- はじめに
- 特別支援学級 ポイント&アイデア
- 国語
- 全員が参加できる授業を目指して
- /いるかどり
- 算数
- 一斉指導で個別学習型の授業を目指して
- /いるかどり
- 第1章 特別支援学級の授業づくり基礎基本
- 1 特別支援学級の位置付け─障害種・定数─
- 2 知的障害特別支援学級の子供の特徴
- 3 自閉症・情緒障害特別支援学級の子供の特徴
- 4 特別支援学級の子供のアセスメント
- 5 「個別の教育支援計画」の作成
- 6 「個別の指導計画」の作成
- 7 「特別の教育課程」の編成方法
- 8 知的障害特別支援学級の「特別の教育課程」と編成例
- 9 各教科等の年間指導計画の立て方
- 10 交流及び共同学習の進め方
- 11 行事や学習への配慮
- 12 時間割の立て方と実例
- 13 教科書の選定
- 14 教材・教具の選定
- 15 学習評価の方法
- 16 通知表の作成と個別の指導計画からの転用
- 第2章 よりよい授業づくりのためのポイント
- 1 子供の実態と学習状況の把握法
- 2 目標設定の工夫
- 3 授業の手法─フレームワーク─
- 4 指示・発問・賞賛の工夫
- 5 板書の工夫
- 6 教材・教具の工夫
- 7 ティーム・ティーチングと教師の連携
- 第3章 事例で見るよりよい授業づくりのポイント
- 1 知的障害特別支援学級
- 当該学年の内容+配慮・支援でつくる国語の授業づくりポイント
- 2 知的障害特別支援学級
- 下学年の内容+配慮・支援でつくる国語の授業づくりポイント
- 3 知的障害特別支援学級
- 当該学年の内容+配慮・支援でつくる算数の授業づくりポイント
- 4 知的障害特別支援学級
- 下学年の内容+配慮・支援でつくる算数の授業づくりポイント
- 5 各教科等を合わせた指導
- 生活単元学習の授業づくりポイント
- 6 各教科等を合わせた指導
- 作業学習の授業づくりポイント
- 7 交流及び共同学習へのフォローポイント
- 知的障害特別支援学級
- 8 交流及び共同学習へのフォローポイント
- 自閉症・情緒障害特別支援学級
- 第4章 自立活動の授業づくりのポイント
- 1 実態(学習上及び生活上の困難)の把握
- 2 課題の整理
- 3 指導目標の設定
- 4 指導内容の設定
- 5 指導計画の作成
- 6 指導の実際 自立活動の時間の指導
- 7 指導の実際 教科の授業の中での配慮
- 第5章 事例で見る授業における自立活動の指導のポイント
- 1 国語 書くことの苦手さへの指導・支援
- 2 国語 伝えることの苦手さへの指導・支援
- 3 算数 読むことの苦手さへの指導・支援
- 4 体育 勝ち負けの敏感さへの指導・支援
- 5 日常生活の指導 集中することの苦手さへの指導・支援
- 6 日常生活の指導 不注意・忘れ物が多い事への指導・支援
- 7 日常生活の指導 感覚の過敏さへの指導・支援
- 8 作業学習 不器用さへの指導・支援
- 9 交流及び共同学習 環境変化の苦手さへの指導・支援
- 10 学校行事 不安の強さへの指導・支援
- 11 学校行事 予定変更の苦手さへの指導・支援
- 第6章 ユニバーサルデザインを考慮した教室環境づくりのポイント
- 1 教室の配置
- 2 日課表・予定表
- 3 掲示物・ルール
- 4 学校の生活様式
- 5 連絡帳や連携ツール
- 6 教材・教具
- 7 タブレットアプリ例
- 参考資料
- 執筆者紹介
はじめに
私が,新規採用教員として初めて知的障害特別支援学級の担任として着任した時に最も不安に感じたのが,「授業づくり」でした。私ももちろん,目の前の一人一人の子供への指導には最善を尽くしましたが,定められた教科書がない中,日々行われる授業をどのように計画していけばよいか戸惑いの連続でした。その後,日々の実践と研修を繰り返す中で「授業づくり」の基礎基本を学んでいきました。授業を計画,実施する際は,特別支援学級の教育課程を踏まえてその実現を目指すこと,一人一人の教育的ニーズに応じた授業をするためには個別の指導計画等を理解していないといけないこと,知的障害の特性を踏まえた教材や教具の工夫が必要なこと,採用した教科書で教えること,下学年の学習内容を指導する前に各学年の検定教科書の系統性や内容を理解しておくことなどです。しかし,「授業づくり」に少しだけ自信がもてるようになるまでには,かなりの年月を要しました。
今般,全国の小中学校,義務教育学校に設置された特別支援学級対象の子供が年々増加をし,令和4年度には約35.3万人に達しました。これに伴って,担当する教員数も右肩上がりに増えています。教員不足が全国的な問題になっていることも拍車をかけ,特別支援学級に配置される教員の多くが特別支援教育の経験並びに専門性が乏しい現状があります。
もしかすると前述の私のように不安を抱えながら,授業に臨んでいる教員がかなりの数に上るのではと想像しています。現在,特別支援学級の担当教員の専門性を向上させるより,いかに専門性を担保していくかが大きな課題となっています。
このような課題を改善・解決するため,文部科学省では,特別支援教育の経験者を増やす施策を打ち出しました。令和4年3月「特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議報告」に記された「全ての新規採用教員がおおむね10年目までの期間内において,特別支援学級の教師や,特別支援学校の教師を複数年経験することとなる状態を目指す」という方針は全国各自治体の教育委員会に通知として発出され,現在,その実現に向けた人的措置が図られ進められているところです。ただ,様々な事情によりその措置が難しい場合は,校内での交換授業,担任外の教師による特別支援学級の専科指導などの代替策も示されています。さらには,10年目以上の教員に関しても,キャリアの中で特別支援教育の経験ができるように努めることにも触れられています。
早晩,教職経験の少ない教員も含めた全ての教員は,キャリアプランの中で,特別支援学級で指導する経験をすることになります。前述した不安を抱えながら特別支援学級に配置され授業をしている先生も含め,私のように授業づくりのノウハウを身に付けるのに時間をかけていられません。
そこで,初めて特別支援学級の授業に携わった教員でも授業づくりに迷わずに臨むことができるようにするため,本書『はじめての「特別支援学級」みんな花マル授業ガイド』を刊行いたしました。昨年度発行した『はじめての「特別支援学級」12か月の花マル仕事術』を姉妹本として,授業づくりに特化した内容にしてあります。
まずは,第1章で特別支援学級の授業と通常の学級の授業との違いが理解できるよう「授業づくり」の基礎基本を押さえてあります。法規的で堅苦しい内容ではありますが,指導者が身に付けなければならない知識です。だれから質問があっても正しく答えられる専門性として覚えましょう。
第2章からよりよい「授業づくり」のポイントを踏まえた事例を豊富に記載してあります。特別支援学級では自立活動の指導が必須となりましたので,自立活動の「授業づくり」についても事例を載せてあります。ぜひ,日々の授業づくりに役立てていただけますと幸いです。
執筆に当たっては,全国で活躍されている特別支援学級の先生方から,選りすぐりの実践を紹介していただいています。ご執筆いただいた全ての皆様に心から御礼を申し上げます。
『特別支援教育の実践情報』編集部 /喜多 好一
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- 明治図書
- 図や画像が多く掲載されており、具体的に内容をイメージすることができるのが良いと感じた。2024/9/150代・小学校教員