- まえがき
- 1章 「分岐点の捉え方」のマインドセット
- 折り返しの40歳
- 届く案内との対話
- 恐怖心を抱えて進む
- 止まらずに行動する
- いい加減と適当を心得る
- 引き際のタイミングを考える
- 5年後を想像する
- Column
- 2章 「生きる姿勢」のマインドセット
- 姿勢に気を配る
- 言葉を選ぶ
- 引き立たせる
- 世代間のギャップを意識する
- 「脱思考」でしなやかに過ごす
- 強い色を使わない
- ズボラを楽しむ
- Column
- 3章 「学校での立ち位置」のマインドセット
- 全体を俯瞰する
- 隠れた100人を見つめる
- ハブでいい
- 入力と出力の調整をする
- 親をも育てる時代なのよ
- ヒューリスティックに生きる
- 新しい風を吹かせる
- Column
- 4章 「教務・管理職『的』視座」のマインドセット
- ハッとさせる先生
- ホッとさせる先生
- 余計なお世話をする
- ストレスを与える
- 賛否に学ぶ
- ジェラシーをコントロールする
- リソースの最適化
- Column
- 5章 「職員室での立ち居振る舞い」のマインドセット
- 学校全体を助ける
- 職員室を守る
- 職員室でタブーの言葉を考える
- 1%のために100%注ぐ
- 決断を下す
- 水に流す
- 大きなものを捨てる
- Column
- 6章 「学校外活動」のマインドセット
- 例えばあなたがいなくても
- 自分をみくびりすぎない
- 一歩踏み出す関係性をつくる
- サードプレイスをもつ
- SNSと上手に付き合う
- 自分自身の命と向き合う
- Column
- あとがき
まえがき
はじめまして。古舘良純(ふるだて・よしずみ)です。1983年生まれの41歳です。同級生は嵐の松本潤さんで、誕生日も10日しか違いません。松潤さんがスーパースターであることは間違いありませんし、雲泥の差があることも承知していますが、「同い年」というだけで何だか肩を並べている感じがしています。
その他、二宮和也さんや風間俊介さんも同級生ですし、スポーツ界では川島永嗣さんや琴欧洲さんも同級生です。女性では、歌手の中島美嘉さんや宇多田ヒカルさんも1983年生まれです。もう、名前を挙げればきりがありません。
そんな僕たちの世代は、「ロストジェネレーション世代」と呼ばれてきました。いわゆる「ロスジェネ世代」です。
「バブル崩壊」と言われた直後に生を受けた僕たちは、厳しい時代を生きることを余儀なくされました。現在、学校現場において40代の職員が少ない状況も、そうした「採用氷河期」が少なからず原因の一端であると考えて良いでしょう。
そんな僕も、大学を出て数年間、教員採用試験に受かりませんでした。不採用の連続だったのです。当時は中高保健体育の領域で教採を受けていたため、そもそも狭き門でした。倍率は20〜30倍だったと記憶しています。採用試験会場に入り、教室を見渡して「この中から1人しか受からないのか」と落胆したことを今でも鮮明に覚えています。
だから僕は、当時一番倍率の低かった千葉県の小学校(当時2.1倍)を受験することに決めました。それでも、2000人受けて1000人落ちる現実は、今考えると異常だったと思えます。
だから僕は、コンプレックスを抱えながらこれまで教員人生を送ってきました。ストレートで受からなかった自分が嫌でした。地元を離れて他県に逃げてしまった自分が嫌いでした。令和に入るタイミングで地元の岩手県に戻ってきましたが、ストレートで採用になって働いてきた先輩や、岩手一筋の後輩と比べてしまう自分が情けないと思いました。
簡単に言えば、自分を認められない、自信がないのです。どこか影があるというか、弱腰になってしまう自分がいます。
しかし、もし僕たちロスジェネ世代に強みがあるとすれば、感謝の気持ちを大切にするマインドではないでしょうか。
そもそも、採用氷河期で思うように仕事に就くことができなかった僕たちは、採用されただけで「ありがたい」と思えます。「やっと仕事が決まった」と合格通知を受け取り、封筒を握りしめて声にならない声を絞り出したはずです。
ですから、受験するときは「数年で戻ろう」と思っていた千葉県での教員生活も、気づけば10数年が経っていました。自分を採用してくれた千葉県に少しでも恩返しをしようと思って働いていた事実は言うまでもありません。
きっと、他業種の同世代も、同じような感覚をもっているのではないかと想像します。仕事にありつける幸せや難しさを知っている。だから、自分を捧げて働こうとする前向きで真面目な人が多い。さらに、狭き門を潜ってきた人たちだからこそ、ある程度スキルが高く、上昇志向も強い。
だから、ロスジェネ世代は「慎重かつ熱い世代」と言えるのではないかと考えています。
そんな僕たちも、ついに「40代の生き方」について考えるときがきました。働き方改革や授業改善が叫ばれる中、教職員の定年が先延ばしとなり、ベテラン勢との付き合い方を本気で考える事態に直面しています。
また、採用試験の倍率が軒並み低下し、入ってくる若手の数も少なくなっています。入ってきてすぐに離職してしまったり、厳しい環境下で潰れてしまったりするケースも少なくありません。「パワハラ」ではない形で、でもきちんと現場の道理を伝える接し方に気を遣わなければならない難しい状況です。
疲弊する現場でハブとなって機能する40代になるべきか。それとも行政に出向いて自治体レベルで改革を推進する立場にシフトチェンジすべきか。また、ある程度の経験と実績をもってジョブチェンジに踏み切るか。
でも、家族がいて、我が子の教育にかかる費用もバカにならない。「やりたいこととできること」「夢と現実」「自分と家族」など、いくつもの天秤をバランスよく保ち続けなければなりません。そんな40歳の壁をどう乗り越えたら良いのでしょうか。
余談ですが、アイドルグループの「嵐」は2020年の大晦日をもって活動休止に入りました。リーダーである大野智さんは1980年生まれ。ちょうど40歳で休止を決めたのです。
これから10年、「40代の生き方」についてともに考えていきましょう。
/古舘 良純
どのような心がけで日々を過ごし、具体的にどんな行動をしていけばよいかのヒントを得ることができました。