- はじめに
- Chapter1 理論編 思考の可視化ツールで思考力・判断力・表現力を育てる!
- 1 国語科に求められている資質・能力
- 2 資質・能力を育成する学び合い
- 3 学び合いを効果的にする可視化ツール
- 1 思考の可視化ツールとは
- 2 思考の可視化ツールの役割
- Chapter2 準備編 学び合いの授業で使える!思考の可視化ツールの種類と活用法
- 1 学び合いの準備のポイント
- 1 何のために取り入れるかを考える
- 2 いつどんな思考の可視化ツールを取り入れるか考える
- 3 発達段階に合ったツールを活用する
- 4 ツールを取り入れた単元全体の流れを考える
- 5 次々に新しいツールを取り入れない
- 2 思考の可視化ツールの特徴と使い方
- 1 フロー図
- 2 ベン図
- 3 ピラミッドチャート
- 4 マトリクス
- 5 ホワイトボード
- 6 タブレット
- 7 録音・撮影・録画
- コラム
- あると便利な道具紹介@ 付箋紙
- あると便利な道具紹介A タイムタイマー
- あると便利な道具紹介B 学習の手順を示す掲示物
- あると便利な道具紹介C コールサイン
- Chapter3 実践編 思考の可視化ツールを活用した学び合いの授業プラン
- 1 第1学年 書くこと
- カードで取材の方法を意識させる
- 単元名 ことばれすとらんでかこう
- 関連教材 「おもいだしてはなそう」「こんなことをしたよ」
- 2 第1学年 読むこと(文学的文章)
- 表で学習過程を可視化し,見通しをもつ
- 単元名 おきにいりのほんをしょうかいしよう
- 関連教材 「おとうとねずみチロ」
- 3 第2学年 話すこと・聞くこと
- ロボットで重層的なプログラミング的思考を育成する
- 単元名 「ロボット大会」をひらこう
- 関連教材 「「おもちゃ大会」をひらこう」
- 4 第2学年 読むこと(説明的文章)
- 動作化とすごろくで順序に気をつけて読む
- 単元名 しょくぶつすごろくをつくろう
- 関連教材 「すみれとあり」
- 5 第3学年 話すこと・聞くこと
- 話す型・聞く型を可視化する
- 単元名 話の中心に気をつけて聞き,しつ問をしたり感想を言ったりしよう
- 関連教材 「よい聞き手になろう」
- 6 第3学年 読むこと(文学的文章)
- ホワイトボードで読みの交流を活発にする
- 単元名 斎藤隆介さんの世界を楽しもう
- 関連教材 「モチモチの木」
- 7 第4学年 書くこと
- 付箋で自分の考えを整理し,伝え合う
- 単元名 4年3組のグッドポイントを伝えよう
- 関連教材 「自分の考えをつたえるには」
- 8 第4学年 読むこと(説明的文章)
- 段落相互の関係を可視化する
- 単元名 段落どうしの関係をとらえ,説明のしかたについて考えよう
- 関連教材 「アップとルーズで伝える」
- 9 第5学年 話すこと・聞くこと,書くこと
- ことばポストで考えを明確にして,文章に書く
- 単元名 考えを明確にして話し合い,グループで提案書を書こう
- 関連教材 「明日をつくるわたしたち」
- 10 第5学年 読むこと(説明的文章)
- まんがの「ひみつカード」で筆者の論理に迫る
- 単元名 まんがの「おもしろさのひみつ」を解説しよう
- 関連教材 「まんがの方法」
- 11 第6学年 話すこと・聞くこと
- 身に付けた力を自覚する
- 単元名 よりよい討論会のあり方を見付けよう
- 関連教材 「学級討論会をしよう」
- 12 第6学年 書くこと
- 自分の見方・感じ方を可視化し表現する
- 単元名 自分のものの見方や考え方を深めよう
- 関連教材 「随筆を書こう」
- おわりに
はじめに
今,主体的・対話的で深い学びが必要な資質・能力を育てる手立てとして注目されている。しかしそのような主体的・対話的で深い学びを生み出す手立てについては現在模索されている最中であり,具体的な提案はなされていないのが現状である。
本書ではその手立てとして思考の可視化ツールを提案するものである。思考の可視化とは自分が考えたことを表現し,目に見える状態にすることである。表現する方法は言葉だけではなく,図,動作,カードなど様々なものがある。このように思考を頭の中だけで行うのではなく,それを表現して具体化し可視化することは,以下の3点で有効だと考える。
1つ目は考えたことを具体物に置きかえることで,子どもたちは自分の考えをまとめることができるということである。頭の中だけでは思考がまとまらず,考えを表現することで考えがまとまったという経験が読者の皆様もあるのではないだろうか。ベン図を使えば共通点,表を使えば観点別比較など,図表などの可視化ツールを用いると思考がまとまると考えられる。
2つ目は学び合いを活性化するということである。思考を可視化すると友達の考えが分かるようになり,その違いに気付きやすくなる。例えば自分の立場をホワイトボードに貼るだけで自分と友達の立場の違いが分かる。それにより違いに気付くと,どうして違うのかを考えて学び合いのきっかけになる。
3つ目は評価しやすくなるということである。子どもにとってはふり返りやすく,教師にとっては子どもの思考が可視化されることで評価しやすくなる。例えば話し合いはすぐに消えてなくなってしまうので,ふり返ったり,評価したりすることは難しい。ホワイトボードなどをもたせて話し合いの記録を子どもにとらせ,話し合いを可視化したらどうであろうか。子ども自身もふり返りやすくなるし,教師も評価が楽になる。そのことにより,子どもは次どのようにすればよいかを考えることができて自ら学ぶ力が育つし,教師は次の授業の手立てを考えやすくなる。
本書は,思考の可視化ツールを使って学びを改善することを提案するものである。Chapter1では理論編として思考の可視化がどうして今必要なのか,そしてどのように考えればよいのかについて説明する。Chapter2では準備編としてそれぞれの思考の可視化ツールの種類と用い方について具体的に述べる。Chapter3では実践編として低学年,中学年,高学年4つずつ12本の実践事例を紹介する。どれも効果的な事例であり,読者の先生方の参考になることは間違いないであろう。
本書が子どもの主体的・対話的で深い学びを目指している読者の先生方に,少しでもお役に立てたら幸いである。
2018年2月 編著者 /細川 太輔
-
- 明治図書
- 国語だったので、全教科ほしいです。特に道徳科があるとよいです。2020/9/5こうちゃん
- グルーピングして考えなさいと言っただけでは、手立てもわからず、よって思考も活性化されない。可視化ツールは、触媒であり、思考過程そのものである。2020/2/150代・小学校管理職
- 可視化できるツール、すぐに授業に役立てることができそうでした。2019/8/3030代・女性
- 全ての領域において可視化が可能であるということを実践を通して明らかにしている点は評価できる。可視化を扱った書籍であるのに、写真が小さく書いたものが見えにくい点は難点である。紙面上の都合もあるがもう一工夫できないものか。2018/4/9「50代・大学教員」