- はじめに
- 第1章 なぜ学校の荒れがおさまらないのか?
- 子どもたちの変化
- 変化する学級崩壊
- 発達障害と愛着障害
- あの子は発達障害?
- 原因探しで疲弊する学校
- 原因に惑わされない
- 「目的」に目を向けてみる
- 最終的に子どもに負けている
- 自分勝手なことをしても許される
- 適当に謝罪をすれば許される
- 第2章 荒れのレベルを見極める
- 「教室の荒れレベル」を見極める
- 教室の荒れレベル
- 教室の荒れレベル1 問題行動を起こしている子とまじめにやっている子の関係がまだ良好である
- 教室の荒れレベル2 問題行動を起こしている子のことをまじめにやっている子が迷惑に感じている
- 教室の荒れレベル3 まじめにやっていた子の一部が問題行動を起こす子のまねをし始める
- 教室の荒れレベル4 問題行動を起こす子が教室の主導権を握る。まじめにやっている子が減っていく
- 第3章 指導の線引きを明確にする
- 存在を示す
- 観察させる
- 指導の線引きを明確にする
- 3ボウ
- 命の危険につながる行為(暴力)
- 先生の仕事ってなに?
- 他人の尊厳を踏みにじる行為(暴言)
- 「当たり前」の質を下げさせない
- 他人の邪魔をする行為(妨害)
- エスカレートしていく妨害行動
- 指導の瞬間を見極める
- 線引きを明確にした指導とは?
- 線引きを踏み越えた瞬間を見逃さない
- 線引きの重要性@ 問題行動を起こす子にやってはいけないことの線引きを教える
- 緊急ブレーキを整備する
- 線引きの重要性A 同調する子に釘をさす
- 様子見をしている子どもたち
- 線引きの重要性B まじめにやっている子へエールを送る
- クラスを支えているのは誰?
- 第4章 主導権を握って指導する
- 目には見えない「主導権」
- なぜあの先生の言うことは聞くのか?
- 主導権のありかを見抜く
- 釣り糸を垂らしているのはどっち?
- 目には見えない主導権を意識する
- 主導権を握った指導 キーワード@「目線」
- 「目線」を意識して主導権を握る
- 見つめすぎない、でも見逃さない
- 最適な立ち位置を探る
- 見つめすぎないで荒れを止める
- 反抗的な態度を見せつけてくる子
- 目線のみで主導権を握る
- 本気で見つめて荒れを止める
- 本気を伝える目線
- 主導権を握った指導 キーワードA「距離」
- 「距離」を意識して主導権を握る
- 指導にメリハリを生み出す
- 「ヒットアンドアウェイ」
- 主導権を握った指導 キーワードB「動作」
- ゆったりとした動作
- 使えるジェスチャー5選
- ゆっくりと首をふる・手で◯、×をつくる・親指を立ててグッドをつくる
- 手を差し出す(ちょうだい)
- 行き先を指差して誘導する
- 無言の力
- 言葉が荒れの栄養になる
- 主導権を握った指導 キーワードC「言葉」
- 「言葉」を意識して主導権を握る
- 一貫して同じ言葉を
- お釈迦さまへの悪口
- 2択で迫る
- 2択提示の注意点
- 数をかぞえる
- 回数制限をする
- 主導権を握りながら成長へと導く
- 第5章 指導をつなぎ合わせる
- 「動の指導」と「静の指導」
- 自分の指導を客観的に見つめる
- 荒れをエスカレートさせる指導
- 「動の指導」が荒れをエスカレートさせる
- 「静の指導」を意識する
- 荒れを鎮めていく「静の指導」
- 「静の指導」から「動の指導」へ
- 「静の指導」が通じなかったら
- 第6章 大きな荒れに立ち向かう
- 大きな問題行動をどのように指導していくか
- 暴力行為が頻発する学校
- クールダウンルーム(CDR)をつくる
- 対話ができる場所づくり
- クールダウンルーム(CDR)での指導手順
- CDR活用のポイント 入室まで
- CDRは「おしおき部屋」ではない
- 主導権を握って対話を試みる
- 安全に運ぶ
- 次へとつながる指導に
- CDR活用のポイント 落ち着くまで
- 出るための道筋を示す
- 待ち続ける
- 心のバケツは上向きか?
