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ヒドゥンカリキュラムとは、指導案にも授業計画にも発問計画にも書かれない潜在的教育効果のことです。全ての教師は、それぞれのヒドゥンカリキュラムを持っていて、プラスにもマイナスにも働いて、大きな結果に結びついてしまうことがあるのです。優れた教師は、ほとんどみな、このヒドゥンカリキュラムを意識して使っています。
「Scene7 学級を崩しているのに気づかない 教師が発するマイナスのヒドゥンカリキュラム10」であげた、次の10のヒドゥンカリキュラムです。
- 不機嫌さを露骨に表す
- お願いしやすい子どもにばかり頼んでいる
- 冗談が独りよがりになっている
- ひとこと皮肉を言ってしまう
- 子どもをからかう
- ごまかしをする
- マイナス点にこだわる
- 人権意識がない
- しょっちゅう、ぶれる
- 物事への関心が薄い
これらは、気づかずにしてしまうマイナスのことばかりです。たくさんの若手が、いや、若手じゃなくても、やっています。こういうことは、直した方がいいですね。子どもの信頼を日々、失いますから。
正直、そんな魔法はありません。崩れかけたら、何をしても裏目に出ます。
それでも、学級にプラスの風を送らなければなりません。具体的にできることを、せめてしていくしかないのです。そういう意味では、
・怒鳴らず、落ち着いた声で話す
・教室をきれいにする
・掲示物には子どもの悪いことを書かない
・ロッカーを整理整頓する
・空気を入れ換える
の5つなら、荒れ始めてもできることですね。
先の「教師が発するマイナスのヒドゥンカリキュラム」であげた、「子どもをからかう」ですね。
初任で帰国子女学級を担任しました。4年生の6人の担任。野球をして一緒に遊んでいたときに、一人の子どもがなかなか打席でバットを振らないので、「はやく打てよ。ほらほら。」というように笑いました。すると、彼は泣きだしてしまったので、「自分が打てないから泣くのはずるいぞ。」と言いました。そのとき、彼は「そうじゃない。泣いたのは、先生が笑ったから。」と言いました。公立の学校へ一度入って、言葉などでからかわれて、ぼろぼろの気持ちでやってきた子どものことを、僕はからかったのですね。
今でも、痛い痛い思い出です。
学級がしんどい、なんだかうまくいかない、学校へ行くのがつらくなる…。毎年のように、こんな先生方の悩みを聞きます。今の時代、一度や二度、学級が崩れたって、どうってことはありません。その子どもたちには申し訳ないけれども、その失敗を背負って、次の自分を目指してほしいと思います。少しずつ、自分の力をつけて、積み重ねていくのです。大切なのは、自分に気づくと言うことなのです。そのためにこの本が少しでも役立てば、うれしいですね。
- 2014年3月22日:多賀一郎・長瀬拓也の0から学べるヒドゥンカリキュラムセミナー(要事前申込)
http://www.meijitosho.co.jp/eduzine/study/?id=20140163