- はじめに
- 1章 身近な題材を取り上げた「資料の整理と読み」の教材作り
- @ 統計指導の目的
- (1)統計指導の目的と指導内容
- (2)統計の指導過程
- A 身近な題材としての環境問題
- (1)環境問題に関する統計資料を取り上げる意義
- (2)算数・数学教育における環境問題を取り上げた実践例
- (3)環境問題の題材例
- B 統計指導の工夫
- (1)指導の工夫1 1つの資料を「1つの表現形式」で表す場面@
- (2)指導の工夫2 1つの資料を「1つの表現形式」で表す場面A
- (3)指導の工夫3 1つの資料を「複数の表現形式」で表す場面
- (4)指導の工夫4 複数の資料を「1つの表現形式」で表す場面
- (5)指導の工夫5 複数の資料を「複数の表現形式」で表す場面
- (6)指導の工夫6 資料の傾向の理由を推測する場面
- (7)指導の工夫7 資料の範囲外の傾向を推測する場面
- (8)指導の工夫8 作り手や読み手の目的を考える場面
- 2章 数学的モデリングと統計的探究プロセス
- @ 数学的モデリングの理論的背景
- (1)数学的モデリング
- (2)数学的モデリングにおけるモデルの取扱い
- (3)モデルを作るねらい
- A 統計的探究プロセスと統計的リテラシー
- (1)統計的探究プロセス
- (2)数学的モデリング能力と統計的リテラシーの相違
- B 統計的モデリング
- (1)統計的モデルとモデルの選択
- (2)統計的モデリングにおけるモデルの取扱い
- 3章 身近な題材を取り上げた「資料の整理と読み」の教材&授業例
- @ 河川の現状と課題(2年・ひょうとグラフ)
- A 猛暑日・真冬日の気温変化(3年・棒グラフ)
- B 平均気温の変化(4年・折れ線グラフ)
- C ごみ処理問題とリサイクル(4年・折れ線グラフ)
- D 河川の特徴からとらえる人々の働き(4年・折れ線グラフ)
- E 通学路の交通調べ(4年・二次元表)
- F 工業の特徴(5年・帯グラフと円グラフ)
- G 降雪量の変化(6年・資料の整理)
- H 二酸化炭素排出量(6年・資料の整理)
はじめに
児童の興味・関心を高めるためには,様々な手立てがあろう。例えば,@児童にとって身近な題材を扱う,A児童の学力に合った問題を取り上げる,B話し合い活動やグループ活動を取り入れる,などがある。これまでよく行われてきたのは@であり,指導目標を明らかにし,児童にとって身近な題材を取り上げ,教材開発し,指導展開を構成することは,「地域教材研究」と呼ばれる。
地域教材にふさわしい題材を見つける視点として,「環境問題」がある。本書は,グローバルな環境問題ではなく,児童が住んでいる地域にあるローカルな環境問題を取り上げている。小学校において,環境問題を取り上げることで,児童が地域の特徴を深く理解することになる。
算数の学習内容の中でも「資料の整理と読み」は,題材選びが重要である。表やグラフの技能面(かき方や読み方)だけでなく,児童自身が目的をもち,資料を集め,表現手段を選んで表し,読み取り,結論を導く活動も必要である。児童がこのような活動をするため,取り上げる題材は興味・関心を引くものでなければならない。環境問題は,「資料の整理と読み」の題材としてふさわしい。
本書の目的は,小学校算数科における「資料の整理と読み」に関して,身近な題材を取り上げた教材を開発・実践することである。本書の構成として,1章では「資料の整理と読み」における身近な題材を取り上げた教材開発法を示す。2章では数学的モデリングの観点から「資料の整理と読み」の学習過程を示す。3章は実践編である。
※本書は『科研費(課題番号25381243)数学的モデリングを取り入れた環境教育教材の開発』による研究をまとめたものである。
2015年4月 /岸本 忠之
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- 明治図書
- 勉強になりました。2017/3/2720代・小学校教員