- はじめに
- 第1章 保護者が「いい先生!」と言わずにはいられなくなる教師術
- 「教師はアリ、保護者はゾウ」と、あきらめよ
- 影響力のある保護者は「ひいき」せよ
- 「最初」に好かれれば、後は勝手に良い風に解釈してくれる
- 担任は「おいしい役」だけもらっとけ
- うるさい保護者は「ガス抜き」しておけ
- 「一部」のひいきが「全体」を救うのだ
- 保護者はテストの点しか分からない
- 最初の参観日は「座学」の授業をせよ
- 参観日は「ハレの日」、保護者サービスに徹せよ
- 自分を「宣伝」して「良い先生だ」と思わせよ
- 「子どもをよく見ている先生」を演じよ
- 卒業式では、とにかく泣け
- 苦情はチャンスだと喜べ
- とりあえず頭だけは下げておけ
- 連絡帳に「証拠」を残すな!
- 最初を面倒くさがると、後が「ものすごく」面倒くさい
- 苦情をもらった時点で、教師の「負け」
- 先手必勝!「情報戦」に負けるな
- 「数」こそ力
- 第2章 職員室で威力絶大!大人の根回し仕事術
- 職場で「浮かない」のも、策略のうち
- 転勤1年目の教師は黙っとけ!
- まずは同僚を「ヨイショ」せよ
- 子どもの悪口は、担任の悪口となる
- 子どもを褒めて「傷をなめ合え」
- 職員室で「鷹の爪」は隠せ
- 教師の「教えたがり」な性(さが)を利用せよ
- 教師は「教えたくないこと」まで教えてしまっている
- 派手に走るな、地味に実取れ
- 自分のフンドシで相撲は取るな!
- 飲み会は「仕事」だと思えば、我慢できる
- 飲み会の「幹事」は教師修業
- 「職員会議で意見を通そう」なんて思いは捨てよ
- 意見を通したければ、職員室での地位を上げよ
- 自身を組織の「歯車」と自覚せよ
- 「根回し」が勝負の9割を決める
- 人のせいにすれば、病なし
- 忙しいからじゃない「報われない」から辛いのだ
はじめに
前作『策略─ブラック学級づくり 子どもの心を奪う!クラス担任術』(明治図書)が売れた。驚くほど売れた。
店頭発売日前に重版決定という快挙を成し遂げた。発売わずか3ヶ月で5刷、7000部という驚きの売れ行きだ。
この本の担当編集者・佐藤智恵氏から、続編の依頼があった。編集者としては、当然のことだろう。
しかし、私は正直、気乗りがしなかった。1冊目がヒットしたからといって、2匹目のドジョウを狙うのは格好悪すぎる。そもそも、こういう形で出された2冊目が1冊目を超えた試しはない。若い私なら、絶対に断っていただろう。
それでも、歳取った私は、こう思う。「確かに1冊目の効果で、2冊目も少しは売れるだろうな」と(笑)。だから、こうやってこの本を書いているのだ。
A・今から新しい企画を立て、全く新しいタイプの本を出す。
B・すでに売れた『ブラック学級づくり』と同じ企画で、同じようなタイプの本を出す。
読者なら、どちらを選ぶだろうか?
Aの本をつくるのには、かなりのエネルギーが必要だ。また、売れるかどうか? 失敗の可能性も高い。リスクが大きい。
Bの本をつくる方が、労力は少なくて済む。また、ある程度の売れ行きは期待できる。リスクは少ない。
歳取った私は、Bを選択する。これは、教室でも同じである。私は、
失敗の可能性が少ない実践を行うように心がけている
のだ。しかも、それが少ない労力で効果のある実践なら言うことはない。
挑戦的な実践は面白い。しかし、失敗のリスクが高い。だから、私は「普通」にこだわる。
「普通」の学級をつくり、「普通」の授業を成り立たせる。これが「普通」の教師である私のささやかな願いだ。
いや、「ささやか」ではないな。「普通」の学級がつくれず、「普通」の授業が成り立たず、つまりは学級崩壊で苦しんでいる仲間は多いのだから。
多くの学級崩壊を目の当たりにしてきた。子ども、保護者に辞めさせられた同僚、仲間も多い。
そんな厳しい現場で「普通」のクラスを成り立たせることができれば、十分である。
1年間、クラスを壊すことなく、自分が壊れることもなく、平穏無事に過ごせれば、それだけで幸せなことだ。
心から、そう思う。
教師は誠実である。誠実だから、教師になったのだ。誠実でない人は、教師に向かない。我々教師は、誠実であるという特性を誇るべきである。しかし、
誠実さだけでは、厳しい現場は勝ち抜けない。
誠実さや熱意なんてキレイごとだけでは、ダメなのだ。
野球に喩えるなら、直球勝負だけではダメだと言うことだ。時には「逃げ」の変化球を使う。振り逃げなんていう「せこい」手も使う。隠し球なんていう「汚い」手も使う。
どんな手を使ってでも、プロである教師は結果を出すことが大事なのだ。
教師は腹に黒い「策略」を持つべきである。そうでなければ、「普通」の学級すら成り立たせることはできない。
私はいろいろな著作で「全ての教師の味方だ」と公言している。全ての仲間の教師にこの言葉を捧げる。
厳しい現場を生き抜くために、「黒くなれ!」
「腹黒教師」 /中村 健一
コメント一覧へ