著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
どのような生き方を日々しているかが、教師としての力の土台
大阪府大阪市立千本小学校教諭金大竜
2013/5/15 掲載
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  • 教師力・仕事術
 今回は金大竜先生に、新刊『金大竜―エピソードで語る教師力の極意』について伺いました。

金大竜きむてりょん

1980年生まれ。日本一ハッピーな学校をつくることを夢見る、教師歴12年目の大阪市小学校教員。周囲からは“ハッピー先生”と呼ばれている。教育サークル「教育会」代表。「明日の教室」をはじめ、各地のセミナーで講師をつとめる。また、「あいさつ自動販売機」など、学級づくりにかかわる取り組みが、様々なメディアに取り上げられている。
ブログ、「日本一ハッピーな学校をつくろう」において、日々のクラスでの出来事や取組を発信中。著書に、『日本一ハッピーなクラスのつくり方』(明治図書)、『子どもが教えてくれたクラスがうまくいく魔法の習慣』(学陽書房)などがある。

―本書は、「エピソードで語る教師力の極意」シリーズの1冊で、金先生の教師人生を支えてきた方法や発想を、具体的なエピソードをまじえて語っていただく書籍になっています。まず、先生にとっての「教師力」とはどのようなものでしょうか。

 僕の考える教師力は、「学級経営力・授業力」だと思っています。しかし、その土台には、人格があると思います。どれだけ素晴らしい技術をもっていても、どれだけ素晴らしい話をしようともその人がどのような人間で、どのような生き方を日々しているかが、教師としての力の土台だと思っています。「何を言うかではなく誰が言うか」が大切だと思います。しかし、誰が言うかの誰になっていくためには、何を言うかという部分を熱心に熱心に追究していくことが大切だと思っています。

―Q1で先生があげられた教師力を身につけていくには、どういったことが大切と思われますでしょうか。

 大きく3つあります。教師自身が子どもに話していることを日々実践すること。たくさんの出逢いの中からどの方からも素直に学ぶこと。そして、良いと思うことを人が見てようが、見ていまいが、評価されようが、されまいが続けることだと思っています。

―金先生がこれまで教師をされていらっしゃる中で、「転機」と言える場面が幾つかおありかと思います。1つあげるとすれば、それはどのようなことでしょうか。

 教員3年目を終えた時の祖母の死だと思います。僕の祖母は、祖国の韓国にも、住んでいた日本にも複雑な感情を持っていました。そして、長い年月を病気で苦しんでいました。そんな祖母は、生まれてきて倖せだったのかと考えました。答えは僕にはわかりませんが、僕がこの日本で多くの方に必要にされたり、お役にたてたりした時に、亡くなった祖母も日本に来て、がんばってよかったと感じてくれるのではないかと感じました。その時から、教師として、人間としてもっともっと成長したいと思いました。

―教師生活は、「大切な出逢い」に彩られていらっしゃると思います。子どもとの出逢い、同僚教師との出逢い、恩師との出逢い。その中で、金先生にとって印象深い出逢いを1つご紹介下さい。

 両親との出会いです。僕の夢は、両親がこの子を生んでよかったと心の底から思えるような生き方をすることです。今、現在があるのは、そして、多くの方との素晴らしい出会いがあるのも、教師として働けるのも、全てその根っこは両親です。

―最後に、読者の先生方に向けてメッセージをお願いいたします!

 ぼくは、まだ、教員12年目の33歳です。その僕が、偉そうに教師力の極意なんて語ることはできません。このシリーズを書かれていらっしゃる他の先生方のように多くの経験もありません。そして、僕自身に決して特別な力があるわけでもありません。でも、素晴らしい出会いはたくさんありました。その方たちから、本当に運よく素晴らしい学びを頂けました。そして、毎日を泥臭く、一生懸命生きてきました。そんなことを伝えられたらと思っています。是非、お読みいただき、さまざまな意見を頂けたらと思います。よろしくお願いします。

(構成:及川)

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