- はじめに
- 第1章 子どもを育てる&教師力を高める「学級通信」作成スキル
- 子どもを育てる
- 01 子どもの名前をあげて「特別な通信」にしよう
- 個々を認め,価値付けるため
- 02 教師の教育観や子どもの様子を載せよう
- 保護者と「共育」していくため
- 03 保護者の「多音」を掲載しよう
- 保護者も学級をつくる「チーム」の一員と感じてもらうため
- 04 頑張りを認める「〇〇コーナー」をつくろう
- 子どもの成長や頑張りを価値付けるため
- 05 結果に至る過程や裏話を紹介しよう
- 友達についての理解を深めるため
- 06 学習状態を振り返り,調整させよう
- 子どものメタ認知能力を高めるため
- 教師力を高める
- 07 期日を決めて発行しよう
- 書き続けるため
- 08 「学級通信」を自分の指導を振り返る場にしよう
- 子どもを見ることを意識するため
- 09 日にちや季節,時代の流れを意識しよう
- 季節や時代の流れを意識するため
- 第2章 ポイント解説で見る! 12か月の「学級通信」実例
- 01[4月]初日を実況します〜パート1〜
- 02[4月]初日を実況します〜パート2〜
- 03[4月]素心〜素直な心〜
- 04[4月]ロケットスタート
- 05[4・5月]「天国と地獄の長い箸」から
- 06[4・5月]プラス1〜大きな成長への旅のパスポート〜
- 07[4・5月]自分事・他人事
- 08[5月]チャンスの神様
- 09[5月]運動会を通して
- 10[5月]届いた「多音」
- 11[6月]大仏ってどれくらいの大きさ?
- 12[6月]学級目標「star」&学級キャラクター
- 13[6月]よい聞き手が,よい話し手を育てる
- 14[6月]「マイスターカード」
- 15[6月]「いただきます」
- 16[7月]場所が変わっても
- 17[7月]やりつづける心
- 18[7月]思い込み〜よさ50・課題50〜
- 19[7月]一人一人を見つめて
- 20[7月]朝→十月十日
- 21[7月]「逃」→「挑」
- 22[7・9月]1mm の成長
- 23[9月]はがきに思いを託して〜2学期スタート〜
- 24[9月]思いやりのかたち
- 25[9月]学び深まるノート
- 26[10月]御馳走様
- 27[10月]倖せ
- 28[10月]そうじは自分磨き
- 29[11月]「修学」旅行
- 30[11月]修学旅行 小話
- 31[11月]考動→倖導
- 32[11月]歴史人物 ドラフト会議
- 33[11月]スターカップ
- 34[11月]10000→100→1
- 35[11月]小さな積み重ねが大きな成長に
- 36[11月]かげぐち
- 37[11月]僕・私のここを見て!
- 38[11月]できていない→できていることもいっぱい
- 39[11月]輝かせる人が一番輝く人&人を輝かせる名人
- 40[12月]壁を越えていく
- 41[12月]九官鳥
- 42[12月]積み重ねの結果,「いま」がある
- 43[12月]失敗は成功につながる一歩を発見
- 44[12月]I love you. Because, you are you.
