- はじめに
- 1章 図工指導 基礎基本のマストスキル10
- 1 学習指導要領
- 2 材料
- 3 用具
- 4 場
- 5 鑑賞
- 6 発達段階
- 7 特別支援
- 8 安全
- 9 規律
- 10 評価
- 2章 図工指導 ステップアップの授業テクニック42
- 学級づくり編
- 1 学級開きでクラス旗づくり
- 2 けがのない彫刻刀の授業で一致団結
- 3 サイレント美術館でルールを守れるクラスに
- 4 相互評価で互いを認め合うクラスに
- 5 図工の時間のあいさつとルールで集中力
- 6 個を高める指導で自尊感情の高いクラスに
- 行事とコラボ編
- 7 教室に遠足を再現しよう
- 8 参観に最適な図工の授業
- 9 運動会の絵で人の身体の描き方を学ぶ
- 10 全校図工で1年生歓迎会を作ろう
- 11 主体的なテーマ設定で心に残る卒業制作を
- 12 作品展を開催しよう
- 他教科コラボ編
- 13 〈国語〉6年「やまなし」で場面を想像しよう
- 14 〈算数〉4年 立方体を考えて作ろう
- 15 〈理科〉月と太陽で宇宙を作ろう
- 16 〈社会〉地形図模型を作って国土の理解
- 17 〈外国語〉世界の名産を調べて作ってギャラリートーク
- 18 〈道徳〉資料に自己投影絵画
- チーム学校編
- 19 地域の人材を生かして,チーム図工
- 20 地域の伝統文化を図画工作で
- 21 異学年交流で共同制作
- 22 教師の専門性を生かしてチーム図工
- 23 保護者と連携して取り組む図工の授業
- 24 小中と美術館連携でアートカフェを開こう
- 学校・子どもの安全編
- 25 災害時のメンタルケア アート・プロジェクトの実践80
- 26 校内の安全標識を作ろう
- 27 看板で防犯対策
- 28 立体安全マップを作ろう
- 29 災害の教訓を絵本で伝えよう
- 30 「安全かるた」で知識と意識を高めよう
- ICT活用編
- 31 ICTを活用して作品鑑賞会を工夫しよう
- 32 写真で物語づくり
- 33 ICTを活用して活動の変化を記録しよう
- 34 ピクシレーションでアニメ制作
- 35 学校CMを作ろう
- 36 プロジェクションマッピングに挑戦しよう
- 題材勝負編
- 37 ブラックライトと蛍光塗料でルミナリエ
- 38 アルミ板でミラーワールド
- 39 技能を集結して食品サンプルづくり
- 40 紙テープの変身
- 41 砂でサンドアート
- 42 名画が「わたしだけの名画」に
- 3章 図工指導 知ってお得のマル秘グッズ5
- 1 ワークシートは「夢への扉」
- 2 デジカメ活用で作品管理
- 3 即時評価と情報共有の画用紙
- 4 身の回りのグッズの「第二利用」
- 5 「思いの履歴」で児童把握と適切なアドバイス
- 執筆者一覧
はじめに
図工の時間の子どもたち,喜び勇んで図工室に行き,教室ではリラックスしたムード。図工の教師が入ってきてもそのムードは変わらず,わいわいガヤガヤ。チャイムが鳴ってもリラックス。活動中もその雰囲気は変わらず,昨日観たテレビ番組や,夢中になっているゲームの話をしながら終始笑顔で活動する子どもたち。
これは,「楽しい」授業なのでしょうか。
学校現場で「笑顔あふれる教室に」というフレーズがよく使われますが,全ての「笑顔」が同じではありません。教室で友だちと談笑したり,運動場で休み時間に楽しく遊んでいるときの「笑顔」と,授業における「笑顔」は違います。授業中に,遊んでいるときと同じ「笑顔」を子どもたちが見せるのであれば,その授業は遊びや休み時間と同じです。図工の時間の子どもたちの「笑顔」を,そのような視点で観察してみましょう。図工の時間が子どもたちにとって(教師にも),「息抜き」のようになってはいませんか。その事が,子どもたちにとって図工は「好きだけど頑張らなくてもいい教科」になってしまっているのです。
「こんなものを,このように表現したい」という願いを持ち,その方法をあらゆる場,経験から持ち寄り,試し,失敗し,さらに理想に向けて,時には苦しそうな表情を見せながら取り組む顔は,「学びの笑顔」なのです。そして,完成し,理想を結実させたときの笑顔は,休み時間の笑顔とは明らかに違う笑顔を見せるでしょう。
図工は,表現という方法を通して,生涯にわたってよりよい人生へとつながる教科です。本書は,単なる授業マニュアルではなく,この書を手にとった教師や教職を目指す学生が,目の前の子どもたちと照らし合わせながら「考え」「試し」,理想の授業が構成できるように心がけました。ぜひ本書から,それぞれの理想を追い求めて欲しいと思います。
奈良学園大学 教授 /松井 典夫
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- 明治図書
- 図工について指導要領や評価、教室の机など基本的なところからわかりやすく書いてあります。後半は、具体的な教材や他の教科に図工を活かす(コラボ)、ICTの活用など、新しい具体的学習活動についてもたくさん紹介しています。若い先生だけでなく、図工についてあまり自信のない先生にお勧めできると思います。2021/3/3150代・小学校教員