- はじめに
- 毎日が無理なら1週間に1回でもいい。子どもたちから歓声が上がるようなネタで授業をしたい。
- 第1章 子どもが夢中になって取り組む算数のネタ満載!
- 筑波大学附属小学校 /盛山 隆雄
- @教科書にはないネタを知ることの大切さ
- A授業に生かせるネタの特長
- 第2章 学年別 算数授業のネタ80
- 1年
- 10で遊ぼう!
- (いくつといくつ)
- 10づくり言葉遊びを楽しもう!
- (いくつといくつ)
- タワーをつくって高さを比べよう!
- (どちらが長い)
- 敷き詰め方を式で表そう!
- (3つの数の計算)
- 「さいころたし算ゲーム」でおはじきを取り合おう!
- (たし算)
- たして15をつくろう!
- (たし算)
- どんな数が入るかな?
- (トピック教材)
- 箱を形ごとに仲間分けしよう!
- (形あそび)
- 三角パズルを完成させよう!
- (ひき算)
- どうすれば,大きな数をわかりやすく表せるかな?
- (大きい数)
- 数とりゲームをしよう!
- (大きい数)
- 詩の中の文字は全部でいくつかな?
- (大きい数)
- 1枚だけ動かして新しい形をつくろう!
- (形づくり)
- 2年
- 上手につくるコツだけでなく,できない理由も説明しよう!
- (授業開き)
- 切り取る長さを自分で決めよう!
- (長さの単位)
- どの容器に一番多く水が入っているかな?
- (水のかさの単位)
- バラバラになった時計を元に戻そう!
- (時こくと時間)
- 登校時間チャンピオンはだれだ!
- (時こくと時間)
- 目盛りのない容器でも,いろいろな大きさをつくれるかな?
- (2学期授業開き)
- スロットを使って計算練習を楽しくやろう!
- (たし算とひき算の筆算)
- 先生を取り囲む方法を考えよう!
- (長方形と正方形)
- かけ算で表すためにはどうすればいい?
- (かけ算)
- 九九パズルを使って,九九表の仕組みを理解しよう!
- (かけ算)
- 1合に含まれるお米の粒を上手に数えてみよう!
- (4けたの数)
- 形やもとの大きさが違っても,交換できるのかな?
- (分数)
- クリスマスケーキを持ち帰る箱をつくろう!
- (はこの形)
- 3年
- ゲームを楽しみながら友だちと仲良くなろう!
- (授業開き)
- 九九の答えは何通り?
- (かけ算)
- 12時間時計と24時間時計を見比べてみよう!
- (時こくと時間)
- 歩幅で長さ予想コンテストをしよう!
- (長さのはかり方)
- 間違いの原因をみんなで考えよう!
- (わり算)
- ゲームで勝つための作戦を考えよう!
- (トピック教材)
- 数カードを使ってたし算の筆算に挑戦しよう!
- (たし算とひき算の筆算)
- 100円を持って買い物に行こう!
- (暗算)
- 自由に作品をつくろう!
- (トピック教材)
- 2けた×1けたのかけ算の虫食い算を考えよう!
- (かけ算の筆算)
- お誕生日の計算で楽しもう!
- (トピック教材)
- 箱の中身は何だろう?
- (重さの単位とはかり方)
- タケコプターでどこまでいける?
- (円と球)
- 4年
- 2けたのかけ算でどちらが大きくなるか考えよう!
- (授業開き)
- 同じ結果を表すグラフなのに違って見えるのはなぜ?
- (折れ線グラフと表)
- 三角定規を組み合わせて角をつくろう!
- (角の大きさ)
- 2けたのわり算を暗算で解こう!
- (わり算の筆算)
- いろいろな四角形を敷き詰めよう!
- (垂直・平行と四角形)
- 対角線クイズにチャレンジしよう!
- (垂直・平行と四角形)
- 式の( )の位置をいろいろ変えてみよう!
- (計算のきまり)
- 周りの長さと面積の関係を考えよう!
- (面積のはかり方と表し方)
- 三角形の面積も求められるかな?
- (面積のはかり方と表し方)
- 小数のしくみを基に考えよう!
- (小数のしくみ)
- 正方形の数が20個のときストローの本数は何本になるかな?
- (変わり方調べ)
- 階段状の正方形の数を求めよう!
- (変わり方調べ)
- 答えが一番大きくなる小数×整数の式をつくろう!
- (小数のかけ算とわり算)
- オオカミとカンガルーはそれぞれ何匹?
- (トピック教材)
- 5年
- 16段目のひみつを調べよう!
- (授業開き)
- 段ボールを使って容積(体積)の学習を深めよう!
- (直方体や立方体の体積)
- 新聞紙を使って算数をしよう!
- (トピック教材)
- 積が最小になる数字の入れ方を考えよう!
- (小数のかけ算)
- 合同なのに面積が違う!?
- (合同な図形)
- 偶数チームの方が有利じゃないの?
- (偶数と奇数,倍数と約数)
- あたりの数はどんな数?
- (偶数と奇数,倍数と約数)
- 金太郎ゲームで手がそろうのは何回?
- (偶数と奇数,倍数と約数)
- より目標に近い分数はどっち?
