- はじめに
- T章 学級づくりの目的
- 1 学級づくりを一言で
- 2 グループとチームの違い
- 3 チームになるということ
- 4 遠くを目指す
- 5 集団づくりと学力
- 6 つながらない子どもたち
- 7 「島国化」する学級
- U章 学級づくりのストーリーを描く
- 1 学級をチーム化するステップ
- (1) 第1段階:緊張期
- (2) 第2段階:教師の指導優位期
- (3) 第3段階:子どもの自由度増加期
- (4) 第4段階:自治的集団期
- 2 介入レベルを変換する
- 3 勝負の30日間
- 4 リスクを背負うには
- 5 学級づくりはいつでもスタートできる
- V章 「教師指導優位」体制をつくる
- 1 「緊張期」の最優先事項
- 2 担任に対する安心感づくり
- (1) 拍手で入場
- (2) 折り句で名前紹介
- (3) アイスブレーキング
- (4) くす箱
- 3 「教師指導優位」期へ
- 4 子どもとの信頼関係をつくるには
- 5 究極クエスチョン
- 6 教師のかかわり方
- 7 子どもを理解する
- (1) 毎日話す
- (2) 1対1で話す
- (3) 子どもとの個別懇談会
- (4) 日記へのコメント
- (5) 感情に耳を傾ける
- (6) 目的に注目する
- (7) 言い分を聞く
- (8) 自分を開く
- 8 ほめる
- 9 叱る
- (1) 叱ることがほめることの効果を上げる
- (2) なぜ子どもは叱って欲しいのか
- (3) 叱るときは個別
- (4) Iメッセージ
- (5) 提案する
- (6) この先を考えさせる
- (7) 選択肢を与える
- (8) 全体を叱るとき
- 10 やる気にさせる
- (1) 安全基地の存在
- (2) やる気モデルになる
- W章 「教師指導優位」期における授業づくり
- 1 一斉指導を成り立たせる
- 2 授業はコミュニケーションであることの自覚
- 3 やる気を高める公式
- 4 明確な課題を示す
- 5 明確に指示をし,確認をする
- 6 受容と承認と指導の一体化
- 7 明るいトーン
- 8 テンポを上げる
- 9 常にやるべきことを持たせる
- 10 適切な言動に注目する
- X章 「子どもの自由度」を高める
- 1 チームになる意味を伝える
- (1) 協力の意味を伝える授業
- (2) 力を合わせることの意味を教える授業
- (3) 目指すクラス像を意識づける活動
- 2 雰囲気をつくる
- (1) チェーンワーク
- (2) グルーピングゲーム
- (3) ネームコール
- 3 学級の最小単位を鍛える
- (1) ペアインタビュー
- (2) ペア発言
- (3) ペア相談
- (4) ペアディスカッション
- (5) ペアライティング
- 4 小人数を鍛える
- (1) 共有のチーム
- (2) 拡散のチーム
- (3) 収束のチーム
- 5 全員による課題達成の経験を積む
- (1) マラソン大会
- (2) お化け屋敷
- (3) 日常生活のなかのチーム活動
- (4) 競争から協力へ
- (5) 授業の中で
- (6) 振り返り
- あとがきにかえて
はじめに
学級担任の仕事は「学級づくり」と「授業づくり」だと言われます。両者は自動車の両輪だと表現されることもあります。両者がバランスよく機能することが大事だということの例えです。ここで少し質問してみたいと思います。優先順位をつけるとしたら,「学級づくり」が先ですか,「授業づくり」が先ですか。
ちょっと考えてみましょう。学級が機能してないところで授業は成り立つでしょうか。子どもが話を聞かない,離席や不規則発言を繰り返すところでは授業が楽しく進行しているところはなかなか想像できませんね。
次に逆を考えます。授業が機能していないところで学級は成り立つでしょうか。離席や不規則発言が繰り返されます。とても正常に機能している授業とは言えません。ところが,そんな学級でも次の時間に違う先生が授業を始めると子どもがちゃんと授業に参加することがあります。こうした学級は,正常な学級と言えるでしょうか。
授業が成り立っているからと言って学級が成り立っているとは限りません。しかし,学級が成り立っているところでは授業は間違いなく成り立ちます。こう考えると「学級づくり」と「授業づくり」は,対等な関係でなく,「授業づくり」の基盤に「学級づくり」があると考えた方がいいのです。
今,世の中は学力向上が叫ばれ,学力を上げるための授業の在り方が多くの学校で研究されています。しかし,気付いている学校や先生方は,本当に学力を上げるためには,学級をしっかりつくらなければならないことを自覚しています。そして,本気になって「学級づくり」に取り組んでいます。目先の学力向上にとらわれず,じっくりと腰を据えて,「学級づくり」に取り組み着実に成果を上げています。
ところで,「学級づくり」は学力向上のためになされるものでしょうか。みなさんはいかがお考えですか。本書の答えは「NO」です。学力向上は目的ではなく,通り道であるべきです。どんなに勉強ができても人を大事にできないようでは本末転倒です。学級は人間形成の場です。子どもが人として成長をする場です。成長した人の姿として,当然学力はついていた方がいいのです。学力向上は,人間的成長の通り道であるべきです。
また,「学級づくり」とは,「荒れた」学級を立て直すことばかりを意味するものではありません。人と人は信頼し合い,つながって生きているものだという人生観を持たせる営みでもあります。
人間形成の場としての学級はどのような姿であるべきでしょうか。そして,その学級ではどのような授業や活動がなされるべきなのでしょうか。
これが本書を貫く問いであり,明らかにしたいことです。
学級も1人の人間のように成長をします。これまでは学級の成長論は意識されながらも,具体的に示されることは少なかったように思います。本書では学級の成長段階を明示し,そのステージを上げていくための考え方と方法論を示しました。ご自身の学級の実態を把握し,段階に合った指導にお役立てください。
本書は,前作『スペシャリスト直伝! 学級づくり成功の極意』の続編です。
皆様のおかげにより,本作を世に出すことができました。続編とはいうものの「単なる続き」ということではなく,互いに補い合い関連し合う内容です。「学級づくりが大事だということはわかる。育てるものだと言うこともわかる。しかし,どのように考え何をすればいいのかよくかわからない」という方々のために書きました。お役に立てたら幸いです。
/赤坂 真二
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