- はじめに
- 第1章 オーダーメイドの「気になる子」支援と「周りにいる子」のかかわり
- 1 通常学級に存在するいろいろな子ども
- 2 「気になる子」は,みんな「発達障害児」か?
- 3 学級づくりはオーダーメイドとユニバーサルデザイン
- 4 「気になる子への支援」と「周りの子への影響」
- 5 「気になる子」の二次障害への配慮
- 6 発達段階に応じた課題を把握する
- 7 合理的配慮で子どもの心を育てる
- 8 学級全体への指導を考える
- 第2章 事例で丸分かり!「周りにいる子」をまきこんだ「気になる子」へのアプローチ
- T コミュニケーションの課題
- 1 言葉をあまり発しない子
- 2 自己肯定感の低い子
- 3 すぐにちょっかいを出す子
- 4 すぐにキレる子
- 5 相手との距離感が分からない子
- 6 一方的に自分のことだけを話す子
- 7 被害者意識の強い子
- 8 パニックになって固まる子
- U 学習面・行動面の課題
- 9 ノートをとるのが遅い子
- 10 計算が苦手な子
- 11 会話のキャッチボールが続かない子
- 12 立ち歩きの多い子
- 13 集中力が続かない子
- 14 忘れっぽい・約束が守れない子
- 15 団体行動が苦手な子
- 16 整理整頓ができない子
- 17 途中で諦めてしまう子
- 第3章 「気になる子」「周りにいる子」の関係づくりロールプレイング
- 1 ウォーミングアップ編
- マジック・ショップ@
- マジック・ショップA
- 「友達になろう」―3つの“紹介”ゲーム―
- 感情曲線
- 2 ロールプレイングの実際編
- 3 シェアリング編
- おわりに
はじめに
本書は,小学校の通常学級という場で,「気になる子」へ指導・支援する際に「周りにいる子」をまきこんでどうアプローチするかということを解説したものです。
「気になる子」とは,今まさに,学習面や生活面で指導中であるかこれから指導しようとしている子のことです。その時,対象児が心因性の問題または発達課題からくる不全感を抱えているのか,あるいは発達障害児であるのかないのかは問題ではないはずです。やるべきことは,理解と対応だからです。
ところで,「気になる子」に対し丁寧に指導・支援をすれば問題は解決したと言えるのでしょうか。答えは“否”です。時間と労力をかけ,気になる子を理解し何らかの変容を見たとしても,それだけでは足らない何かがあるはずです。「集団」です。子ども達は,学級という集団の中で日々の生活を営んでいます。時に,学級集団は学校にあっては家族のような意味合いを持ちます。「気になる子」が1人でもがいている時,学級集団がその子を支え力になる時があります。この繰り返しの中で,集団に所属するどの子も,「困っている時は,友達が助けてくれる」という感覚を心身の奥底に芽生えさせるのです。これらの関係性を教師の目線から見た時,「気になる子」を指導・支援する時には,その子が所属する集団に働きかけることが効果的だという結論が導かれます。そこで,本書の最大の特徴である「周りにいる子をまきこむ」というアプローチを発想しました。
本書は,3章に分かれています。第1章は,理論編として「気になる子支援と周りにいる子のかかわり」について論考しました。第2章は,「周りにいる子をまきこんだ気になる子へのアプローチ」について事例を盛り込んだ実践編としました。第3章は,「気になる子と周りにいる子との関係づくり」に役立つ手法としてロールプレイングをとり上げ,その実践と解説を記しました。本書によって,全国の小学校教師が「今,現実に取り組んでいる指導」に自信を深め,その上で「周りにいる子」をまきこんだアプローチという新たな視点に立っていただけるとしたら,それは望外の幸甚です。
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- 明治図書
- カウンセリング研修・幼稚園連合会の研修等々の際、復刻版を求める声を耳にします。2024/9/19ヤッシー
- 具体的な事例と共に、NG対応が記載されているのでとてもイメージしやすいです。教師だけではなく、周りの子ども達と一緒にアプローチをする、という考え方はこれからもより大切、不可欠になると思います。協働的な学習を進める際の参考にもなります。2023/7/1540代・中学校管理職
- 支援学級の子どもをはじめ、クラスにはいろいろな「気になる子」がいます。どうしたらいいかなとよく考えますが、教師対個人ではなく学級全体をで考え支援していくというのは、根底においておかなけければならない考え方だと思います。そういう意味で、使えます。2015/8/2850台 小学校教員