- まえがき
- 第1章 僕の根幹にあるもの
- 一 教師の力とは
- 二 理想の教師像は?
- 三 在日韓国人として生まれて
- コラム① 済州ウィークリー
- 第2章 教師生活スタート
- 一 素晴らしい先生方との出会い
- 二 たくさん遊んで、たくさんほめる
- コラム② 教員採用試験の朝
- 第3章 失敗からの学び
- 一 荒木先生と小花先生との出会い
- 二 子どもとの溝
- コラム③ 紙芝居を片手に海外旅行!
- 第4章 祖母の死から学んだこと
- 一 人はなんのために生まれてくるのか
- 二 日本で一番の先生になる
- コラム④ 二年目の僕の授業を見て……花岡由美子先生の回想記
- 第5章 日本一ハッピーを目指して(4~5年目)
- 一 教育会を通して
- 二 教師塾との出会い
- 三 阪東本得校長先生と細川克寿先生との出会い
- 四 子ども達との取り組み
- コラム⑤ 出会って15年……共に学んで 山本ゴンの回想記
- 第6章 飛び込みの六年生(6年目)
- 一 日本一を目指して
- 二 子どもから教えてもらったこと
- コラム⑥ 後輩から見た金大竜
- 第7章 ハッピーを広げるために(7~8年目)
- 一 授業力を磨く
- 二 子どもに言っていることをやってみる
- 三 大谷育弘先生との出会い
- 四 どんどん広がるご縁
- コラム⑦ 挑戦の紹介(初マラソンと初ツール・ド・沖縄)
- 「日本一ハッピーな学校をつくろう」マラソン完走! 心の金メダル!!
- ツールド沖縄2011 体験記
- 「みんなでハッピーになろう!」あきらめない
- 第8章 聖和小学校からの学び(9~10年目)
- 一 自分らしさを磨く
- 二 子ども達からもらったたくさんの倖せ
- 三 東北へ心を寄せて
- コラム⑧ 「第十四回 復興地に学ぶ会」に参加しての感想
- 最終章 現在
- あとがき
- ※プライバシーに配慮し、エピソード内の子どもの名前などは仮名とするなど、読者の皆様の理解の妨げにならない程度に改変しています。
まえがき
「子どもが子ども時代を懸命に生きれば、必ず問題は起きる」
この言葉は、自分の中でとても大切にしている言葉です。僕自身も、これまでたくさんの問題を起こし、その度に周りにいらっしゃる方のご指導のおかげで今があります。僕が問題を起こしても、いつも両親が教え、導いてくれました。仲間が教え導いてくれました。先輩が教え導いてくれました。子ども達が教え導いてくれました。問題の数だけ自分を見直し、問題の数だけ成長することができました。
しかし、教師になった僕は子どもができるだけ問題を起こさないようにしてきたように思います。子どもが子どもらしくではなく、子どもが大人らしく、正しく、真っ直ぐに生きることだけを考えてきたように思います。それは、なぜか。今は、わかります。それは、怖れていたからです。「学級崩壊」「保護者からのクレーム」「周りの教員からの評価」などにです。そんな時、子どもに向くべきはずのベクトルが自分や他の誰かに向いていたようにも思います。
「よしあしの 中を流れて 清水かな」
これは、僕の尊敬する中山靖雄先生の句です。川の水が葦や葦の中を流れることで浄化されてきれいになっていくのと同様、人も良いことや悪いことを経験しながら、清らかになっていく。僕自身は問題を起こしながら成長してきたのに、子どもには問題を起こしてはいけない、起こさないでほしいと願ってきました。そんな僕の姿は子どもにどんな風に映っていたのかなと思います。
今は、子どもが子どもらしく生きていけるように教師としてどうあればいいのかと考えられるようになりました。そうすると、子どものいろんな行動も温かく見守り、温かい声をかけられるようになりました。人は、冷たくされると氷のように固まっていき、変化できなくなってしまいます。逆に、温められるとドロドロに溶けていき、どんな風にも変わっていけます。だからこそ、温かい温かい雰囲気の教室を作っていきたいと思っています。そのためには、やはり何かに怖れている自分ではなく、愛で満たされた自分になっていくことが大切だと思うようになりました。
僕がこうして変化できたのは、どんな時でも、たくさんの方の温かい眼差しがあったからです。温かい言葉があったからです。温かい出会いや支えがあったからです。この本によって、そんな未熟な僕がたくさんの温かい方との出会いを通して、少しずつ教師として、人間として成長してきたことを伝えられればと思っています。
このような本を書く機会を与えてくださった、堀裕嗣先生、明治図書の及川誠様には本当に感謝しています。自分の教師人生を振り返り、たくさんの方に育ててもらったんだということを再認識する素晴らしい機会を頂けました。
今、この前書きを書いている横では、いつも一緒に学んでいる教育会の濱口隆司くん、弘津啓子さん、前川法子さんが原稿の校正を手伝ってくれています。こうした温かい環境の中で、たくさんの方に支えられて、今現在があることを感謝しています。
これからも、たくさんの方とのご縁の中で自分自身を磨いていき、成長していきたいと思っています。
/金大竜
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- 明治図書
- 金先生の信念がよくわかる本でした。2019/10/2030代・小学校教諭