- はじめに
- 特別支援学級 先輩教師からのエール&12か月の仕事の流れ例
- 小学校〈自閉症・情緒障害〉
- 特別支援学級担任の仕事は「日々の発見!」が素敵 /森村 美和子
- 中学校〈知的障害〉
- 特別支援学級担任の仕事は「子供や保護者との密度の濃いかかわり」が素敵 /米内山 康嵩
- 第1章 3・4月 新年度に向けての準備ToDoポイント
- 1 子供の引継ぎと実態把握 小学校
- 2 子供の引継ぎと実態把握 中学校
- 3 教室環境の準備(配置・グッズ) 小学校
- 4 教室環境の準備(配置・グッズ) 中学校
- 5 始業式前日までの担任実務チェックリスト 小学校
- 6 始業式前日までの担任実務チェックリスト 中学校
- 7 新学期に向けての書類・実務 小学校
- 8 新学期に向けての書類・実務 中学校
- 第2章 4月 新年度はじめ1週間の指導必須ポイント
- 1 1日目 始業式・入学式の指導
- 2 2日目 朝の生活の確認と出会いの演出
- 3 3日目 生活の流れづくり
- 4 4日目 学級での居場所づくりと交流活動
- 5 5日目 学習ルールの指導
- 第3章 4月 出会いをぐんと楽しくするアイデア
- 1 子供も保護者も担任も安心できる入学式
- 2 毎日を楽しくする先生との絆グッズ
- 3 やり方をいつでも確認できる手順表
- 4 ドキドキさんもワクワクさんも満足,安心環境づくり
- 5 あさがおの育て方攻略カード
- 6 面談前の心の準備プリント
- 第4章 4・5月 はじめに押さえる 生活・学習システムづくり
- 1 気持ちよい1日のための「朝の準備・健康管理」
- 2 元気に1日をスタートさせる「朝の会の流れ」
- 3 自分で取り出し片づけられる「持ち物(管理)ルール」
- 4 みんなで準備して楽しめる「給食指導」
- 5 自分の役割を果たす「日直・係活動・掃除」
- 6 見通しをもって取り組める「授業準備・学習ルール」
- 7 家で自分でできるための「宿題・連絡帳ルール」
- 8 時間,場所,人を「見える化」する「教室環境・掲示物」
- 第5章 12か月 子供を伸ばす 教科の学習指導づくり
- 1 カリキュラムづくり
- 2 学習指導案の書き方
- 3 小学校・知的障害特別支援学級 国語 楽しい学校生活を知らせる手紙を書こう!
- 4 中学校・知的障害特別支援学級 国語 詩を作ってみよう
- 5 小学校・知的障害特別支援学級 算数 重さをはかろう!
- 6 中学校・知的障害特別支援学級 数学 棒グラフマスターになろう
- 7 中学校・知的障害特別支援学級 音楽 4拍リズムフェス!
- 8 小学校・知的障害特別支援学級 図画工作 おすし大会をしよう
- 9 小学校・知的障害特別支援学級 体育 マット・跳び箱・平均台サーキット
- 第6章 12か月 個々に育む 自立活動の指導づくり
- 1 学習指導要領の区分と内容
- 2 個別の指導計画と指導内容
- 3 指導アイデア1 学習活動に参加できるようにしよう
- 4 指導アイデア2 場に応じて自分の行動を調整しよう
- 5 指導アイデア3 気持ちを落ち着ける学習をしよう
- 第7章 12か月 「個別の指導計画」の活用ポイント
- 1 個別の指導計画の活用のポイント
- 2 実態把握から計画を作成するポイント
- 3 計画から具体的手立てを導くポイント
- 4 実践と評価を行うポイント
- 5 引継ぎに活用するポイント
- 第8章 1〜3月 みんなで育てる 連携・引継ぎポイント
- 1 交流学級担任との連携ポイント
- 2 保護者支援のポイント
- 3 専門機関との連携ポイント
- 4 指導要録記入のポイント&文例
- 5 通知表記入のポイント&文例
- 6 関係機関への引継ぎポイント
- 参考資料
- 執筆者紹介
はじめに
「特別支援学級の担任になったけれど何をすればいいだろうか。」
私が新規採用教員として,知的障害特別支援学級の担任に着任した時の率直な気持ちです。毎日,不安な気持ちを抱きながら,目の前の子供一人一人に懸命に相対していた記憶が思い出されます。不安に感じていた背景には,知的障害のある一人一人の子供の特性や教育的ニーズの把握ができていないために支援や指導がわからなかったことがありました。また,特別支援学級そのものの理解が不足していたことも要因としてありました。