- 動じない
- 階段をのぼったら成長
- 行動を制止する
- 暴れている子を止めるには?
- CDR活用のポイント 対話から退室まで
- 勇気を出して一歩踏み出したことを価値づける
- なぜここに入ることになったのかを考えさせる
- どうすればよかったのか・これからどうしていくのかを一緒に考える
- 担任の先生の所へ一緒に報告に行く
- CDRを有効に活用するために
- 「虐待」か「教育」か?
- 職員で共通理解を図る
- 子どもたちと共有する
- 道筋を示して語りかける
- CDR活用の記録
- 複数の子がつるんで暴れている場合
- 暴れる子のタイプ分け
- なぐりあいのケンカが勃発
- ケンカした子どもたち同士の関係が普段からとても悪いとき
- ステップ1 二人を別々の部屋に連れていく
- ステップ2 落ち着いている方にまず話を聞く
- プラスの言葉を引き出していく
- 指導ではなく応援を
- ステップ3 別室へ行き、暴れていた子の話を聞く
- ステップ4 思いを伝える
- 第7章 関係性を育む
- 荒れの根本を癒す
- 「かん・きょう」を整える
- 関係性を探る
- 3匹のこぶた
- 〈わらの家〉の関係
- 〈木の家〉の関係
- 〈レンガの家〉の関係
- 関係性をモニタリングする
- 関係性を耕す
- 心の栄養「あおやさい」
- 〈ありがとう・やさしいね〉
- 〈おもしろいね〉
- 〈いいね〉
- 保護者への伝え方
- 安心感で満たす「報・連・相」
- 解決してから話をする
- 笑顔が何よりの薬
- 「教室」を「戻ってこれる場所」に
- 信玄堤(霞堤)
- 焦らない
- 昨日よりも一歩でも前へ……
- 小さな成長を積み重ねていく
- おわりに
- 巻末資料
- Column
- ・ならぬことはならぬ
- ・自然体で繰り出されるテクニック
- ・個人の荒れはどのレベル?
- ・炭鉱のカナリア
- ・子どもの言葉にぐらつかない
- ・優しい嘘
はじめに
「学級が落ち着かなくて……」
そんな言葉をよく耳にするようになりました。
飛び交う奇声。頻発する暴力行為。虚しく響く先生たちの指導。日に日に状況が悪化していく教室。不安で眠れない夜。疲弊していく心。心の病で病休する同僚。やってこない欠員補充。回らない学校。笑顔と余裕がなくなっていく職員室……。
このような負の連鎖が続いている学校がたくさんあるのではないでしょうか? 私も経験したことがありますが、このような状況に陥ると、なかなか抜け出すことは難しいものです。みんな自分のことで手一杯。他の人のことを思いやる余裕などないのですから、状況がよくなるわけはありません。そんな苦しい状況の中、先生たちに求められる力は日に日に増しています。私の勤務校の若い先生たちも苦労しています。若い教師が大学で教えてもらえるのは「正しすぎる論理」だけです。
・常に笑顔で子どもたちに寄り添おう
・子どもたちがわかる、できると感じられる授業をつくろう
・ゲートキーパーとしての自覚をもち……
確かにこれらはすべての先生たちが意識しなければならないことです。しかし、先生といっても一人の人間です。先生たちを取り巻く環境は全く改善されないのに、責任だけは重くのしかかる。そんな状況では心の病を抱える先生が増加するのもしかたのないことでしょう。
大学では教科教育について学ぶけれど、問題行動対応へのイロハは何一つ学ばない。学習指導要領の解釈は学ぶけれど、保護者対応のイロハは教えてもらえない。これは銃弾が飛び交う戦場に裸で放り出されるようなものです。生き残れるわけがないのです。
私が筆をとったのは、このような状況にいる先生方が安心できる環境をつくりたいと思ったからです。心の病で脱落していく。そういう先生を生み出したくない。そんな気持ちで今文章を書いています。教師という職業は素晴らしく、やりがいのあるものです。その魅力を知ることなく教育現場を去っていく若者たちに伝えたいことがたくさんあります。この文章が誰かの足元を照らすものになりますように。
/古田 直之
そして、荒れ・問題行動がエスカレートしてしまった時の対応についても言及されており、とても参考になった。
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