- はじめに
- 1章 個別最適な学びと授業デザイン―ロイロノート活用のポイント
- 1 個別最適な学びとは
- 2 個別最適な学びで目指すもの
- 3 「この子」を探る
- 4 指導の個別化と学習の個性化
- 5 学習の複線化
- 6 個別最適な学びと自己調整学習の可能性
- 7 ロイロノートの特性を個別最適な学びへ活かす
- 8 授業デザイン
- 9 国語科×個別最適な学び ロイロノート活用のポイント
- 10 算数科×個別最適な学び ロイロノート活用のポイント
- 11 社会科×個別最適な学び ロイロノート活用のポイント
- 12 理科×個別最適な学び ロイロノート活用のポイント
- COLUMN 共有ノートの可能性#1
- 2章 個別最適な学び×ロイロノート―教科別授業モデル
- 1 1年国語 「どんなおなはしができるかな」
- イラストシート―イラストを使って物語を創造する―
- 2 2年国語 「こんなもの,見つけたよ」
- 見つけたよシート―シンキングツールや検索機能を使って学習の個性化を図る―
- 3 3年国語 「進行にそって,はんで話し合おう」
- おすすめの一さつをきめよう―情報を整理して話し合い,子どもが判断する―
- 4 4年国語 「自分だけの詩集を作ろう」「お礼の気持ちを伝えよう」「世界一美しいぼくの村」「言葉のタイムカプセルを残そう」
- 様々な人の生き方から学び,自分の志を立てよう―蓄積した学びの情報を整理分類し,再編集を行う―
- 5 5年国語 「あなたはどう考える」
- 共有ノートの全員シート―クラウド上で意見文を読み合い,コメントする―
- 6 6年国語 「発見,日本文化のみりょく」
- フィッシュボーン図―説明文を読んで獲得した視点を活かして情報を集める―
- 7 1年算数 「くり上がりのあるたし算」
- 自分で問題をつくることができる子どもたちに!―ロイロノートで何度も使えるワークシートを作成する―
- 8 2年算数 「たし算・ひき算の筆算」
- 共有ノートできまり発見!―算数のおもしろさに気付きやすくなる共有ノートの使い方―
- 9 3年算数 「表とグラフ」
- オリジナルアンケート調査―目的をもって表とグラフを作成する―
- 10 4年算数 「面積」
- クラウドと対面による多様な考えの共有―ワールドカフェで考えを共有し指導と評価の一体化を目指す―
- 11 5年算数 「見方・考え方を深めよう(相殺,置換)」
- 学びの経験値を高める学習デザイン―共有機能で拡がる協働的な学習の可能性―
- 12 6年算数 「およその面積」
- 見方・考え方を使った自己調整―シンキングツールを使って学習をアーカイブ化する―
- 13 3年社会 「市(世田谷区)の様子の移り変わり」
- 目的に合わせた資料活用―問いを解決するための資料を選ぶ―
- 14 4年社会 「特色ある地域の様子」
- 問いの分類と学習計画―調べるべき問いを整理する―
- 15 5年社会 「情報を生かす産業」
- 情報の関連付け―シンキングツールで事象のつながりに気付く―
- 16 6年社会 「歴史を学ぶ意味(歴史学習を振り返ろう)」
- ポートフォリオの活用―既習を活かし考えを深める―
- 17 3年理科 「磁石の性質」
- 授業外の提出箱活用―知的好奇心を高める仕掛け―
- 18 4年理科 「金属,水,空気と温度 温まり方の違い」
- 学習計画シート―子どもが個々に実験を企画する―
- 19 5年理科 「植物の発芽と成長」
- デジタルレポート―個々のアウトプットを保障する―
- 20 6年理科 「水溶液の性質」
- 学習マップ―自己調整する力を高める―
- 21 5年総合 「探究×企業交流」
- 提出箱の活用―調べ活動と共有活動のループ化―
- 22 6年総合 「企業×食育×ロイロノート」
- アウトプット―様々なツールのハブとしてのロイロノート―
- COLUMN 共有ノートの可能性#2
- おわりに
はじめに
GIGA スクール構想をきっかけに,日本の教育は大きく変わろうとしています。2020年度より1人1台端末が整備され,止まっていた学校のデジタル化が大きく進みました。
デジタル化が進むと,今度は DX(デジタル・トランスフォーメーション)が掲げられ,構造改革へと歩みを進めることになります。
当然,1人1台端末に対応する授業改革も叫ばれ,様々な研究がなされ,多様な実践が生み出されてきました。
そんなときに出されたのが「令和の日本型学校教育」であり,その最大のキーワードが「個別最適な学び」です。文部科学省の資料のタイトルには副題で,次のように書かれています。
〜 全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現 〜
これまでの日本型学校教育で大切にしてきた「協働的な学び」の前に,「個別最適な学び」が加わりました。さらにその前には「全ての子供の可能性を引き出す」とあります。
個別最適な学びの本質は,徹底した子ども理解であり,個に寄り添った学びです。1人1台端末やテクノロジーの進化により,より個に寄り添った学びを実現できる環境が整いました。個別最適な学びが ICT とともに語られるのは必然だと言えます。
しかし,忘れてはならないのは,個別最適な学びも ICT 活用も手段でしかないということです。上位概念は,全ての子どもたちの可能性を引き出し,個の自立を支援することです。
そのために学習者一人一人の「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指します。そのための重要なアプローチの一つとしての個別最適な学びという捉えです。
本書では,「学習の複線化」を大きなキーワードにしながら,授業デザイン,そして ICT 活用という切り口で個別最適な学びに迫っていきます。
ICT については,授業支援システム「ロイロノート・スクール」(以下,ロイロノート)の活用に特化して整理しました。ロイロノートの活用という視点でまとめることで,明日からの授業づくりに役立つものになっています。
また,本書は全ての実践事例に「単元デザイン案」を掲載しています。
単元を通して,どのように「指導の個別化」と「学習の個性化」を図っているのか,その行間も楽しんでいただけるつくりとなっています。
「個別最適な学び」を理解し,授業を通して実現していくためには,実践を繰り返す他ありません。実践を繰り返し省察する中で,授業力を磨き,自身の「観」をアップデートしていくことが重要です。
本書が,そのきっかけとなれば,こんなに嬉しいことはありません。
2024年7月 /吉金 佳能
教科ごとにロイロノートで何が出来るのかをイメージするのに最適だと思いました。