- 刊行に寄せて
- まえがき
- Chapter1 単元を貫く言語活動を位置付けた「伝統的な言語文化」の授業づくり
- 1 国語授業を変える「伝統的な言語文化」の授業づくり ―その基本的な考え方
- 1 5/95が国語の授業を変える!
- 1 「伝統的な言語文化」とは
- 2 学習指導要領における「伝統的な言語文化に関する事項」設定の経緯
- 3 「伝統的な言語文化」の単元開発の意義
- 2 これからの社会を生き抜く子供たちと伝統・文化
- 1 現代の社会と伝統・文化
- 2 これからの社会を生きる子供たちに必要な資質・能力とは
- 3 グローバル化社会における伝統・文化の意味
- 4 「伝統的な言語文化」と思考力・判断力・表現力の育成
- 5 地域・学校文化に根差した手づくりの授業だからこそできる教育
- 3 発達の段階に応じた教材の取扱い―2つの徒然草序段を巡って
- 1 「伝統的な言語文化」に関する事項の確認
- 2 系統的な指導の重視
- 3 発達の段階に応じた教材化の一例
- 2 「伝統的な言語文化」の教材開発のポイント ―3つの視点によるアプローチ
- 1 教材化の視点1 「選ぶ」
- 1 古典の学習における「選ぶ」ことの意味
- 2 「選ぶ」ことを取り入れた教材のメリット
- 3 「選ぶ」ことを取り入れた教材化の具体例
- 2 教材化の視点2 「比べる」
- 1 古典の学習における「比べる」ことの意味
- 2 「比べる」対象の検討
- 3 「比べる」ことを取り入れた教材化の具体例
- 3 教材化の視点3 「つくる」
- 1 中央教育審議会答申における位置付け
- 2 学習指導要領における位置付けとその具体化
- 3 「つくる」ことを取り入れた学習活動の具体例
- 3 単元を貫く言語活動を位置付けた「伝統的な言語文化」の単元構想
- 1 言語活動の充実の意義と「伝統的な言語文化に関する事項」の単元構想
- 1 「学習指導要領・国語」における言語活動の例示
- 2 国語における「言語活動の充実」の課題
- 3 「伝統的な言語文化」に関する指導と「言語活動の充実」の質的な関わり
- 4 単元を貫く言語活動を位置付けた授業づくりに向けた指導上の留意点
- 2 「伝統的な言語文化に関する事項」の単元構想のステップ
- 1 単元構想の全体像
- 2 単元を貫く言語活動を位置付けた授業構想の具体的な4つのステップ
- 3 「伝統的な言語文化」を取り上げた単元構想「第二次」の改革
- 3 年間を見通した「伝統的な言語文化に関する事項」の指導
- 1 年間を見通した指導とは
- 2 年間指導計画の工夫
- 4 「伝統的な言語文化」の授業開発10の視点
- 1 系統的な指導に関わる視点
- 2 授業開発・教材化に関わる視点
- 5 明日からできる!「伝統的な言語文化」の授業づくり20のヒント
- 1 古典本来の特徴を生かすヒント
- 2 単元構想・言語活動に関わるヒント
- 3 本時の手立てに関わるヒント
- 4 教材開発のヒント
- 4 「伝統的な言語文化」の指導における学習評価
- 1 「伝統的な言語文化に関する事項」の評価の在り方
- 1 「伝統的な言語文化に関する事項」の評価のポイント
- 2 評価の観点についてどう考えればよいのか
- 3 単元の評価の観点設定についてどう考えればよいのか
- 2 学習指導案の作成と「伝統的な言語文化に関する事項」の評価
- 1 学習指導案等における指導目標と評価規準の記載
- 2 「伝統的な言語文化に関する事項」を取り上げた単元の指導とその評価規準の設定
- 3 「伝統的な言語文化に関する事項」の指導における評価規準設定の具体例
- 1 評価規準設定の具体的な姿
- Chapter2 思考力・判断力を育てる「伝統的な言語文化」の言語活動プラン
- 1 思考力・判断力を育てる「伝統的な言語文化」の言語活動のポイント
