- まえがき
- 第1章 忙しくても余裕のある先生に見えていること
- 〜重たい仕事が軽くなる基本原則〜
- 1 こだわりたいならこだわるな
- 2 自分らしさを出したいなら自分を疑え
- 3 王道を進みたいなら邪道を探れ
- 4 余裕を出したいなら仕事を減らすな
- 5 忙しいならゆとりを見つけよ
- 6 価値ある仕事をしたいなら今の仕事に価値を生み出せ
- 7 影響を与えたいなら控え目にせよ
- 第2章 「校務」が軽くなる
- 1 校務のゴールを問い直す
- 2 在り方にこだわるならやり方にこだわる
- 3 仕事は仕分けてから取り組む
- 4 wantのためにmustを消化する
- 5 「べき」から離れるべき
- 6 完璧を目指さず課題を見つける
- 7 難しい仕事は簡単である
- 8 簡単に見える仕事は深掘りする
- 9 継続は力にならない
- 10 同じ結果なら新しい方を選ぶ
- 11 名もない仕事が学校を救う
- 第3章 「職員室の人間関係」が軽くなる
- 1 最悪の職員室を想像する
- 2 同僚と無理につるまない方が協力できる
- 3 同僚の力量を決めつけないと力を引き出せる
- 4 持ち味を出したければ合わせる
- 5 頼られたいならまず頼れ
- 6 経験は武器とは限らない
- 7 響きのよい言葉に流されない
- 8 空気を読まずに空気を換える
- 第4章 「学級経営」が軽くなる
- 1 最悪の学級経営から考える
- 2 学級経営をうまさで測らない
- 3 仕組みを変える仕組みをつくる
- 4 世話を焼かない温かさを広める
- 5 友達づくりを促さない
- 6 「みんな」をみんなにする
- 7 子どものキャラを決めつけない
- 8 前に出ないリーダーを育てる
- 第5章 「授業づくり」が軽くなる
- 1 今の授業の逆を想像する
- 2 「この子」と「この子」たちの学びを想像する
- 3 教材研究が授業準備を軽くする
- 4 細部にこだわらずに具体を見る
- 5 型にはめずにオーダーメイドする
- 6 一時間の授業で勝負しない
- 7 判定ではない評価をする
- 8 脱線に価値を見出す
- 第6章 「キャリアのプレッシャー」が軽くなる
- 1 今の環境にプライドをもてばブランド化できる
- 2 肩書きと偉さは関係ない
- 3 普通のキャリアは平凡ではなく王道である
- 4 憧れるなら真似しない
- 5 焦りを感じたらデータを探る
- 6 運のよさを信じる
- あとがき
まえがき
見方を変えると仕事に余裕が出て楽しくなる
教師として働いていて、次のような願いをもったことはないでしょうか。もし一つでも当てはまったら、その願いの実現に本書がきっと役立ちます。
・バリバリ仕事をこなしても余裕のある姿を見せたい
・「すごそう」「デキそう」と思われたくはないけれど、仕事はしっかりこなしたい
・他の先生方と仕事で違いを出したい/より満足できるような働き方をしたい
・焦りをなくして穏やかに働きたい/競わずに自分なりの道を見つけたい
・よい意味で常識に囚われたくない/負担を減らす発想が知りたい
・現場で結果を出して自信をもちたい/とにかく自分を変えたい
このような願いを抱くのは、教師としての在り方を模索している証拠であり、素敵なことです。ただし、多忙な学校現場で教師としての願いを叶えるのは、簡単なことではありません。その悩みを解決するのが、仕事に関する見方を変えることです。
そう言われても「見方を変えるだけで業務が変わらないなら、ただのごまかしではないか!」という考えが頭をよぎると思います。ごまかすつもりはありません。実際に見方を変えると、業務が改善されて楽になります。それは、次の三つの効果があるからです。
・視野を広げると、見える景色が変わるので気持ちが楽になる
・視点や視座を変えると新しい価値に気付くので、負担感が減る
・見方を変えると考え方が変わり、行動の変化につながるので、結果的に楽になる
視野が狭いと、視野の外にある価値が見えなくなります。だから、視野を広げます。視点が限定されると、解釈の幅が狭くなります。そこで、視座を上げ下げし、複数の視点で仕事について考えることで、新たな価値を発見できます。目の付け所を変えましょう。
見方を変えると考え方が変わります。考え方が変わると、発言や行動が変化します。背負わなくてもよい仕事を脇に置き、本当に背負うべきものに全力を尽くすためには、見方を変えることが効果的です。また、仕事の背負い方を変えることができると気付けば、同じ仕事でも負担は変わります。仕事を背負うことで鍛えられる力があると気付いたり、背負うことで助けられる人がいるとわかったりすれば、仕事の面白さが見えてきます。
私は、卒業担任・学年主任・教務主任・研究主任・部活動の主顧問を同時に抱えたことがあります。また、空き時間返上で学校全体の不登校対策に取り組んだこともあります。そして今は管理職です。傍目には多忙と言われる状況ですが、校務に加えて毎年1〜2冊の単著を出し、講師として研修やセミナーに登壇しています。とても楽しく、職員室でも外でも笑顔で働いています。別に心身が丈夫なわけではなく、仕事への見方と考え方を工夫しているだけです。本書を通して、無理せず楽しく働くヒントが伝われば幸いです。
重さを感じるところから読み始める
本書は全6章で構成されています。第1章は「忙しくても余裕のある先生に見えていること」として基本原則を紹介します。仕事への認識を変えることで行動を変え、重たい仕事を軽くする発想法です。本書の土台になる章です。まずはこちらからお読みください。
第2章以降は、基本原則に沿って、重たく感じる仕事を軽くするためのポイントを分野別に示しています。順に読まない場合は、次の言葉から興味をもった章をお開きください。
・「校務分掌なんてしたくない」と感じたら→第2章「校務」
・「職員室にいたくない。教室にいたい」と感じたら→第3章「職員室の人間関係」
・「担任は楽しいことばかりだと思っていたのに」と感じたら→第4章「学級経営」
・「授業を工夫する暇なんてない」と感じたら→第5章「授業づくり」
・「あの先生ばかり目立って……」と感じたら→第6章「キャリアのプレッシャー」
学校は人とかかわり、人とつながる場です。本書では、かかわりを深めてつながりをつくるアイデアを、ほんの少し紹介しています。読者の皆様の手で「この子」たちや「うちの学校」に適した形に変えて試していただければ幸いです。
二〇二四年一〇月 /川端 裕介
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- 明治図書