不安を払拭するために,毎日,子供と一緒に過ごし,少しの変化も見逃さないようメモをし,子供の心の理解に努めました。わからなければ先輩教師に助言を求めました。その甲斐あって,個々のアセスメントや特別支援学級の運営についても指示を仰ぎながらできるようになり,特別支援学級の教師としてのやりがいを強く感じ,その後も続けることになりました。
さて,特別支援学級に関しては,平成19年度にスタートした特別支援教育が15年を過ぎ,現在,大きな変革期に入っています。具体的には,「特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議」報告(令和4年3月31日)に,「全ての採用教員におおむね10年目までの期間内において特別支援学級の担任を複数年経験すること」と記されました。また,校内(通常の学級と通級指導教室,通常の学級と特別支援学級)の教師間による交換授業や研究授業の実施,担任外の教師による特別支援学級の専科指導,通級による指導の教員による通常の学級におけるTT指導など,採用,育成段階における方針が明確に示されました。10年目以上の教師に関しても,キャリアプランの中で,特別支援教育の経験ができるように努めるとの記載もあります。
今後は,教職経験の少ない教師も含めた全ての教師が,特別支援学級の指導を経験するようになります。そうなった時に,冒頭で紹介した私のように不安を抱く教師が多くなると想定されます。現在,特別支援学級の対象となる子供の数が全国的に増加の一途をたどっています。子供の数に比例して特別支援学級数も増え,それに見合う教師の配置も必要になり,まったくはじめて障害のある子供の指導にあたる教師が増加しています。
このように,特別支援学級にスポットライトがあてられ,嬉しい限りですが,特別支援学級にはじめて携わる教師が専門性を身につけ,よりよい経験ができなければ,今回の方針の意義は失われてしまいます。
そこで,はじめて特別支援学級の担任になった教師が,少しでも自信をもって日々の指導や学級経営ができる指南書として,本書『はじめての「特別支援学級」 12か月の花マル仕事術』を刊行いたしました。
まずは,「先輩教師からのエール&12か月の流れ例」にまず目を通してみてください。特別支援学級の担任としてのやりがいや矜持,励ましなど,きっと勇気づけられます。年度はじめの子供との出会いや指導のポイントは「第1章 3・4月 新年度に向けての準備ToDoポイント」から「第4章 4・5月 はじめに押さえる 生活・学習システムづくり」を参考にしてくだい。教科指導や自立活動の指導で悩んでいたら「第5章 12か月 子供を伸ばす 教科の学習指導づくり」と「第6章 12か月 個々に育む 自立活動の指導づくり」を,一人一人の指導すべき課題の設定の手順が知りたくなったら「第7章 12か月 『個別の指導計画』の活用ポイント」をそれぞれ開いてみてください。そして,1年のまとめのポイントは,「第8章 1〜3月 みんなで育てる 連携・引継ぎポイント」にコンパクトに集約されています。ぜひ,本書をお手元において,日々の指導等に役立てていただけますと幸いです。
執筆にあたっては,全国で活躍されている特別支援学級の先生方から,選りすぐりの実践を紹介していただいています。ご執筆いただいた全ての皆様に心から御礼を申し上げます。
『特別支援教育の実践情報』編集部 /喜多 好一
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- 明治図書
- 支援級初担任者にとって、一年の仕事の流れがわかり、見通しをもって準備をする手助けになります。2023/6/26たーぼー
- 今回、初めて特別支援学級の担任になりました。子どもへの対応、保護者への対応など、迷うことも多く、更に、支援計画等の書類の提出なども全く見通しが待たずにあたふたしていました。たまたま書店に置いてあるのを見つけ、手に取ると、大変わかりやすい内容だったので、驚きました。本当にありがとうございました。見通しが持て、大変役に立ちます。2023/4/29ひろP
- 特別支援学級を初めて担任するため,どのような準備が必要なのかが分かりました。今後も活用していきます。2023/4/1550代・小学校教員