- (分数のたし算とひき算)
- 三角形の3つの角の和が大きくなるのは?
- (図形の角)
- 対角線が直角に交わる図形の面積を考えよう!
- (四角形と三角形の面積)
- どちらのクーポンがお得?
- (百分率とグラフ)
- 円の中にどんな図形ができるかな?
- (正多角形と円周の長さ)
- 立体の面,頂点,辺の数の関係を調べよう!
- (角柱と円柱)
- 6年
- 数字を十字に並べて縦と横の合計を同じにしよう!
- (授業開き)
- アルファベット表から対称な図形を見つけよう!
- (対称な図形)
- どのピザが1番お得かな?
- (円の面積)
- 2桁の数をひっくり返してたすといつでも11の倍数になる?
- (文字と式)
- 計算の途中or最後 約分のタイミングはどっちがいい?
- (分数のかけ算)
- あれっ,どうやって計算するのかな?
- (トピック教材)
- 正三角形,二等辺三角形のつくり方を考えよう!
- (比と比の値)
- 小学生でもオリンピックに出られる!?
- (速さ)
- 紙1枚の厚さはどれくらい?
- (比例と反比例)
- 面積が24cm2になる長方形の縦と横の長さの関係は?
- (比例と反比例)
- どんな言葉ができるかな?
- (並べ方と組み合わせ方)
- 神経衰弱で単位マスターになろう!
- (量の単位のしくみ)
- 「算数のまとめ」レポートを書こう!
- (トピック教材)
はじめに
毎日が無理なら1週間に1回でもいい。
子どもたちから歓声が上がるようなネタで授業をしたい。
授業の「ネタ」で勝負する授業名人がいます。
筑波大学附属小学校の先輩では,社会科の有田和正先生や算数科の坪田耕三先生がそうです。
実物を見せたり,触らせたりして子どもの興味をひきつけたり,問いをもたせたりします。具体物を手で触らせて操作活動をしながら解くパズルのような問題,外国でつくられた問題,江戸時代など昔につくられた問題など,子どもが興味をもつようなおもしろい問題で多くの授業を発表されてきました。それらは,「子どもがどんなことをしたいか」を知り尽くしているような授業のネタです。もちろん,ネタだけでなく,授業構成や子どもの言葉を生かした授業展開の名人でもあります。
坪田先生は,筑波大学附属小学校算数部の先輩で,私の前任者です。いつも鞄には数冊の本を忍ばせ,少しでも時間があると読書をされています。様々な書籍からネタを仕入れ,自分で加工して教材化する姿は,まさに「授業の職人」です。
子どもをおもしろがらせるためには,まずは教師が「おもしろい」と感じるネタを探し,出会うことが大切である。坪田先生はよくそうおっしゃっています。
ところで,この「はじめに」を書いているときに,TBSの早朝ラジオ番組『生島ヒロシのおはよう一直線』を聞いていました。番組が始まって5000回を突破したということで,長くラジオパーソナリティを務めている大沢悠里氏がゲストとして来て,生島氏と対談していました。
その中で,永六輔氏の話題になったのですが,その永氏とのエピソードが興味深いものでした。
あるとき街を一緒に歩いていたら,カラスが飛んできて,それを見た永さんが,「おい,なんで九官鳥は『きゅうかんちょう』というか調べておけ」と言ったそうです。
カラスを見てどうしてそう言ったのかは不明ですが,永さんはものの見方が他の人とはいつもひと味違ったそうです。そして,大沢氏がすぐに調べてみると,おもしろい謂れ※がありました。
ひと味違うものの見方ができる人のところには,自然とおもしろいネタが集まり,さらに,それをおもしろいと思った人の話のネタにもなっていくというわけです。
※九官鳥が中国から江戸時代に日本に移入された際,飼主で中国人の九官という人物が,日本人通訳に,「この鳥は自分の名前を話す」と言いました。ところが,通訳はこの話を「鳥が飼主の名前を真似て鳴く」とは解釈せず,「鳥が鳥自身の名前を鳴く」という意味にとってしまったため,以後この鳥の名前として「九官鳥」が広まってしまったという俗説。
私たち教師は,毎日子どもと向き合い,授業をします。教室には,私たちを待つ子どもたちがいます。子どもたちは目をキラキラさせ,ワクワクした気持ちで教師の言葉を,パフォーマンスを待っているのです。
ですから,教師も日頃からものの見方にこだわり,新鮮でおもしろいネタを求め続けたいものです。毎日が無理なら1週間に1回でもいい。子どもたちから「うわーっ!」と歓声が上がるようなネタで授業をしたいものです。
本書は,そんなイメージをもってネタを考えたり,集めたりして,実際に子どもたちに実践したものを紹介しています。また,できるだけビジュアルにと願い,写真を多く載せています。
この80のネタが,読者の皆様のお役に立ち,多くの子どもたちが算数好きに,そして幸せになることを祈っています。
最後になりますが,私たち志の算数教育研究会を応援し,本書をまとめるためにご尽力いただいた明治図書の矢口郁雄氏に心から感謝を申し上げます。
2017年6月 /盛山 隆雄
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