- はじめに
- 1章 低学年・書く力が驚くほど伸びる「一〇〇マス作文」指導の基礎基本
- 1 「一〇〇マス作文」一〇のルールについて
- 2 「一〇〇マス作文」で低学年の書く力を高める視点
- 3 低学年の「一〇〇マス作文」 ―楽しみながら書く力を高める指導のポイント
- 4 本書の使い方について
- 2章 [授業編]どんどん書けるイラスト「一〇〇マス作文」ワーク
- 1年
- 言葉を集める
- 1 ごちそうをあつめよう
- 一文を書く
- 2 おもいうかんだことをかいてみよう
- 絵と文を書く
- 3 はなやみのようすをかいてみよう
- 色や数に着目して書く
- 4 ぷうるでおよいだよ
- 形や様子に着目して書く
- 5 どんなかたちにみえるかな?
- スリーキーワード作文を書く
- 6 「かさこじぞう」のかんそうをかこう
- 7 いもほりのおもいで
- 8 うそさくぶんをかこう
- 見たこと作文を書く
- 9 ようすをよくみてかこう
- 10 なにがでてくるのかな
- 11 こわれたおもちゃ
- いろいろな言葉を使って書く
- 12 「たっぷり」ということばをつかってかこう
- 味や匂いに着目して書く
- 13 おいしかったおにぎり
- 2年
- ナンバリングを使って書く
- 1 うんどう会でがんばりたいことを書こう
- 2 春の遠足
- 3 わたしのすきなもの
- ダンボ作文を書く
- 4 新しいたんにんの先生は…
- 5 みぢかな人からことばをひろおう
- 6 まわりからどんな音が聞こえてくるかな
- 順序よく書く
- 7 おうちでお手つだいをしたことをかこう
- 俳句や川柳を作ろう
- 8 ハラハラドキドキしたことを書こう
- 詩を書く
- 9 さい近ハラハラドキドキしたこと
- 物語の気に入った場面を書く
- 10 お気に入りの場めんはどこですか
- たとえとオノマトペを使って書く
- 11 たとえとオノマトペをつかって書こう
- なりきり作文を書く
- 12 ねこになりきってねずみをよぼう
- 3章 [行事編]どんどん書けるイラスト「一〇〇マス作文」ワーク
- 1年
- あさがおを書く
- 1 あさがおのようすをかこう
- 花や野菜や虫たちをよく見て書く
- 2 はなをみつめてかこう
- 3 やさいをみつめてかこう
- 4 むしのようすをかこう
- 七夕の願いごとを書く
- 5 ねがいごとをかこう
- ハラドキ作文を書く
- 6 とってもハラハラドキドキしたよ
- 冬を見つけて書く
- 7 どうぶつたちはさむくないのかな
- 8 ゆきであそんだ
- 9 おばあちゃんのことば
- 幼きもの小さきものに心を寄せて書く
- 10 せんせい、かわいいですよ
- 春の行事を書く
- 11 まめまきのようすをかこう
- 春を見つけて書く
- 12 せんせい、ことしはじめてみました
- 2年
- 春の学校行事を書く
- 1 はのけんさのようすをかこう
- 夏を見つけて書く
- 2 夏やさいでりょうりを作ったよ
- 3 風が気もちよかった
- 4 花火
- 口や舌や鼻を働かせて書く
- 5 サラダはどんなあじかな?
