高等学校 進路多様校の学級経営&生徒指導はじめてガイド

高等学校 進路多様校の学級経営&生徒指導はじめてガイド

近日刊行予定

経験の通用しない教育現場でどう働く?

多様な背景を抱えた生徒が在籍し、教員の経験やノウハウが通用しにくい「進路多様校」。担任の心得からホームルーム、学びの環境づくり、定期考査、生徒指導、高卒就職も含めた多様な進路指導まで、想定される様々な場面の対応法を網羅した1冊。学級通信文例集つき。


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ISBN:
978-4-18-212535-5
ジャンル:
学級経営
刊行:
対象:
高校
仕様:
A5判 192頁
状態:
近日刊行
出荷:
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Contents

もくじの詳細表示

まえがき
進路多様校の現実
01 進路多様校とは?
02 進路多様校の教員に求められる指導は?
03 授業が成り立つのかどうか不安なときは?
04 問題行動抑止のための登下校時・授業時間内でのポイントは?
3年間の学級経営
05 高1担任が決まったらまず考えたいことは?
06 どの時期に何をすればよい?
07 クラス替え&クラス決めで注意すべきことは?
08 担任の1日の仕事内容とは?
ホームルーム
09 毎日のSHRで意識することは?
10 生徒主体のLHR運営とは?
11 生徒の顔にあざがあると気づいたら?
12 生徒たちが席替えをしたがるときは?
生徒とのコミュニケーション
13 生徒の様子はどう見ればいい?
14 日直の仕事とは?
環境整備
15 生徒の登校前に行っておくことは?
16 校内巡回のポイントは?
17 清掃指導のポイントは?
18 気がつくと,教室・廊下がゴミだらけになるときは?
学年内での役割分担・学年の仕事
19 学年内での仕事の役割分担は?
20 学年と分掌の連携は?
21 修学旅行の下見は何を見ればいい?
22 委員会・クラスの係を決めるときは?
小・中学校内容の学び直し
23 プライドを尊重しつつ,基礎を丁寧に教えるには?
24 学び合う雰囲気を作るには?
授業
25 生徒が教室で学ぶ環境づくりとは?
26 どうやったら生徒が寝たり,騒いだりせずに授業に取り組む?
27 タスク中心の授業にするためには?
28 タスク中心の多様な評価のあり方とは?
定期考査
29 定期考査の作成のポイントは?
30 生徒が点数を取れるようにするためには?
学校行事
31 行事が盛り上がらないときは?
32 生徒の「成長」を可視化するための「振り返り」とは?
課外活動
33 何のための校外学習?
34 校外学習での注意点と事後指導は?
生徒指導(日々の指導)
35 生活指導は何のためにある?
36 日常的な生活指導とは?(集会指導など)
37 生徒が服装を正さないときは?
38 盗難が多発するときは?
生徒指導(特別な指導)
39 「特別指導」と「日常的な生活指導」の違いとは?
40 特別指導の申し渡しと保護者への説明をどうする?
41 特別指導中の指導のポイントは?
42 生徒が言うことを聞かないときは?
43 いじめ事案が発生したときは?
進路指導(進学)
44 3年間を見据えた体系的な進路指導とは?
45 長所や体験を言語化するトレーニングとは?
46 生徒のアピールポイントを増やすには?
47 志望理由書・面接のポイントは?
48 保護者に進路に関する知識がないときは?
49 保護者に伝えておきたいことは?
進路指導(就職)
50 高卒就職の流れとは?
51 履歴書&面接指導のコツとは?
52 生徒の進路がなかなか決まらないときは?
53 決めた進路を継続できる生徒を育成するには?
保護者対応・懇談会
54 保護者との信頼関係づくりのポイントは?
55 保護者会・懇談会の運営はどうする?
56 保護者への電話がつながらないときは?
部活動
57 放課後の居場所づくりとしての部活動のあり方とは?
58 生徒が大人や地域・企業とつながってホンモノ経験をするためには?
59 「面倒くさい」ことが嫌いで,「ラクしたい」生徒たちには?
60 「厳しさ」と「優しさ」のバランスはどうすればいい?
地域との協働
61 進路を意識した地域探究活動とは?
62 地域と連携した探究活動を運営するためには?
63 地域の協力をどのように仰ぐ?
64 生徒が探究活動に本気にならないときは?
外部機関との連携
65 SC・SSW・心理士と連携するには?
66 NPOと連携するには?
修了式・卒業式
67 式の後のホームルームでやることは?
68 卒業式の準備はどうする?
69 卒業式に間に合わなかった生徒には?
付録 学級通信文例集
生徒の良いところを紹介しよう
実例1 新年度当初・クラス目標
実例2 年度終わり・1年間の振り返り
実例3 行事前の準備・クラスの様子と課題
実例4 行事後(合唱祭)の振り返り
実例5 卒業式前後
実例6 生徒の作文紹介
あとがき
参考文献

