- まえがき
- 中学校で「特別の教科 道徳」の授業づくりにチャレンジしよう
- 第1章 概論 はじめての道徳授業づくり
- 第2章 実践 道徳授業づくり
- 主として自分自身に関すること
- 1 自主,自律,自由と責任 町内会デビュー
- 2 節度,節制 私の反抗期
- 3 向上心,個性の伸長 何でもほしいものが手に入るとしたら
- 4 希望と勇気,克己と強い意志 九番バッター
- 5 真理の探究,創造 風に立つライオン
- 主として人との関わりに関すること
- 6 思いやり,感謝 とべないホタル
- 7 思いやり,感謝 ありがとうの気持ちをこめて
- 8 礼儀 半分おとな 半分こども
- 9 友情,信頼 アキラの選択
- 10 友情,信頼 アイツの進路選択
- 11 相互理解,寛容 言葉の向こうに
- 主として集団や社会との関わりに関すること
- 12 遵法精神,公徳心 二通の手紙
- 13 公正,公平,社会正義 卒業文集最後の二行
- 14 社会参画,公共の精神 鳩が飛び立つ日
- 15 勤労 働くということ「幸せな『平凡な生活』」
- 16 家族愛,家庭生活の充実 ごめんね,おばあちゃん
- 17 よりよい学校生活,集団生活の充実 昼休みのバスケットボール
- 18 よりよい学校生活,集団生活の充実 伝統を受け継ぐ
- 19 郷土の伝統と文化の尊重,郷土を愛する態度 娘のふるさと
- 20 我が国の伝統と文化の尊重,国を愛する態度 命に響く「雅楽」東儀秀樹
- 21 国際理解,国際貢献 オリンピックに向けて何ができますか?
- 主として生命や自然,崇高なものとの関わりに関すること
- 22 生命の尊さ いのちをいただく
- 23 自然愛護 土の色の不思議に魅せられて
- 23 感動,畏敬の念 火の島
- 23 よりよく生きる喜び いつわりのバイオリン
- 参考資料
- おわりに
まえがき
「特別の教科 道徳」が,中学校でも平成31年度から始まる。
小学校では,その1年前から始まるので,この「まえがき」を書いている時点で,すでに教科書検定も済んでおり,各社の教科書を見比べることができる。討論型で扱うことを前提にした教材や,役割演技などの体験的な方法に適した教材など,これまでの副読本にはあまり見られなかった種類の教材も含まれているが,一方で,伝統的なやり方を前提にした教材も含まれている。意外にも,「かぼちゃのつる」や「はしのうえのおおかみ」など定番と呼べるような教材も多く入っている。それぞれの出版社が,独自に工夫を凝らしたはずなのに,共通する教材があるということなのである。これまでも人気の高かった定番の教材について,編集に携われた多くの方々が「これは外せない」と考えた結果であろう。
そうだとすれば,中学校版でも同様のことが起こる可能性は高い。ということは,教科化に不安な気持ちを抱えている方々,たとえば,これから教員を目指すという学生や,初任の先生方,また,正直なところこれまであまり道徳授業には力を入れてこなかったという先生方にとっては,まずは定番教材を使った授業に取り組むことが,教科化後の授業に対応するための準備にもなるはずである。その上で,さらに工夫をこらし,新たな授業づくりにチャレンジしていただきたい。
もちろん,これまでも熱心に道徳授業に取り組んできた先生方には,定番教材を使う場合も,独自の授業展開を試みてほしい。そして,道徳初心者の先生方にアドバイスしていただきたい。道徳の授業づくりの実践研究が全国でこれまで以上に活性化することを願っている。
ところで,教科化後には「教科書」を用いるので,他の教材が使えないということになるようにも思われる。しかし,文科省は,道徳の教科化に合わせて,ウェブ上に「道徳教育アーカイブ」(https://doutoku.mext.go.jp/)というサイトを作り,「授業で使える郷土教材」の紹介も行っている。教科書の教材以外のものも使ってよいということなのだと判断できよう。
本書を作成するにあたっては,編著者の渡邉真魚先生をはじめ,道徳授業に力を入れている多くの先生方に執筆をお願いした。教材・資料については,著作権の関係で本書には収録していないが,よく知られているものや,学校現場で比較的手に入れやすいものを使用していただいた。
道徳に限った話ではないが,私たち教師がやっていて楽しいと思わなければ,そこから子どもたちが学ぶことは難しいのではないかと思う。教師にとっても生徒にとっても,わくわくするような道徳授業づくりにチャレンジしよう。
/林 泰成
-
- 明治図書
- 評価や所見の参考となりました。2020/6/2830代・中学校教員