- はじめに
- 第1章 仕事の全体像をつかむ
- 1 体育主任の役割とは
- 2 仕事のリストアップとスケジューリング
- 3 仕事をカテゴライズする
- 4 忘れがちになってしまうこと
- 5 体育主任としてのゴール
- コラム 仕事をしたら記録しよう
- 第2章 新年度スタートダッシュのための仕込み
- 6 どんな用具・器具があるのかをだれより詳しく知っておく
- 7 購入すべき用具・器具を考えておく
- 8 修繕と整備が必要なものをリストアップしておく
- 9 雑務のシステム化を図る
- 10 年間指導計画の見直しをお願いする
- 11 粗く4月からの動きを考えておく
- 12 体育部会の大まかな計画を立てておく
- 13 新年度が始まるまでに体育部会で話し合っておくこと
- コラム 例年の活動に1%の上乗せを
- 第3章 一年間の方針と動きを確定する
- 14 体育科教育課程の編成
- 15 運動・保健に関する全体指導計画を起案する(1)
- 16 運動・保健に関する全体指導計画を起案する(2)
- 17 体育授業の年間指導計画を起案する
- 18 系統的な指導が必要な内容の計画
- 19 新年度の授業開始後の体育部会で行うこと
- 20 全校児童の運動量を確保するシステムをつくる
- コラム 体育主任は輝ける仕事
- 第4章 体育主任の実務をスマートに行う 日常編
- 21 施設の管理と指導環境の整備(1)
- 22 施設の管理と指導環境の整備(2)
- 23 運動場(砂場)の整備
- 24 用具・器具の整備・管理(1)
- 25 用具・器具の整備・管理(2)
- 26 用具・器具の設置の方法
- 27 担任と協力して子どもを伸ばす(1)
- 28 担任と協力して子どもを伸ばす(2)
- 29 評価の仕組みを周知する
- 30 体育授業に関するルールを周知する
- 31 望ましい生活習慣を身につけさせる
- 32 子どもの体力や健康に関する情報提供を行う
- コラム 話を聴くのも体育主任の仕事
- 第5章 体育主任の実務をスマートに行う 行事編
- 33 運動会の全体計画を起案する
- 34 運動会準備のための仕込み
- 35 運動会の全体練習をスリム化する
- 36 運動会当日の全仕事を把握しておく
- 37 運動会前日・当日朝の準備の進め方
- 38 運動会当日の体育主任の動き
- 39 体育主任一年目の運動会で気をつけること
- 40 各種記録会の代表責任者になったら
- 41 各種記録会の練習をマネジメントする(1)
- 42 各種記録会の練習をマネジメントする(2)
- 43 各種記録会への参加で配慮するべきこと
- 44 新体力テストをマネジメントする
- コラム アドバイスに耳を傾けよう
- 第6章 信頼を集める体育主任になるために
- 45 仕事の意味や背景を知る
- 46 優れた指導法を紹介し,共有する
- 47 休み時間に行う運動イベントをマネジメントする(1)
- 48 休み時間に行う運動イベントをマネジメントする(2)
- 49 安全確保の方法を周知する
- 50 公開授業・研究授業に積極的に取り組む
- 51 移行期に年間指導計画を見直す
- 52 引き継ぎを見越して改善案を含めた記録を残す
- 53 発達障がいをもつ子どもに対応した授業づくりを先導する
- 54 相手意識をもって仕事を進める
- 55 創造的な仕事に取り組む余裕を生み出す
はじめに
「知・徳・体」を育てるのが学校教育の基本であり,校務分掌もそれに基づいた割り振りがなされています。
「知」を担当するのは研究主任。
「徳」を担当するのは生徒指導主事。
そして「体」を担当するのが体育主任です。
この3つの校務分掌は,ひときわ大変だと言われます。
実務も多いですし,何より学校全体を動かす立場に立たなくてはならないからです。
当然,責任も大きくなります。
教師の間では,「大変そうな仕事」ということで敬遠されがちです。
体育主任は,若い教師でも担当することがあります。
「いつかは担当するかもしれない。しかし,できるだけ後がいい」
そう心配している若手教師も多いと聞きます。
かつての学校現場においては,ベテラン教師が体育主任を担当するのが普通でした。
ある程度経験を積み,学校全体の動きがわかっていないと,体育主任を引き受けることは難しいと考えられていたのです。
ところが,今は違います。
大量採用時代を迎え,毎年多くの新卒教師が現場に赴任してきます。
経験を少し積んだだけで,すぐさま「ベテラン扱い」「ミドルリーダー扱い」になってしまいます。
若い教師でも体育主任を担当することが普通になりつつあるのです。
若くして体育主任を任され,どのように仕事を進めればよいのかわからず,多くの仕事と悩みを抱えることもあるでしょう。
本当は,「体育主任マニュアル」のようなものがあるとよいのです。
しかしながら,学校現場には,「マニュアル」はほとんどありません。
3月までに何をしておけばよいのか,4月に何をすればよいのか,そういったことを手探りで学ばなくてはならないのです。
そこで,「体育主任になったときの仕事の進め方のマニュアル」を提案することにしました。どんな仕事があって,どういった形で進めればよいのかを本書ですべて紹介します。
確かに,体育主任の仕事は非常に膨大であり,多岐にわたります。
しかし,仕事のやり方さえ知れば,実はそれほど大変ではありません。
私は生徒指導主事,体育主任,理科主任,情報主任,児童会主任などの分掌をいっぺんに引き受けたことがあります。
普通なら仕事が多いと思えます。事実,職員会議の起案文書のほとんどは私が出したものでした。
ところが,仕事の進め方を知っているので,大して仕事が多いとは思いませんでした。定時には必ず仕事が終わっていたのです。
どんな仕事にも進め方があります。それを知ることで,効率的に仕事をこなすことができるのです。
本書が読者諸兄の充実した仕事の一助となれば幸甚です。
本書の執筆にあたり,明治図書編集部の矢口郁雄氏には,企画のアイデア段階から多くのご支援をいただきました。心より感謝申し上げます。
2016年1月 /大前 暁政
※本書に収められている「心得」の一部は,2009年度の『体育科教育』(大修館書店)の大前暁政の連載「若手教師なら押さえておきたい体育主任の仕事」に加除修正を加えたものです。
中には何をどのようにしたらよいかが分かりやすく書かれており、初めての体育主任もがんばることができました。