まえがき

 本書のタイトルにある「進路多様校」とは「教育困難校」や「底辺校」と呼ばれることもあります。私自身は後者のような表現には違和感を覚えていますが,現実は多様な背景を抱えた生徒が多数在籍しており,かなり厳しい状況があります。高校は特に偏差値で生徒層が輪切りにされるため,こうした学校に入学するのは「落ちこぼれ」「問題児」というレッテルを貼られ,親や先生からは見放され十分に指導をされてこなかった生徒たちです。

 進路多様校では,若手の先生が多い現状にあり,これまでの自身の人生では出会わなかった生徒たちを目の前にノウハウがないまま学級経営をしなければならない状況にあります。蓄積してきた経験は通用しない世界で,指導慣れしているベテラン層もあまりいないので,先生方が自己流で取り組み,苦労している姿を何度も目にしてきました。本書は私のこれまでの教育実践から見えてきた取り組みを紹介するとともに,こうした学校で初めて担任を受け持つ先生の一助となればという想いで執筆したものです。

 私自身は前任校で初任の時から通算9年間連続で,進路多様校での担任を経験してきました。初任校では,「想い」はあっても,それが生徒に伝わらず空回りの日々でしたが,心から尊敬できる先輩の先生方のサポートがあり,クラス替えのない3年間を乗り切ることができました。その経験を異動先の担任経験でも活かし,進路多様校における学級経営の在り方を自分なりに構築することができたと考えています。

 どんなに大変なことがあっても続けてきたものが,毎週発行してきた「学級通信」です。タイトルはクラス替えがある度に変え,Memory Vo.1〜Vo.3(2015〜2018,通算143号),If there is a way, there is a will(2018〜2019,通算36号),GRIT Vo.1〜2(2018〜2020, 通算67号),Milestone(2021〜2022,通算32号),LINK Vol.1〜Vol.2(2022〜2024,通算71号)のA4両面で伝え,通算で700頁ほどとなりました。その時々で私がクラスで感じたエピソードや伝えたい想いを素直に表現してきたつもりです。

 「学級通信」は,私が教員を目指したきっかけである小学校1〜2年生の際の担任の先生が,人間関係で度々トラブルになっていた私に寄り添いながら,毎週発行してくださったものが原点になっています。その先生は毎回生徒の作文で良かったものを取り上げ,手書きで作成していました。私にとってその学級通信を読むことが毎週の楽しみでした。そして,教員になり担任を持ったら自分も必ず学級通信を発行しようと思っていました。

 今回,大学院時代の恩師であり,最も尊敬している慶應義塾大学名誉教授の田中茂範先生が明治図書の大江文武さんを紹介してくださり,本書の企画が実現しました。田中先生には英語教育,探究学習等で教師になった今でも多くの学びの機会を頂き,先生のオフィスに時々伺った際に,私の教育実践のお話をさせて頂いています。当初は英語教育の実践に関する著書を構想していましたが,大江さんとディスカッションを重ねていく中で,私が少し話題に出した進路多様校での学級経営に大江さんが関心を寄せてくださりました。思わぬ形で「学級経営論」というこれまでに取り組んだことのない分野での執筆となりました。9年間の担任経験および学級通信については,本校の同僚にも様々伝えていく中で,実践をまとめて欲しいという声もありました。私自身もこれまで書き溜めた学級通信等を元に,実践をまとめたいという想いはありましたので,こうしたご縁で出版の機会を頂けたことに感謝をしております。

 本書は教室で想定される様々な場面での対応のポイント等が示されています。様々な諸先輩方のお知恵やご経験,書籍等から学びながら,私自身が試行錯誤して実践してきたものです。生徒対応に正解はありません。本書の内容をそのまま実践してもうまくいかないことも多々あるかと思います。しかし,少しでも本書が未来の教育を担う皆様のお力となれたら幸甚です。


  2024年12月   /中村 俊佑

著者紹介

中村 俊佑(なかむら しゅんすけ)著書を検索»

東京都立五日市高等学校主幹教諭。早稲田大学人間科学部卒,慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。現場では,英語教育,進路指導に力を入れており,さらに探究学習や部活動では数々の表彰歴,全国大会入賞等の実績を残している。JICAとも連携を深くしており,教師海外派遣事業や開発教育指導者として開発教育を現場に普及するための教材作成・指導案作成や研究授業等も行っている。全国国際教育研究協議会の全国事務局長や日本メディア英語学会の理事も務め,全国の国際理解教育や高大連携の推進にも力を入れている。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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