- はじめに
- 第1章 子ども熱中! 中学地理「アクティブ・ラーニング」授業モデル
- 子ども熱中!「アクティブ・ラーニング」授業モデルの使い方
- @授業のポイント
- →授業の伏線の張り方や生徒に興味をもたせるポイントをまとめました。
- A授業の展開例
- →授業における教師と生徒の具体的なやりとりを会話形式でわかりやすくまとめました。具体的に入れていますので,参考になるところがありましたら使ってください。
- B+αの活動例(こんな学習にもつなげたい)
- →次の授業への接続や,このような実践にもつなげることができる,といった具体例を紹介しました。生徒たちの興味・関心を高める題材を具体的に紹介しています。
- ◆Introduction・地理的分野をアクティブにするポイント
- 難題「動態地誌」にどのように向き合うか
- 1 オーストラリアはなぜ羊毛の輸出がさかんなのか
- 【オセアニア州@】
- 2 オーストラリアはなぜ白豪主義をとったのか
- 【オセアニア州A】
- 3 「母を訪ねて三千里」を見て南アメリカを大観しよう
- 【南アメリカ州@】
- 4 豚の食べすぎは森林破壊につながる?
- 【南アメリカ州A】
- 5 適した気候に適した作物あり。アメリカ合衆国の農業
- 【北アメリカ州】
- 6 超高層ビルは世界のどこに多いのか
- 【アジア州】
- 7 日本酒を一番多く生産しているのは何県か
- 【近畿地方:歴史的背景を中核とした考察】
- 8 菊はなぜ別れの花になったのか
- 【中部地方:産業を中核とした考察@】
- 9 なぜ静岡県は茶の生産がさかんなのか
- 【中部地方:産業を中核とした考察A】
- 10 出稼ぎから考える東北地方
- 【東北地方:生活・文化を中核とした考察】
- 第2章 子ども熱中! 中学歴史「アクティブ・ラーニング」授業モデル
- ◆Introduction・歴史的分野をアクティブにするポイント
- 多様な活動と切り口で歴史に興味をもたせよう
- 1 唐・新羅軍が攻めてくる!君ならどこを守る?
- 【白村江の戦いと大宰府】
- 2 奈良時代の貴族は何を食べていたのか?
- 【貴族の食事と税制度】
- 3 天神様って誰のこと
- 【怨霊と平安貴族】
- 4 プロジェクトM〜クイズでわかる室町時代〜
- 【室町時代の産業と文化】
- 5 割れている山の秘密
- 【佐渡金山と江戸時代の交通網】
- 6 歌詞から探るインカの悲劇
- 【ヨーロッパ人の世界進出】
- 7 これはいったい何の地図?
- 【第一次世界大戦の背景】
- 8 竹やりで本土決戦に備えよ!
- 【戦時下の人々の生活】
- 第3章 子ども熱中! 中学公民「アクティブ・ラーニング」授業モデル
- ◆Introduction・公民的分野をアクティブにするポイント
- 主権者として意思決定する力をどのように育てるのか
- 1 君は1人暮らしをしたいか?
- 【家族と社会生活】
- 2 結婚=同じ名字はあたり前?
- 【男女平等社会と家族(平等権)】
- 3 どうすれば上がる?投票率
- 【選挙の課題と基本原則】
- 4 生まれる前の生命に人間はどこまで関わるべきか
- 【科学技術の発展と人権】
- 5 インターネットでの薬販売のルールを考えよう
- 【販売形態の変化と新しいルールづくり】
- 6 これはいったい何のマーク?洗濯表示の国際規格
- 【グローバル化】
- 7 あなたは賛成,反対?核兵器不使用声明
- 【世界平和と核兵器】
- 付 録 子ども熱中! 中学社会ワクワクドキドキゲーム
- ◆景気七転び八起きすごろく
- 【公民ゲーム】
- ◆緯(イ)ンディー経(ケイ)ンズ〜伝説の秘宝を追え〜
- 【地理ゲーム】
- おわりに
はじめに
最初にお断りしておかなければならない。この本の題名には「アクティブ・ラーニング」という言葉を使っているが,この題名は執筆当初から決まっていたわけではない。この本は,社会科の各分野で私が問題意識をもっていることについて,実践をまとめるために書き始めたものである。「動態地誌」「討論」など,分野特有の難しい学習内容や活動について書いてはいるが,この本の根底にある目的は,生徒の興味を引き出し,主体的に考え,活動する授業を紹介することにある。
原稿を書き進めながら,仲間と打ち合わせをしていくなかで,最終段階でこの本の題名に「アクティブ・ラーニングの文字を入れたらどうか」という提案を受けた。「アクティブ・ラーニング」とは最近よく耳にする言葉であるが,文部科学省による言葉の定義は次のようになる。
教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり,学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって,認知的,倫理的,社会的能力,教養,知識,経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習,問題解決学習,体験学習,調査学習等が含まれるが,教室内でのグループ・ディスカッション,ディベート,グループワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。
「アクティブ・ラーニング」は平成24年の大学教育の質的転換を求めた中教審の答申に出てくる用語である。当初は大学の授業改善のために用いられたが,小中学校の次期学習指導要領と関係深い,平成26年の中教審に対する文部科学省の諮問でも,次のように使われている。
「何を教えるか」という知識の質や量の改善はもちろんのこと,「どのように学ぶか」という,学びの質や深まりを重視することが必要であり,課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)や,そのための指導の方法等を充実させていく必要があります。こうした学習・指導方法は,知識・技能を定着させる上でも,また,子供たちの学習意欲を高める上でも効果的であることが,これまでの実践の成果から指摘されています。
これらの文章からは,「能動的な学修」や「課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習」をすれば,「知識・技能の定着」や「学習意欲を高める」ことに役立つということが読み取れる。
このように,「アクティブ・ラーニング」は,教育界の流行の言葉になりつつあるが,私が以前から取り組んできた「生徒が主体的に考え,活動する授業」と全く変わらない学習であると判断した。そして経験上,これを続けていけば「知識・技能の定着や意欲を高めることができる」という考えにも共感できる。
現場の教師は,新しい教育用語が出てくると「何か難しいことが新たにはじまるのか」という不安をおぼえることが多い。だが,従来通り,教師なら誰もが目指している魅力ある授業づくりを行っていれば,「アクティブ・ラーニング」には十分に対応できると考えている。だから私は,それを証明するためにも,この言葉をあえて題名に使うことにした。
この本には,私が長年携わってきたディベートの手法を取り入れた授業や,スマートフォンを使った授業,そして誰もが楽しめるゲーム教材など,生徒がアクティブに動かずにはいられない実践ばかりを選りすぐって載せている。そして,現行の学習指導要領で特にクローズアップされている,地理的分野の「動態地誌」や公民的分野の「対立と合意,効率と公正」についても意識して書いたつもりである。アクティブな授業を目指す先生方には,ぜひお勧めしたい。
編著者 /北村 明裕
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- 明治図書
- プラスアルファの活動例が掲載されているところがよい。授業にふかまりがでます。2017/8/650代・中学校教員
- 中学校での社会科の授業イメージがつかめました。小学校との接続が大切だと感じています。2016/9/2240代小学校教諭
- 分かりやすい本です。若手教師向き。2016/6/2850代・小学校管理職
- 社会科におけるアクティブラーニングの基本概念を知ることができました。2016/6/540代・中学校教諭
- 社会科の授業実践がわかりやすい。2015/6/520代社会科教諭