- はじめに
- 第1章 子どもの実態把握と「絵カードを用いた学習」と「文字学習」
- 1 「絵カードのマッチング」と「絵カード理解」は異なる!
- (1)絵カードマッチングができても見通しにつながらない?
- (2)子どもの実態の捉え方―MOアセスメント(簡易版)
- (3)子どもの「カードマッチング」の実態
- (4)自閉症スペクトラムの子どもはパニックを起こしやすい?
- (5)認識力とパニックには関連がある
- 2 文字学習に入る前に行うべき学習がある!
- (1)「絵カード」を用いた学習
- (2)「絵カード同士のマッチング」と「絵カードと文字のマッチング」
- (3)「もじ」「かず」以外に「もじ」定着のために育てたい力
- 3 「20段階の絵カードを用いた学習」で子どもに「もじ」を定着させよう!
- 4 「20段階の絵カードを用いた学習」と「MOアセスメント」との関係性
- 資料
- ・MOアセスメント(第3版)評価表と解説
- ・MO教材アセスメント簡易版 評価表と使い方
- 第2章 「20段階の絵カードを用いた学習」ワーク
- 1 同じ絵
- @果物/A乗り物/B動物/C生活用品/Dにんじん/Eトマト
- 2 色違いの絵
- @果物/A野菜/B動物/C生活用品/D三輪車/Eきゅうり
- 3 同概念の絵
- @植物/A食べ物/B生活用品/C天気/Dひまわり/E帽子
- 4 ニ分割の絵
- @生活用品/A文房具/Bスポーツ:球技/Cスポーツ:用具/Dポスト/Eかぶとむし
- 5 一部分拡大の絵
- @季節の行事/A生活用品/B楽器/C乗り物/Dシーソー/Eけん玉
- 6 場面全体の中から絵を探す
- @菓子皿/A交差点/B部屋/C畑/D水族館/E公園
- 7 正面絵と横(後方)絵・切り口の絵
- @乗り物1/A乗り物2/B動物1/C動物2/D果物/E野菜
- 8 影絵(輪郭線のみの絵)
- @乗り物/A働く自動車/B動物/C海の生き物/D果物/E野菜
- 9 細部が違う絵
- @雨具/A上着/Bてんとう虫/C眼鏡/Dケーキ/E花
- 10 上位概念が同じ絵
- @果物等/A野菜等/B楽器/C台所用品/D食べ物/E乗り物
- 11 関連するものの絵
- @日用品/Aスポーツ/B食べ物/C職業/D金魚鉢/Eおたまじゃくし
- 12 位置が同じ絵
- @バス/A2種の動物/B3種の動物/C3種の動物(3×3)/D9種の動物/E9種の動物(3×3)
- 13 配列・組み合わせが同じ絵
- @果物/A花/B食べ物/C昆虫/D寿司/Eお弁当
- 14 絵と絵を比較して間違い探し
- @果物/A食べ物/B給食/Cランチプレート/Dお花見/E公園
- 15 絵の欠所・不合理指摘
- @椅子の脚等/Aやかんの持ち手等/Bフォークが定規/C裸足/Dのこぎり,グローブ,めがねの調理/Eギター,歯ブラシ,靴
- 16 絵の配列
- @食べる/A飲む/B水をくむ/C雪だるまづくり/D積み木づくり/E植物の成長
- 17 並び順の規則性を予測
- @食べ物/A果物・野菜/Bお菓子/C動物/Dお寿司/Eケーキ
- 18 違う角度から見た絵
- @カップ等/Aマヨネーズ等/B花瓶/Cバケツ/D男の子が見ているもの/E女の子が見ているもの
- 19 始まりの音が同じ絵
- @あいうえお/Aかきくけこ/Bさしすせそ/Cたちつてと/Dなにぬねの/Eはひふへほ/Fまみむめも/Gらりるれろ
- 20 しりとりで絵をつなげる
- @つくえ/Aパイナップル/Bスイカ/Cマスク
- CD-ROM収録データの紹介
はじめに
「知的障害のある子への指導」と一口に言っても,対象となる子どもの年齢,認知発達の程度,障害種など,子どもの実態は個々に異なっています。本書では,認知発達の程度が2〜5歳程度の子どもを主な対象としてまとめました。
前著『知的障害のある子への〈文字・数〉前の指導と教材ー楽しく学べるシール貼りワーク&学習段階アセスメント表付きー』(2010,明治図書出版)では,主に認知発達が2歳以前の子どもをイメージしていました。それまで,私は,認知発達が1〜3歳程度の子どもへの指導を専門にしてきたのです。その後,本書をまとめるまでの間に,私は「認知発達が3〜5歳程度の子どもへの指導」を自身のテーマに掲げ,実践および研究を重ねてきました。
多くの子どもたちに接し,学習指導をさせていただきました。うまくいったことばかりでなく,うまくいかなかったこともたくさんありました。そして,うまくいかなかったことからもたくさんのことを学びました。「文字学習に焦って入ってはいけない」「文字学習に入る前にもっと色々な課題を用意しなければいけない」という強い思いをもつようになりました。
子どもたちみんなが発達段階通りに成長するとは決して思わないでほしいのです。本書には「MOアセスメント」として子どもたちの様子をとらえるための簡単なアセスメント方法も掲載しています。けれど,発達段階はあくまでも「参考」です。焦らずに,子どもの様子を総合的に見ながら指導を進めていく必要があります。決めつけすぎると大失敗します(とはいえ,子どもの様子を捉えるために「アセスメント」の知識は必須!というのが難しいところですが……)。
本書の後半には,「20段階の絵カードを用いた学習」ワークを掲載しています。子どもの発達段階にあわせて,効果があった学習ワーク集です。子どもの様子を総合的に判断しながらどうぞご活用ください。「文字学習に入る前に,絶対やらなくてはならないのか?」「この段階ができていなければ,絶対に文字学習へ入ってはいけないのか?」などと絶対的に考えなくてかまいません。文字学習に入る前に,あるいは文字学習と並行して,焦らず上手にご活用いただければと思います。
先生のご指導の成功と,子どもたちの成長に役立てばこの上ない喜びです。
なお,「20段階の絵カードを用いた学習」ワークで上手くいかない場合は,実際に操作できる「絵カード教材」に作り替えていただくとうまくいく場合もあります。本書付属のCD-ROMには,教材作成の手助けともなるよう,カラー版のワークやイラストも多数収録しています。どうぞご活用ください。
著者 /大高 正樹
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- 明治図書
- 具体的なイラストが掲示してあり、わかりやすいし、実際の場面でも使用してみようかと思いました。2020/5/30ともとも
- 活用できそうです2020/5/1640代・女性
- CD−ROMがついていてお得感がありました。2017/9/230代・女性