- はじめに
- 第1章 道徳教材―授業展開とワークシート
- 1 この人に学ぶ―上杉鷹山
- 1 授業全体の解説/2 指導案/3 ワークシート
- 2 ネット将棋
- 1 指導案/2 ワークシート
- 3 志を立てる―伊能忠敬
- 1 指導案/2 資料について/3 授業全体の解説/4 ワークシート
- 4 この人に学ぶ―山中伸弥
- 1 指導案/2 資料「森深くして鳥高く飛ぶ」/3 指導上の留意点/4 ワークシート
- 5 山中伸弥さんの自由研究について
- 6 この人のひと言―河合隼雄
- 1 ねらい/2 展開/3 補助資料/4 ワークシート
- 7 一本の道を
- 1 指導案/2 ワークシート
- 8 礼儀を考える
- 1 ねらい/2 指導にあたって/3 展開/4 ワークシート/5 資料「光芒の果てに」
- 9 この人に学ぶ―松下幸之助
- 1 指導案/2 ワークシート
- 10 「賢者の贈り物」
- 1 資料について/2 授業のポイント/3 子どもたちの様子/4 指導案/5 ワークシート
- 11 この人に学ぶ―若田光一
- 1 資料について/2 授業のポイント/3 指導案/4 ワークシート
- 12 生涯の友―正岡子規と夏目漱石
- 1 指導案/2 ワークシート
- 13 この人に学ぶ―本田宗一郎
- 1 授業全体の解説/2 指導案/3 ワークシート
- 14 この人に学ぶ―新島八重
- 1 指導案/2 授業全体の解説/3 板書計画/4 ワークシート
- 15 この人に学ぶ―山岡鉄舟
- 1 授業全体の解説/2 指導案/3 ワークシート/4 補助資料
- 16 言葉の向こうに
- 1 指導案(1時間目)/2 指導案(2時間目)/3 ワークシート
- 17 この人に学ぶ―振分精彦(元小結高見盛)
- 1 指導案/2 ワークシート
- 18 この人のひと言―鈴木大拙
- 1 授業全体の解説/2 指導案/3 ワークシート/4 補助資料
- 19 帰郷
- 1 資料について/2 指導にあたって配慮したいこと/3 資料分析を通して教材研究を深める/4 内容項目について/5 指導案/6 ワークシート
- 20 知命
- 1 資料について/2 授業のポイント/3 子どもたちの様子/4 指導案/5 ワークシート
- 21 この人のひと言―吉川英治
- 1 ねらい/2 展開/3 補助資料/4 ワークシート
- 22 キミばあちゃんの椿
- 1 資料について/2 資料分析を通して教材研究を深める/3 生命の尊さのとらえ方/4 指導案/5 複数時間扱いや道徳教育としての単元構想/6 事後の工夫
- 23 この人に学ぶ―アンネ・フランク
- 1 授業の解説/2 指導案/3 ワークシート
- 24 この人のひと言―ルソー
- 1 資料「良心は魂の声」/2 指導案/3 授業全体の解説/4 板書計画/5 ワークシート
- 25 この人のひと言―老子
- 1 ねらい/2 展開/3 補助資料/4 ワークシート
- 26 二人の弟子
- 1 ねらい/2 展開/3 ワークシート
- 27 この人のひと言―夏目漱石
- 1 ねらい/2 展開/3 補助資料/4 ワークシート
- 28 二通の手紙
- 1 指導案/2 板書計画/3 道徳的思考を深めるための「価値分析表」/4 授業全体の解説/5 ワークシート
- 29 什の掟
- 1 ねらい/2 展開/3 補助資料/4 ワークシート
- 30 「一中生に,声をかけて下さい!」
- 1 資料について/2 授業のポイント/3 子どもたちの様子/4 指導案/5 ワークシート
- 31 鳩が飛び立つ日―石井筆子―
- 1 指導案/2 ワークシート
- 32 正義を重んじ公正・公平な社会を―世界人権宣言
- 1 指導案/2 ワークシート
- 33 正義を重んじ公正・公平な社会を―いじめ撲滅宣言
- 1 指導案/2 ワークシート
- 34 はやぶさプロジェクト
- 1 資料について/2 授業のポイント/3 子どもたちの様子/4 指導案/5 ワークシート
- 35 誰かのために
- 1 資料について/2 授業のポイント/3 子どもたちの様子と配慮すべきこと/4 指導案/5 ワークシート
- 36 一冊のノート
- 1 資料について/2 授業のポイント/3 子どもたちの様子/4 指導案/5 ワークシート
- 37 「旅立ちの日に」
- 1 ねらい/2 展開/3 ワークシート
- 38 ふるさとを愛するということ
- 1 資料「ふるさと納税」/2 指導案/3 ワークシート
- 39 この人に学ぶ―濱口梧陵
- 1 指導案/2 資料2「ふるさとを守る」/3 資料・授業について/4 ワークシート
- 40 この人に学ぶ―西岡常一
- 1 授業全体の解説/2 指導案/3 ワークシート/4 補助資料
- 41 中学生のみなさんへ―緒方貞子
- 1 指導案/2 補助資料/3 授業全体の解説/4 板書計画/5 ワークシート
- 42 海と空―樫野の人々―
- 1 指導案/2 補助資料/3 授業展開について
- 43 情報社会に生きる私たち
- 1 指導案/2 ワークシート
- 44 あなたの身近に いじめはありますか
- 1 指導案/2 ワークシート
- 第2章 道徳性の発達と教育への示唆
- 1 道徳性の発達
- (1)『中学校学習指導要領解説』にみる道徳性の発達
