- はじめに
- 第1章 なぜ、「探究」が必要なのか
- 1 そもそも探究とは
- 2 探究を整理する
- 3 なぜ今、探究なのか
- 4 探究的な学びで変わる生徒たち
- 5 探究的な学びに取り組むことで教員も成長する
- 第2章 「探究的な学び」に必要な教師の思考
- 1 [大前提]最も大事なことはHOWではなくWHY
- 2 [授業デザイン]逆向き設計で個に応じて進められる仕組みをつくっていく
- 3 [課題設定]生徒のマイテーマを育てる視点を大切に
- 4 [情報収集・整理分析]調べ学習からさらに新たな課題へ
- 5 [発表・まとめ]発表会はゴールではなく大切なプロセス
- 6 [ふりかえり]ふりかえりは未来のために行う
- 7 [評価]より良い評価を「みんなで」つくっていく
- 8 [教員同士の協働]協働は覚悟や志の共有から始まる
- 9 [探究的な学習の指導]教員の伴走によって生徒は探究を深める
- 10 [教科と探究の接続]教科と探究で学びをストーリーにする
- 11 [教科の授業づくり]「問い」で教科の授業を探究的にする
- 12 [指導のスタンス]失敗から成長できる教員になるために
- 第3章 「探究」を引き出す学びのモデル
- 1 問いを立てる授業
- 生徒が学ぶ意味を探究し、学ぶ意味を自ら発見する
- 2 マイプロのスモールステップ「ちょこプロ」
- 探究を促進するプロセスと外部連携
- 3 トップ層の育成としての探究から、裾野の拡大へ
- 主体的に行動するオモロイ18歳への脱皮
- 4 「探究」と教科の授業をつなぐ
- 問いづくりを通して、自己の在り方生き方を考える
- 5 探究×教科の基礎
- 教科書を読む授業で探究する力の基礎を育てる
- 6 歴史教育と探究活動
- 共に学び、共に成長するために必要なこととは
- 7 「文学」×「学問」
- 文学作品読解×地域を超えた学びで探究的視座を育てる
- 8 生徒の主体性を軸にした研究的な学び
- 自分もみんなも幸せになる未来をつくる
- 9 探究を推進する令和の校長像
- 探究を軸にした学校づくり
- 10 中学校におけるPBL
- 「学ぶ意義」を「社会」との接点から捉える
- おわりに
- 執筆者一覧
はじめに
2022年度から高等学校でも新学習指導要領が始まり、探究に注目が集まっています。本書は特に次のような先生方をイメージして執筆しました。
・そもそもなぜ今、探究が大事なのかわからない
・探究の重要性はわかっているものの、どのように取り組めばよいのかわからない
・学校全体で探究を進めたいけど難しい
・探究の視点を取り入れて、授業や教師としての在り方改善を図りたい
・中学校や高校での実践事例が知りたい
本書は第1章と第2章が理論編、第3章が実践編になっています。第1章ではなぜ探究が必要なのかについて、これからの社会、探究による生徒や教員の変化なども交えて書きました。第2章では探究に必要な教師の思考について、12の視点で書きました。第3章は教科での授業実践や総合的な探究の時間の実践はもちろん、探究を核とした学校経営や、中学校の実践、大学の挑戦も紹介しています。実践紹介については、執筆者が所属している組織ではなく、考え方や試行錯誤に焦点が当たることを意識しています。執筆者のその人らしさが伝わればと思います。
執筆者の所属している組織は中学校・高校・大学と多様で、地域も様々です。公立・私立という違いもありますし、若手の担任から校長先生まで、学校での立場も様々です。しかしそれぞれの立場で目の前の生徒を見て、より良い教育、より良い授業を探究しているという点では共通しています。おそらく読者のみなさんは、その他にも執筆者に共通するものがあることに気づかれるのではないでしょうか。
学校はある一つの取り組みから変わっていきます。学習指導要領はどこかの実践が形になったもので、一つの教室の実践が日本の教育を変えていくのです。学校は未来をつくる場所ですが、未来はある教室での先生と生徒の探究からつくられていきます。本書をきっかけとして、読者のみなさんと一緒に未来をつくっていくことができれば幸いです。
本書はどこから読み始めてもよい構成になっています。気になったところから読み始めてください。一緒に探究を探究しましょう。
/酒井 淳平
やはり、本質を考える人は「なぜ」から出発するのだと思いました。
探究のやり方的な本は巷に溢れているので、本書のような考え方レベルから学べる本はとても重要だと思います。
特に第2章「『探究的な学び』に必要な教師の思考」では、自分のモヤモヤなら対する回答がいくつもあり、探究的な学びの解像度が上がりました。
教員が「学習指導要領で示されているからやる」といった受け身の姿勢ではなく、自らが探究者となることがスタートですね。
勇気を貰える一冊でした。
「探究的な学びについて学び始めたけど、自信がない」人にお薦めしたい本です。