- 45[12月]こんなことが日常に
- 46[1月]言われるうちが花
- 47[1月]問題・ケンカは成長のチャンス
- 48[1月]学級内クラブ活動
- 49[1月]うれしかったから〜ハッピーのつながり〜
- 50[2月]卒業カウントダウン スタート
- 51[2月]僕たちが頑張るから
- 52[2月]たらいの水〜恩返しだ〜
- 53[3月]「未」
- 54[3月]ご卒業おめでとうございます〜パート1〜
- 55[3月]ご卒業おめでとうございます〜パート2〜
- 参考文献
はじめに
学級通信のタイトル。これには,子どもたちへの願いや教師の考え方などが詰まっています。私の学級通信のタイトルは,「根っこ」です。これまで10年以上書いてきましたが,ずっと同じです。
私は教師として,子どもと教師,保護者の関係を以下のように考えています。
私たち教師は,子どもたちに「これは大切だよ」などと種を蒔き続けることはできます。そして,「すごいなぁ」とたくさん認め(水をやり),「根っこ」を深く・太く伸ばす手助けをすることはできます。しかし,蒔いた種から芽を出し,根を育んでいくのは,子ども自身です。
深く・太い「根っこ」を張りめぐらせることができれば,どんな困難にも打ち勝ち,成長していくことができます。
小学校は,学習面・生活面・人間関係など,人生の土台となる「根っこ」を育む時期です。この時期に地面深くに「根っこ」をしっかり張り,さらには将来にわたり「根っこ」を育む方法を身に付けてほしいと考えています。
子どもの「根っこ」を深く・太く伸ばすためには,「水」が欠かせません。その水の存在が,「教師」です。そして,さらなる成長のパワーの源になるのが,肥料である「友達」の存在です。
「教師」と「友達」は,時期や場所に応じて人が変わります。変わることにより,一層「根っこ」を伸ばすこともあれば,傷つけられることもあります。しかし,地面深く伸ばした「根っこ」があれば,乗り越えていくことができます。
学級は,「土壌」にあたります。学級が,あたたかいふわふわした栄養たっぷりな「土壌」(居場所)であれば,安心して「根っこ」を伸ばすことができます。
最後に太陽は,「保護者」です。子どもたちを生涯にわたり,照らし続けてくれる存在です。
タイトル「根っこ」には,上記のような私の「教育観」や子どもたちへの願いを込めています。
私が学級通信を書く理由は,
・子どもたち一人一人の「根っこ」を深く・太く伸ばすため
・友達の声・様子を知り,学級を安心して学べる「居場所」にするため
・保護者とつながりを深め,「共育」を進めるため
・私自身の教師修行につなげ,教師としての「根っこ」を深く・太くするため
です。
学級通信は,子どもたちの成長をうながしたり,保護者と信頼関係を深めたりするために,効果的なツールです。学級通信を書くことで,子どもたちのよさや成長なども目に入ってくるようになり,教師力向上にもつながります。私は,こんな効果の高いツールを使わないのは勿体ないと思います。
コロナ禍において保護者は,これまで以上に学校の様子,子どもたちの様子を知る機会が少なくなりました。また,教師と保護者の関係を深める機会が減少しました。学級通信を効果的に活用することで,現状を打破し,よりよい関係を築き上げていくことにつなげられると考えています。
ある年,憧れの先輩と同学年になりました。私が,「学級通信を書きます」と伝えると,「友田先生は,毎日出しているんだよね。どんどん出せばいいよ。私は,書かないけど気にしないで。学級通信は書かないけど,私は毎日連絡帳に全員にメッセージを書いているから。友田先生が通信なように,私は連絡帳でつながるから」と言われました。あまりのかっこよさに,忘れることができませんでした。
「学級通信」をめぐっては,「同学年の先生と足並みが揃わない」「業務改善と逆の方向に進み仕事を増やす」など,マイナスな話を耳にすることもあります。
学級通信を書くことは目的ではなく,あくまでツールです。この先輩のように,他のツールでも,子どもたちの成長をうながしたり,保護者とつながれたりする目的が達成できればいいのです。学級通信と連絡帳というツールは違えど,教師として大切な視点や考え方は共通していました。
本書は,「友田真」という学級通信を大切なツールとして活用してきた教師の実践をまとめたものです。そして,私が担任した子どもたちとの物語です。
そのため,コピー&ペーストしてすぐに使えるようなものではありません。しかし,この本を手に取ってくださった先生の学級に少しでも役立つように,学級づくりや教師の考え方などのポイントを意識して,まとめたつもりです。
著者 /友田 真
-
- 明治図書
- よりたくさんの先生方の学級通信を読んでみたかった2022/6/1320代・中学校教員
- 学級通信の本なのだが,それだけにとどまらず,学級作りや教師の根本となる考え方まで学べる本。2022/2/950代・小学校教員