- (2)コールバーグの認知発達理論にみる道徳性の発達
- (3)水平的な発達と垂直的な発達
- 2 道徳性の測定・評価
- (1)道徳性の測定と評価について
- (2)道徳性の評価における留意点
- (3)道徳性の測定・評価を指導に生かす
- 3 中学生のためのフェアネスマインド検査と社会的視点取得検査
- (1)中学生版フェアネスマインド検査
- (2)中学生版社会的視点取得検査
- 4 道徳性発達段階の特徴(中学生)と教育への示唆
- (1)段階3(対人規範の道徳性,よい子志向)の特徴と教育への示唆
- (2)段階4(社会システムの道徳性,法と秩序の維持志向)の特徴と教育への示唆
- (3)道徳上の問題行動の事例
- (4)道徳性の発達段階と教育のまとめ
- 〔付録〕中学校学習指導要領(平成27年3月一部改正)より
- 索引
はじめに
新しい道徳教育の到来を告げる「道徳の教科化」を具体化した道徳の教育用教材『私たちの道徳』が2014年3月に文部科学省から出版され,小学校と中学校の子どもたち全員に配られた。この教材を使った授業が全国で始められている。物語資料については,その大部分は文部科学省から読み物資料として既に提供済みのものである。指導案なども示されている。これらについてはこれまでに多くの先生方によって実践されてきたところでもあり,様々なノウハウの蓄積もあるだろう。しかし,これ以外の,「コラム」,「小説」,「ワーク」,「格言」,「短歌」,「詩」,「ことわざ」など道徳教材,道徳資料について,その多くが,今回の教科化のために新しく用意されたり,開発されたものである。そこで,これらの教材を用いて,道徳性をいかに豊かに高めていくか,他律の道徳から道徳的自律につなげていくか,道徳的自覚をどう進めるか,道徳的実践力をつけて道徳実践を引き出すか,主体性を保ちながら自尊感情を育てるためにはどのような方法があるか,どのように教え育てることが子どもたちにとって優れた方法かなど,これらはいずれも大きな問題であり,課題である。
本書では,様々な新しい視点から,子どもたちを他律の道徳から自律の道徳に育てるために,多様な授業方法を提案する考えである。ただビデオや映像といったメディアの使用についても大きな可能性を期待できるのであるが,本書では,著作権の問題もあって,補助資料を用意したとしても写真や絵を含めた文字媒体に限っている。
それとともに,授業づくりの背景として,道徳性の発達における個人差に注目したことである。コールバーグ博士が構築した道徳性の発達段階理論,3水準6段階の発達の考え方は現代の金字塔である。この考えを拠り所に,子どもたちの道徳性の個人差に合わせた道徳の授業提案を行うものである。またこれに留まらず,日常のクラス運営や学級経営に,また生徒指導や学習指導においても,ここで示した指導原理が有効だという点についても言及する。
本書の執筆については,出版趣旨に同意をされた多くの先生方の参加があってここに完成をみました。道徳性の発達に関心を持つ学校現場の小学校,中学校の先生方,教育行政に携わっている先生方,道徳教育指導員の先生方,大学で「道徳教育の指導法」や「道徳教育の研究」等の担当の先生,研究者の皆さまには十分なコンセンサスのない中,ある意味で未踏の分野にくさびを打つという難しい仕事を短時間でやっていただきました。何度かの往復メールの末に方向が定まったケースも多々あります。皆さまにはそれぞれにご苦労を掛けました。お礼申し上げます。新しく出された『私たちの道徳』にワークシートを追加し,子どもたちの道徳性を発達させるべく「うまい活用」を提案するという極めて難しいこの課題への挑戦を支えた「道徳性発達研究会」の仲間,編集の労を引き受けた,堀田泰永,松尾廣文,楜澤実,荊木聡,松本朗の皆さまに感謝の意を表します。有難うございました。
この新しい挑戦が道徳好きの子どもを増やし,子どもたちの道徳的自律を促し,自尊感情の育成につながり,子どもたちの幸せに役立つことを強く願っております。
本書のシリーズ第1作目『考える道徳を創る 「わたしたちの道徳」教材別ワークシート集 1・2年編』の完成原稿を明治図書にお送りしてから数週間後に,樋口雅子編集長から突然の退職の知らせを受けました。樋口編集長には永年にわたって私たちが取り組んでいるコールバーグ理論に基づくモラルジレンマ授業を支援していただきました。2012年には,樋口さんの企画で『モラルジレンマ教材でする白熱討論の道徳授業』小学校編と中学校・高等学校編を次々に出版でき,学校現場の先生方より大きな反響を得るとともに好評を博し,短い期間に重版となりました。今回はこれに続く新しい企画で,私たちも大きな可能性と期待を持って取りかかってきました。この場をお借りしてこれまでの樋口雅子様のご厚情に厚くお礼と感謝を申し上げます。
最後になりましたが,本書は雑誌『道徳教育』の編集に長年関わってこられたベテラン茅野現氏が引き継がれ,私たちの出版にかける思いをくみ取り関わっていただけた結果が,今回の出版となりました。改めて明治図書編集部茅野氏に感謝申し上げます。
2015年3月 編集を代表して /荒木 紀幸
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- 明治図書
- ワークシートが参考にしやすかった。2016/6/2540代・中学校教諭