- 秋を見つけて書く
- 6 いもほりをした
- 7 夕やけ
- 8 しゅうかくさいで見たこと
- 家族の働いている様子を書く
- 9 ことばをひろって書こう
- 家ぞくとのふれあいを書く
- 10 家ぞくでなべを食べました
- 年末年始の風物を書く
- 11 きのうと今日では大ちがい
- 感謝の気持ちを書く
- 12 たんにんの先生へかんしゃの気もちを書こう
- 巻末資料 低学年用一〇〇マス作文原稿用紙
- あとがき
はじめに
二〇〇七年に刊行しました拙著『書く力を高める小学校「一〇〇マス作文」入門』は十一版を数えるに至りました。またその後、二〇一二年二月に刊行しました『どの子も楽しく書ける! イラスト「一〇〇マス作文」ワーク 1・2年/3・4年/5・6年』も好評のようです。「一〇〇マス作文」が大変多くの先生方や学校に関心を持っていただけたことが分かります。本当にありがとうございます。
実際、私自身、各地で行われている研究会に参加したときに「あっ、これは一〇〇マス作文を応用した取り組みだな」と思うことがあり嬉しくなります。廊下や階段のコーナーに俳句や川柳の作品が掲示されているのを見るとニコニコしながらつい見入ってしまいます。また、インターネット上では、成果をあげた一〇〇マス作文の取り組みがたくさん紹介されており感謝しています。それとともに私自身が更に大きな刺激を受けています。
そういう中で、先生方が児童に与える題材がなく困っていることが耳に入ってきました。何をどうやって与えたらいいのか分からず困っているというのです。『「一〇〇マス作文」入門』を刊行した後に「題材選択能力を自分自身で高めていければよいのだが、全国の先生方が指導したり子どもたちが自分で見つけたりできるヒントとなるようなワークを…」という願いがあってイラスト・ワーク集を出したのですが、少し例示が足りなかったようです。別の見方をすると、児童に書きたい題材を見つけさせることがいかに難しいかというとらえ方もできます。
折りしも、明治図書の木山麻衣子編集長より「より多くの題材選択のヒントを載せてほしい」というワーク集の続編刊行のお誘いがあり、意を決して取り組んできた次第です。
従いまして、本書にはたくさんの題材のヒントを載せました。行事編には、学校や地域の行事、四季の自然や風物、家族やペットとのふれあい等の題材を載せました。授業編には、どういう方法や見方で書いたらいいのかという方法を載せました。それらをミックスして指導に生かしてほしいと願っています。
ただ、私自身が山陰の片田舎に住んでいるために、全国各地の自然や風物等に合わないものやとらえられていないものがあります。そこは行間を読んでいただき各地方の実態に合わせてください。また、私は現在中学校に勤務しています。小学校の現場を離れ五年の月日がたちました。ですから最近の小学校の実情にそぐわない点も多いと思います。その点もどうぞご容赦いただきたいと思います。
本書の中のたくさんのヒントが、先生方の指導に役立つことを願っています。しかし、あくまでも、題材は児童自らが見つけること、つまり題材選択能力の育成こそが大事であることを忘れないでください。そのための一助と考えてください。
さて、私はいくつかの作文コンクールの審査をしています。その審査を通して、最近考えたことを三つ書きます。
一つ目は、ナンバリングのことです。自分の考えをまとめたり説明したりするためにはとてもよい方法です。一〇〇マス作文シリーズでも推奨してきました。ここでも今使っています。けれども、書きやすいためか、このナンバリングを使って書いた説明的な作文をとても多く見るようになってきました。成果でもありますが、実は残念に思うこともあります。例えば、家庭や家族をテーマにした作文コンクールでは「家族で大切にしているルールが三つあります。一つ目はあいさつです。…」、人権作文コンクールでは「ぼくが気を付けていることは二つあります。一つは悪口を言わないことです。…」等のナンバリングスタイルの作文がとても多いからです。ルール作文と名付けていますが、これでは入賞は無理です。コンクール等に出す作文は、一つのテーマで、あるエピソードをもとに自分の考えたことを書いていく生活作文や意見文であってほしいと思います。
二つ目は、オノマトペのことです。オノマトペとは擬声(音)語と擬態語のことですが、これをたくさん使って書かれた作文は情景のよく分かる作文になる、端的に言うとよい作文になると改めて感じました。日本には豊富なオノマトペがあります。本書の中にもオノマトペや副詞等について書いています。「オノマトペを三つ以上使って書け」といったように、児童にどんどん使うように指導してください。きっと楽しく書き進めると考えます。
三つ目は、考えたことです。私たちは以前から「感じたことを書け」と言って指導してきました。それも否定しませんが、大事なのは「考えたことを書くこと」だと最近強く思うようになってきました。ものを見て感じたことではなく考えたことを書く、エピソードを通じて考えたことを書く、そういう考えたことを書かせていく姿勢が大切ではないかと考えています。何を感じたかではなく何を考えたか、この本をお読みになっている先生方にはぜひそういう姿勢で児童を教え導いてほしいと願っています。
私は、この本を、次の世代を担っていかれる若い先生方へ是非とも伝えておきたいという気持ちで書きました。私の教員人生はあとわずかしか残っていません。ですから、この機会を是非とも生かしたいと考えました。この本の本文を、敬体ではなく常体で書いたのも、少し強い調子で書いたところがあるのもその気持ちからです。ですから、読者の皆様に傲慢な感じを与えたかもしれません。それは、年がいった者の戯言とお許しください。
お世話になった教育という世界に少しでも恩返しができればと考えています。
皆様のこれからの教育実践に役立ちそうなことが一つでもあれば幸いです。
二〇一五年四月 /三谷 祐児
-
- 明治図書