- はじめに
- 「道徳科」と「J-POPで道徳」
- 「道徳科」の経緯と今までの「道徳の時間」の課題
- 多様な教材開発と「J-POPで道徳」
- 道徳科に生かす教材の要件と「J-POPで道徳」
- 教科書と「J-POPで道徳」との関係
- 教材の変更と「J-POPで道徳」との関係
- 実践 J-POPで道徳授業
- Aの視点
- ①SEKAI NO OWARI「Hey Ho」 A-(1)自主,自律,自由と責任
- ②半﨑美子「明日へ向かう人」
- 半﨑美子「サクラ~卒業できなかった君へ~」A-(3)向上心,個性の伸長
- ③AAA「負けない心」 AAA「虹」A-(4)希望と勇気,克己と強い意志
- ④miwa「結―ゆいー」 A-(5)真理の探究,創造
- Bの視点
- ⑤GReeeeN「ハローカゲロウ」 B-(8)友情,信頼
- ⑥コブクロ「未来」 B-(8)友情,信頼
- ⑦乃木坂46「今,話したい誰かがいる」 B-(9)相互理解,寛容
- Cの視点
- ⑧よしだよしこ「She Said NO!」 C-(11)公正,公平,社会正義
- ⑨「民衆の歌」(レ・ミゼラブルより) C-(11)公正,公平,社会正義
- ⑩欅坂46「不協和音」 C-(11)公正,公平,社会正義
- ⑪ゆず「友~旅立ちの時~」 C-(15)よりよい学校生活,集団生活の充実
- ⑫Perfume「FLASH」 C-(15)よりよい学校生活,集団生活の充実
- ⑬一青窈「ハナミズキ」 C-(15)よりよい学校生活,集団生活の充実
- Dの視点
- ⑭BUMP OF CHICKEN「ray」 D-(22)感動,畏敬の念
- ⑮安室奈美恵「Hero」 D-(22)よりよく生きる喜び
- コラム
- 半﨑美子さんミニライブ
- よしだよしこさんミニライブ
はじめに
心に響く,心に残る道徳の授業の創造
「あなたが中学校時代に受けた道徳授業で何が心に残っていますか?」若手教員に質問をしても「ほとんど何も覚えていません」という答えが返ってくることが大半です。
今回の学習指導要領改訂の大きなポイントに「資質・能力の育成」があり,道徳科においても汎用性のある能力の獲得は重要です。「電車の中で弱者に席を譲る」という思いやりの行動について考えるだけでなく,電車の中という特定の状況でなくても思いやりは大切であることや,弱者のとらえ方にも様々な広がりがあることを理解することなどが大切です。
大人になったときに,同様の状況に出くわしたとき,授業を思い出して知的に判断できるかはわかりません。でも槇原敬之の「僕が一番欲しかったもの」の曲を思い出したり,街中でその曲を耳にしたときにふと授業を思い出したりして,気持ちが動かされることもあるのではないでしょうか。「J-POPで創る授業」では,琴線に触れた感動を家に帰って再びその曲を聴くことによって思い出すこともできますし,街中でふと耳にした時に授業を思い出すこともできるでしょう。汎用性のある能力を育てる上でJ-POPは大きな力を発揮します。
「主たる教材として教科書」を使用するのは当然ですが,そこに『J-POPで創る中学道徳授業1~3』の曲をスパイスとして使用したり,教科書と同じ内容項目の教材を入れ替えたりすることによって指導法の工夫改善に挑戦して欲しいと思います。子どもたちの目は輝き,意欲的に取り組み,そして心に響く授業,また大人になっても心に残る授業になることと思います。
心のリミッター(制限機能)をはずしたい
人間は無意識に心の中を覗かれまいとするものです。心の中を覗かれて,他人に入ってこられて否定的なことを言われては大変です。だから人は自分の心にフタをしてしまいがちです。 また,自分自身でもあえて真剣に自分の心の内面を見ることを避けるためにフタをしてしまう人もいます。こうして人は知らず知らずのうちに心にリミッターをかけがちです。
自分の生き方を真剣に考えるためには,このリミッターを外す必要があります。リミッターが外れると人間は,心が熱くなったり,頭に衝撃が走ったり,思わず涙が出てきたり何らかの反応が身体に現れます。この心のリミッターを外す力が大きいのがJ-POPです。その力は,「CD<ライブCD<ライブ映像<実際のライブ」の順に大きくなります。
「こんなに歌で感動したことは初めてです!」「涙をこらえるのに大変でした!」という子どもたちがたくさん出てきます。それとともに深い自己開示が表れますが,全体の前で開示するのは危険だと思った場合は,その子どもと先生の二人だけで共有できるとよいでしょう。先生が共感してあげれば,子どもは信頼して何でも相談できる関係になります。
流行があるので、短いスタンスで、4、5と続いてほしい。