- まえがき
- 本書の使い方―教科書教材と本書の教材の使い方
- 理論編 小学生に論理的文章を読み書きさせるために
- T 国語科で小学生に「論理的文章」を書く指導を
- 1 今、求められている論理的に書く力とは
- 2 これまでの国語科授業は物語の鑑賞授業だった
- 3 授業で育てる論理的表現力とは
- 4 説明的な文章〈説明文〉と論文〈論理的文章〉の違いはどこか
- 5 科学論文の小学生版―小論文
- 6 一つの課題を4時間で終える
- 7 一年間で五課題を繰り返す
- U 小学生は論文が書けるのか―論理的思考を表現するとは
- 1 「名づけ」が事実を形成する
- 2 なぜ論理的思考を教えるのか
- 3 論理的思考には二つの型がある
- 4 日常生活での推論は帰納論理が中心である
- (1) これまでの自然科学の文章の移り変わり
- @デカルト(演繹論理)
- Aベーコン(帰納論理)
- Bダーウィン(帰納論理)
- C寺田寅彦(帰納論理)
- D西澤潤一「静電誘導トランジスタ」(帰納論理)
- (2) お薦めしたい科学論文の書き方指導書
- @高木隆司『理科系の論文作法』
- A木下是雄『理科系の作文技術』
- B田中潔『手ぎわよい科学論文の仕上げ方 (付)初心者べからず集 第2版』
- V 科学論文の書き方を応用して書く
- 1 文章構成
- 2 段落・キーワード
- 3 生活作文とは違うことを認識させる
- 4 論理的に「書く」ために読む
- 5 論理的に「書く」ために「リライト教材」の活用を
- W 小論文の書き方授業で必要な教材教具
- 1 鉛筆
- 2 原稿用紙
- 3 貼り付け用大学ノート
- 4 黒板とチョーク
- 5 特別な評価印
- 6 プリント教材「キーワード表」
- 7 プリント教材「小論文の書き方」
- 8 プリント教材「どちらがじょうずかな」
- X たしかな力をつける小論文の添削&評価の技術
- 1 添削の技術
- (1) 「なか」を中心に指導する
- (2) 「はじめ」と「まとめ」は教師が決めた文でよい
- (3) 一次原稿では「なか」を1行で書く
- (4) 「なか」を詳しく書かせる
- (5) 「黒板添削」で推敲の観点を共通理解させる
- 2 評価の技術
- (1) 段落ごとに評価する
- (2) 評価の観点
- (3) 原稿用紙の左下の隅に花判を押す
- (4) 小学生は優秀・合格の二段階で評価する
- 実践編 論理的に書く力を育てる 学年別・小論文トレーニング
- ■低学年■
- T 論理的に書く練習教材
- 1 〈論理の基礎〉一ばん大きいのは? *20分扱い
- 2 〈論理の基礎〉なかまはずれはどれ? *20分扱い
- 3 〈帰納論理の基礎〉にているところはどこ? *20分扱い
- 4 〈キーワード〉たいせつなことばはどれ? *20分扱い
- 5 〈段落の役割〉だんらくとはなにか? *20分扱い
- U 論理的文章を「読む」授業
- 1 論理的文章の例1 報告「くばりがかりのしごと」 *1時間扱い
- 2 論理的文章の例2 報告「パンやさん」*1時間扱い
- 3 論理的文章の例3 報告「どうぶつえん」*1時間扱い
- 4 論理的文章の例4 報告「なわとび」*1時間扱い
- V 論理的文章を「書く」授業
- 1 年間計画―1年間に5回
- 2 1年・口頭作文「おてつだい」*1時間扱い
- (1) セリフ入りの学習内容
- (2) 子どもの文章例と評価
- ■中学年■
- T 論理的に書く練習教材
- 1 〈論理の基礎〉はやい人は? *20分扱い
- 2 〈具体と抽象の基礎〉なかまになることばはどれか? *20分扱い
- 3 〈帰納論理の基礎〉行動からせいかくを考える *20分扱い
- 4 〈小論文の書き方〉キーワードとは? *20分扱い
- 5 〈小論文の書き方〉段落と文章構成 *20分扱い
- U 論理的文章を「読む」授業
- 1 論理的文章の例1 報告「くらしで使われる記号」 *1時間扱い
- 2 論理的文章の例2 報告「ヤドカリの体」 *1時間扱い
- 3 論理的文章の例3 報告「恐竜が滅びたわけ」 *1時間扱い
- 4 論理的文章の例4 報告「新しい科学の方法」 *1時間扱い
- V 論理的文章を「書く」授業
- 1 年間計画―1年間に5回
- 2 3・4年「お手つだい」 *4時間扱い
- (1) セリフ入りの一単元の学習内容
- (2) 子どもの文章例と評価
- ■高学年■
- T 論理的に書く練習教材
- 1 〈帰納論理の基礎〉食中毒の原因は? *20分扱い
- 2 〈演繹論理の基礎〉クジラは何の仲間? *20分扱い
- 3 〈事実の読み方〉地図を使ったら? *20分扱い
- 4 〈小論文の書き方〉キーワードのはたらき *20分扱い
- 5 〈小論文の書き方〉段落の役割と文章構成 *20分扱い
- U 論理的文章を「読む」授業
- 1 論理的文章の例1 報告「高層ビルの建て方」 *1時間扱い
- 2 論理的文章の例2 報告「日本銀行」 *1時間扱い
- 3 論理的文章の例3 報告「ロジックの世界」 *1時間扱い
- 4 論理的文章の例4 論説「ものの名前」 *1時間扱い
- V 論理的文章を「書く」授業
- 1 年間計画―1年間に5回
- 2 5・6年「家の手伝い」 *4時間扱い
- (1) セリフ入りの一単元の学習内容
- (2) 子どもの文章例と評価
- まとめ
- 〈資料編〉 小論文の年間指導計画
まえがき
この本は小学校国語科での論文指導法を易しく説いたものです。小学校の先生方が教室で明日からすぐに実践できる、論理的文章を書く学習指導を示すことを目指しています。
私が小学校の副校長や大学の教員であったこの数年間、小学校の若手の先生方が、職員室や研修会で国語の授業には次のような困り事があると話してくれました。
1 国語は算数や社会、理科などに比べ、教える内容がはっきりしないため、何を教えたらいいのか分からない。
2 国語は教科書が厚く、学年末に終わらせるのが精一杯である。
3 学校行事に追われ、新しい教材の準備が間に合わない。
4 教科書の指導書や赤刷りが指示したとおりに教えると、授業時間が不足する。
5 学期末、年度末に国語の授業を減らし、終わらなくなった他教科の授業にあてる。
小学校現場では国語教科書以外の教材を、新たに追加して教えることはとても難しいようです。
国語教科書の教材を指導書や赤刷りのとおりに教えていたのでは、小学生には論理的表現力はなかなか身につきません。
小学生に論理的思考力を身につけさせたいと志を立てた先生方は、この本で示した小論文指導を一年間に二、三回、教室で試してください。既に、小学校をあげての全校校内研究で、この指導法を試みて、成果を上げている学校がいくつもあります。是非、一度、実践してみてください。
/長谷川 祥子
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- 明治図書
- 作文から小論文への移行にむけて、中学生の授業で活用しました。2019/3/2630代・女性
- 来年度、校内研修が国語で書く力を伸ばすがテーマです。どうしていくか、研究主任として方向性を模索中です。参考にします。2018/3/1140代・小学校教員