- はじめに
- 第1章 みんなで確認したい教師の基本姿勢
- 1 よく観る
- 2 信念を持つ
- 3 自分ができることをやる
- 4 子どものアプローチを受け取る
- 5 大成功の中にある失敗を探す
- 6 行動しながら考える,考えながら行動する
- 7 ベターを追求する
- 8 気持ちという主観を客観視する
- 第2章 NG対応→OK対応で学ぶトラブル対処術
- 生活
- いつも遅刻してくる子を指導したい時
- 手ぶら登校の子を注意して,にらみ返された時
- 服装や髪形が急に乱れた子を見つけた時
- 化粧やピアスをしてきた時
- 提出物がそろわない時
- ふざけて教室の花瓶を割った時
- お菓子を食べていた時
- 下校時,私有地で遊んでいると通報があった時
- 授業・学習
- 手紙をまわす子がいた時
- 先生の授業はわからない,と言われた時
- 授業中に携帯電話が鳴った時
- 早弁をする子がいた時
- 教科書を読む順番になっても読まない時
- 授業中,ざわざわと騒がしくなった時
- 授業中,シーンと静まり返っている時
- 先生をからかう言葉を繰り返す子がいた時
- 期待はずれ,的はずれな答えしか出ない時
- 教科書外の内容を質問された時
- 授業中にトイレに行きたい,と申し出た時
- 家庭学習の習慣がなく,宿題が出ない時
- 低学力の子が,わからないと言った時
- チャイムが鳴っても廊下で遊んでいる時
- テスト中に不正行為が疑われる時
- 教師と子ども
- 子どもから,ちゃんづけで呼ばれた時
- 先生はひいきしている!と言われた時
- 男子から下ネタを言われた時
- 悪い目つきでにらんできた時
- 子どもに暴力をふるわれた時
- 他の先生に暴言を吐く子を見つけた時
- 友だちの校則違反を知らせに来た時
- クラスでいじめがある,と相談を受けた時
- ふざけて学校のものを壊した時
- 学校の物を持ち出した子を見つけた時
- 泣いている子を見つけた時
- 友だち関係
- 男子が掴み合いのけんかを始めた時
- 友だちの物を壊した時
- 友だちの物を隠す子がいた時
- いじめ?と思うようなからかいがあった時
- 無視されている子がいた時
- 放課後,泣いている子がいた時
- 学校を休みがちになってきた時
- クラス委員に立候補しない時
- 学校裏サイトを見つけた時
- 部活動で先輩と後輩がもめている時
- 保護者対応
- 子ども同士のトラブルを伝える時
- 体育の授業中のケガを伝える時
- 不純異性交遊の噂を伝える時
- 発達障害の疑いがあることを伝える時
- 生活面で問題のある子が推薦希望を出した時
- 志望校の変更を勧める時
- 子どもがいじめられているのでは,と相談された時
- ネグレクトが疑われる時
- Column
- いじめについて考えよう!
- カウンセリングを学ぼう!
- 教師の当たり前は非常識?
はじめに
思いもよらないことが毎日のように起こる,トラブル続きの学校生活を過ごしている先生はたくさんいらっしゃると思います。眠い目をこすりながら書いた指導案通りに進まない,子どものためにかけた一言が逆効果になった,このようなことは若手の先生によくあることです。ベテランの先生でも,転勤や急激な教育環境の変化で対応に困ることがあるでしょう。
この本は,対応の難しい小学校高学年から中学生までの思春期の子どもを想定し,よくあるトラブルの対処法について書いてあります。思春期の子どもは体や心が急激に変化し,自分でコントロールできない感情を持つこともあります。大人になる過程で,身近にいる大人を厳しく見るようになります。特に,身近な大人として学校の先生を鋭く観察し,相手によって言動を調整することも学びます。
さて,学校でのトラブルはピンチではありません。子どもとの関係をつくるチャンスです。適切に対処すれば,子どもはあなたを信頼するようになります。トラブルを躾や関係づくりをするためのチャンスに変えましょう。1つでも多くの具体的対処法を知っていれば,教師として自信に満ちた学校生活を送れるようになります。
本書は2つの章で構成されています。
第1章『みんなで確認したい教師の基本姿勢』は,多様なトラブル対処に共通する基本姿勢を示しました。第2章『NG対応→OK対応で学ぶトラブル対処術』は,トラブルの事例を52項目挙げ,それらを生活,授業・学習,教師と子ども,友だち関係,保護者対応の場面に分けました。
第2章の各項目は,はじめにトラブル場面&NG対応を示してあります。経験の少ない先生も疑似体験できるようにするためです。自分の経験と照らし合わせ,何がNGなのか考えてください。「あれっ? いつも自分が実践している通りだけど……」という先生は要注意です。NG対応の理由を読み,現場であわてないためのOK対応を学んでください。
もちろん,この本で示したOK対応は万能ではありません。学校の特性や子どもたちを取り巻く環境,あなたの個性や特徴に合わせる必要があります。トラブル対応は,時間と場所によってしなやかに変化させるものです。本書のタイトルにある『トラブル対処術』は絶対的な対処法ではなく,忍術のようにしなやかに対処するための術,という意味です。
また,各項目の最後には,私の格言があります。あなたの心にスッと届くように工夫しました。トラブルがあなたの周りから逃げていくように,トラブルがサッと解決するように,心が軽くなりますように,という私の願いを込めてあります。楽しいイラストはこの本を企画していただいた明治図書にお願いしたものです。みずみずしい感性豊かなイラストです。イラストレーターさんの感性と現場教師の対処術が響き合うことで,「堅苦しい教育本」や「世間知らずの教師術」と言われない1冊に近づくことができたなら幸せです。
この本を手に取られたみなさんにとって,トラブル=子どもとの関係をつくるチャンス,となりますように!
/福地 孝宏
-
- 明治図書
- トラブル場面など、具体的で共感できる内容が多かった。若手の教師を指導する教材として使えると思います。2018/2/2350代中学校教師
- 具体的な場面ごとに対処法が分かりやすく書かれており、大変参考になりました。2017/8/20コーパス
- 日常生活でありそうな事例について、具体的にこうすべきという話だけでなく、こうしてはいけない、なぜしてはいけないかが書かれていて納得できた。2017/1/2120代社会科教員