優秀なベテランは、見えないところで、いろいろな細かいてだてをしています。それによって、授業がスムースにいったり、子どもが動きやすくなったりしているということを、まず、知っておきましょう。その差は、思っているよりも、ずっと大きなものです。だから、「同じことをしている」のに、うまくいかないということが、起こるのです。
また、若いときは、自分のしていることがうまくいっていると思い込むことが、よくあります。評価する基準があまいからです。
若いときは、気づかないことが山ほどあります。
子どもに嫌われているのに、自分では好かれていると思い込んでいる教師を、たくさん見てきました。いわゆる「裸の王様」ですね。いつも、自分もそうではないかという恐れを持って、教育をしてきました。
では、本を読んだり、講座を聞いたりすることに意味がないのか、というと、そうではありません。
優秀なベテラン教師たちの実践には、いつもはっきりと見えにくいところでのヒドゥンカリキュラム(かくれたカリキュラム)〔この言葉の定義は、1章に詳しく書いてありますが、「目に見えている以外の教育力が働いていること」〕があるのだということを頭に置いて、実践を聞き、学び、追試していけば良いのです。
自分は優秀な教師です、などということはとても言えません。しかし、僕は僕なりに学んで身に付けたことが、たくさんあります。そして、そのことが、子どもたちの育ちに大きく影響したことを知っています。
さらに、多くの教師たちと交わって、優れた実践家のヒドゥンカリキュラムを見てきました。その一部だけでも、伝えることができたら、若い先生たちの教室に活かすことができるのではないかと考えて、この本を書きました。
教室でいろいろなことに悩むのが教師です。子どもへの対応、保護者への対応、何がうまくいかないのか、悩む日々の方が多いものです。ベテランは悩んでいないなどということは、決してありません。悩みながら、いつの間にか多くの教師たちと交わって、自分なりのヒドゥンカリキュラムをつくりあげていくものなのです。
この本に書かれたことをすべてしようと思ってはいけません。
今、自分のできることや、自分が気づいていなかったことを見つけましょう。そして、自分のキャラクターに合ったヒドゥンカリキュラムをつくりあげていってほしいと願っています。
今、学級の荒れが問題になっていて、いろいろなところで学級崩壊の起きている時代です。ヒドゥンカリキュラムへの意識的なアプローチが必要なときではないでしょうか。
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