- 1 思考力・判断力を育てる「伝統的な言語文化」の言語活動を考える際の基本姿勢
- 2 思考力・判断力を育てる「伝統的な言語文化」の言語活動のポイント
- 3 地域素材の学習材化を図った研究実践
- 2 思考力・判断力を育てる「伝統的な言語文化」の言語活動プラン
- @ 第1学年読むこと 「おはなしカルタ」でおはなしのすきなところをしょうかいしよう
- A 第2学年書くこと 「せかいに一つだけのむかし話」をつくろう
- B 第3学年読むこと お気に入りのとう場人物が出てくるみん話を「みん話の家」でしょうかいしよう
- C 第4学年読むこと 「昔話新聞」で竹取物語のみりょくをしょうかいしよう
- D 第5学年読むこと 古典の世界に招待しよう
- E 第6学年読むこと 竹取物語を読んで,古典のおもしろさを推せんしよう
- F 特別支援学級読むこと 「かぐやひめ」の音読劇をひらこう
刊行に寄せて
私たちは,言葉によって,互いの思いや願いを遠く離れた人々と伝え合うことができます。同時に,言葉によって,遠く時代をさかのぼって過去の人々の思いを受け取ることもできます。また反対に自分たちの紡ぎ出した言葉が将来誰かに伝わることもあるでしょう。そうしたことを想うとき,言葉のすばらしさを改めて実感します。
さて,「伝統的な言語文化に関する事項」は,平成20年に改訂した「学習指導要領・国語」の,重要な改善点として位置付けられています。本書は,この指導の在り方の解明に真正面から挑んだものです。
Chapter1では,学習指導要領の移行期である平成21年度から22年度の2か年間にわたり,月刊誌『教育科学国語教育』(明治図書)に連載した拙稿を基に,新しい内容も加えて,「伝統的な言語文化に関する事項」の指導の基本的なポイントを整理しました。
Chapter2では,奈良県広陵町立真美ヶ丘第一小学校の実践を掲載しています。真美ヶ丘第一小学校には,平成26年度全国小学校国語教育研究大会奈良大会(実行委員長・西岡由郎真美ヶ丘第一小学校長 当時)の会場校の1つとして,「伝統的な言語文化に関する事項」の指導の在り方について,その優れた研究成果を全国に発信いただきました。その特色は,全校を挙げて,地域素材である「たけとり」の教材開発に取り組んだところにあります。大きな成果として,次の4点が挙げられます。
○地域素材「たけとり」を生かした多様な教材・単元を開発
○主体的な思考・判断等を発動する単元を貫く言語活動を開発
○全校を挙げて「たけとり」の教材化に取り組んだことにより,系統性を明確化
○特別支援学級における「伝統的な言語文化」に親しむための言語活動を開発
具体的には,例えば第3学年と第4学年とで,いずれも「たけとり」を素材として単元を開発する際,両者にはどのような指導のねらいの違いがあるのか,またそのねらいに基づいて,どのような言語活動を選定するのかといった,詳細な検討を通して,学年の発達の段階や指導のねらいに応じた指導を実現しました。
この研究の成果は,「伝統的な言語文化に関する事項」の指導はもとより,国語科の学習指導全体にも大きく寄与するものと考えています。
本書が,国語科の授業改善を目指す多くの方々の参考となるよう願ってやみません。
西岡由郎前校長先生はじめ,真美ヶ丘第一小学校の先生方には優れた研究実践を惜しみなくご提供いただきました。また本書の刊行に当たっては明治図書出版株式会社・木山麻衣子氏に大きなお力添えを賜りました。ここに深く感謝申し上げます。
平成27年6月 文部科学省 教科調査官 /水戸部 修治
-
- 明治図書
- 理論と実践がわかりやすくまとめてある。2017/9/1540代.大学教員
- 伝統的な言語文化の新しい実践例が紹介されていて大変よい。とかく暗誦・音読になりがちな伝統的な言語文化の学習材を思考力・表現力の育成に結びつけるヒントになる。2015/9/550代・男性
- 雑誌の連載がまとめてあって良かったです。2015/7/15シャア