- 復刻版のまえがき
- はじめに
- 第X章 数学的な考え方の構造化
- §1 算数・数学の学習活動と問題解決の過程
- 1 問題解決の過程についての諸説
- (1) G.Polyaの問題解決の過程
- (2) J.Deweyの反省的思考
- (3) G.Wallasの創造的思考
- (4) F.Fehrの問題解決の過程
- (5) A.H.Schoenfeldの問題解決の過程とストラテジー
- (6) F.K.Lester Jr.の問題解決の過程
- (7) Leone Burtonの問題解決の過程
- (8) 情報理論にみられる問題解決の過程
- 2 本書の考える問題解決の過程
- §2 数学的な考え方の構造化
- 1 問題解決の例とその各段階での数学的な考え方
- (1) 実践例1「ペッグゲーム」
- (2) 実践例2「求積」
- 2 方法に関係した数学的な考え方の構造化
- (1) 問題形成・把握の段階
- (2) 見通しを立てる段階
- (3) 解決の実行の段階
- (4) 論理的組織化の段階
- (5) 検証の段階
- (6) 方法に関係した数学的な考え方の構造化のまとめ
- 3 内容に関係した数学的な考え方の構造化
- 第Y章 数学的な態度についての先行研究
- §1 数学的な態度についての先行研究
- 1 数学に対する態度及び数学の学習態度の先行研究
- (1) Wizber H.Duttonの「Attitude(態度)」
- (2) Lewis R.Aiken Jr.の「態度」
- (3) Daniel C.Nealの「態度」
- (4) IEAの「態度」
- (5) James W.Wilsonの「態度」
- (6) 湊 三郎の「態度」
- (7) 日数教算数興味調査特別委員会の「態度」
- 2 目標としての態度の先行研究
- (1) 1951年の学習指導要領の目標の「態度」
- (2) 東京教育大学附属中学校数学研究会の「数学的な態度」
- (3) 清水 博「幾何の態度について」
- (4) 中野 昇の「態度」
- (5) 末光義雄,磯野唯之の「数学的な態度」
- (6) 小西勇雄の考え
- (7) 三ッ沢小学校の「態度」
- §2 数学的な態度についての先行研究のまとめ
- 第Z章 数学的な態度の構造とその内容
- §1 算数・数学で指導する態度の内容決定のための基本的考え
- 1 態度の意味規定
- 2 先行研究からの数学的な態度の検討
- §2 数学的な考え方との関係からとらえた数学的な態度とその構造
- 1 第X章§2の実践例1にみられる数学的な態度
- (1) 問題形成の段階
- (2) 見通しを立てる段階
- (3) 解決の実行の段階
- (4) 論理的組織化の段階
- (5) 検証の段階
- 2 第X章§2の実践例2にみられる数学的な態度
- 3 本書の数学的な態度とその構造
- (1) 問題形成・把握の段階で主にはたらく数学的な態度
- (2) 見通しを立てる段階で主にはたらく数学的な態度
- (3) 解決の実行の段階で主にはたらく数学的な態度
- (4) 論理的組織化の段階で主にはたらく数学的な態度
- (5) 検証の段階で主にはたらく数学的な態度
- (6) 本書の数学的な態度とその構造のまとめ
- §3 数学的な態度
- 1 自ら進んで自己の問題や目的・内容を明確に把握しようとする
- 2 筋道の立った行動をしようとする
- 3 内容を簡潔明確に表現しようとする
- 4 よりよいものを求めようとする
- ◇数学的な考え方・態度の構造
- 第[章 数学的な考え方・態度の指導のための発問分析と実験授業
- §1 実験授業のねらいと方法
- 1 ねらい
- 2 方法
- §2 数学的な考え方・態度に焦点を当てた指導の自然さについて
- ―「円の意味」(小学3年)の指導を例として―
- §3 数学的な考え方・態度に焦点を当てた発問について
- ◇数学的な考え方・態度についての発問分析一覧
- §4 数学的な考え方・態度に焦点を当てた実験授業その1
- ―「分数の除法」(小学6年)―
- §5 数学的な考え方・態度に焦点を当てた実験授業その2
- ―「2乗に比例する関数」(中学3年)―
- §6 指導事例
- 1 指導事例を示す基本的な考え
- 2 指導事例1「たし算のカード」(小学1年)
- 3 指導事例2「乗法の意味」(小学2年)
- 4 指導事例3「加減の数あて」(小学4年)
- 5 指導事例4「平行四辺形の求積」(小学5年)
- 6 指導事例5「正方形の色板の並べ方」(小学6年)
- 7 指導事例6「図形の論証」(中学3年)
- 第\章 数学的な考え方・態度の構造と発問分析研究のまとめ
- 1 数学的な考え方・態度の育成の必要
- 2 算数・数学科の目標における数学的な考え方・態度の位置の変遷
- 3 数学的な考え方・態度の先行研究
- 4 数学的な考え方・態度の内容決定の基本的考え
- 5 数学的な考え方の内容と構造化
- 6 数学的な態度の意味と構造
- 7 数学的な考え方・態度の具体的把握
- 8 数学的な考え方・態度の指導の原理―発問分析一覧―
復刻版のまえがき
本書は1988年に公にしたが,幸い非常に好評で,版を重ねてきた。しかし,現在は,全く手に入らなくなり,「この本を読みたい」という要望がたびたび聞かれる。このたびの復刻によって,それに応えることができたといえよう。
そもそも,「数学的な考え方の育成」は,昭和31年の高等学校数学科の目標として決められてから,今日まで50年以上の間ずっと我が国の算数・数学教育の目標となっている。そして,今回改訂された教育課程でも,「数学的な見方・考え方を働かせ」ることを目標の冒頭にあげ,その育成を目指している。したがって,今後も数学的な見方・考え方の育成を目標として,一層その指導を考えていかなくてはならないといえる。
「数学的な考え方の指導」の研究も,その歴史を踏まえて,理論的講究ができるだけ確実になされなくてはならない。そして,それが具体例によって裏づけられなくてはならない。教科教育のねらいは,児童生徒一人ひとりをより望ましい人間に育成することだから,理論的研究に劣らず,具体事例の研究が重要なのである。さらに,理論が実践によって裏づけられるだけでなく,目標に迫る実践事例が示されなくてはならない。
そこで,本書の第1巻『数学的な考え方の具体化』では,数学的な考え方の歴史的,理論的面を研究し,まとめた。また,その望ましい実践事例を示した。さらに,第2巻『問題解決過程と発問分析』では,数学的な考え方を育てるための具体的な発問の分析と実践事例を示している。
ところで,算数では「数学的な考え方」,中学・高等学校の数学科では,以前から「数学的な見方・考え方」といっていた。もちろんこの2つに違いはなく,今回の改訂で,算数でも「数学的な見方・考え方」とされたようである。
本書では,「数学的な考え方」を3つのカテゴリーに分けている。主に「方法に関係した数学的な考え方」が,「考え方」と,「内容に関係した考え方」が「見方」とみるととらえやすいであろう。そして,最も大切な「数学的な態度」は,この両方にまたがるものであるといえよう。
2017年5月 /片桐 重男
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- 明治図書
- いつの時代にも不変で本質的な内容で、少しずつ授業に生かしていけそうであった。実例も多々のっていてよかった。2025/4/220代・中学校教員
- 数学科における「態度」についてここまで整理された書籍は他になかなかないように思われる。2023/8/1340代・公務員
- 大変勉強になりました。2021/6/2720代・小学校教員