- はじめに
- 本書の読み方
- 1章 対話で学ぶ算数授業のポイント
- 1 子どもが働きかける「スキ間」をつくる
- 2 「正しいこと」と同じだけ「正しくないこと」も大切にする
- 3 教育の世界の「当たり前」を見直す
- 4 授業をシステム化しない
- 5 話し方のハードルを上げない
- 6 「つぶやき」を大切にする
- 7 「〜たい!」を引き出す
- 8 寄り道を楽しむ
- 9 混沌を避けない
- 10 ズレを大切にする
- 2章 対話を生み出す,子どもの意識づくりのポイント
- 11 最優先を「聞く・見る」にする
- 12 「問題を解く」から「みんなで学びを創る」イメージへ変換する
- 13 「問いストーリー」を授業の軸にする
- 14 「正解かどうか」より「どう思うか」を大切にする
- 15 人間関係を「対話」にもち込まない
- 3章 対話でつかむ! 「問題提示」のアイデア
- 1 解けない問題にして提示する
- 2 問題文に「曖昧な部分」を入れて提示する
- 3 情報を多くして提示する
- 4 足りない部分をつくって提示する
- 5 「1つ分」を隠して提示する
- 6 ゲームにして提示する
- 7 問題文を区切って板書する
- 8 一瞬だけ見せる
- 9 一部分だけ見せる
- 10 結果だけを見せる
- 4章 対話につながる! 「自力解決」のアイデア
- 11 机間指導で大きく「つぶやく」
- 12 自力解決を切り上げるタイミングを「子どもの姿」で決める
- 13 ノートづくりの軸を「板書を写す」から「自分の考えを書く」にさせる
- 14 「わからない」をたくさん書かせる
- 15 ノートにツイートを書かせる
- 5章 対話でつくり上げる! 「全体交流」のアイデア
- 16 正解とは逆の立場に寄り添う
- 17 話を「黙って最後まで」聞かせない
- 18 「判断する場」を何度もつくる
- 19 話題に壁をつくる
- 20 「つなげる発言」から取り上げる
- 21 子どもの言葉をそのまま「問い返す」
- 22 板書に吹き出しを書く
- 23 「広がる板書」と「流れる板書」を使い分ける
- 24 ○○だけ取り上げる
- 25 ペア交流を意図的に取り入れる
- 26 友達の「気持ち」を考えさせる
- 27 「間違い」を「間違いじゃなく」する
- 6章 対話で定着する! 「まとめ」のアイデア
- 28 「プロセス」をまとめにさせる
- 29 まとめを1時間に3回書かせる
- 30 まとめの言葉を話し合わせる
- 31 板書の中からどれを写すかを選ばせる
- 32 最後にこそ「わからない」を言える場をつくる
- 33 「問題プレゼント」の場をつくる
- 34 数値を変えて考えさせる
- 35 場面を変えて考えさせる
- おわりに
- 参考文献
はじめに
新学習指導要領のキーワードの一つである「対話」。改訂の度に,このようなキーワードに右往左往し,解釈論議ばかりに時間を割くのには感心しません。ただ,「どうしてこの言葉が取り上げられたのか」を自分なりに考えてみることは,とても大切なことだと私は思っています。
キーワードを受け身で捉えず,自分の授業を見直し,よりよい学びを実現するためのきっかけとして,積極的に生かしていくというわけです。
私たち教師は,「主体的に考え,自ら学びを進めていくこと」を子どもに求め,その力を育もうとします。であるならば,教師自身もそうあるべきではないでしょうか。
何年のキャリアであろうと関係はありません。常に自分のやり方を省み,今日よりも明日,よりよい授業を目指し続けることこそが,私たち教師が,教師であり続けるために必要なことだと考えるからです。
これから子どもたちが歩む未来は,あらゆるものが急激に変化していく時代だと言われています。そこでは人の価値観すらも,たった数年で大きく変わっていくのかもしれません。
何が本当に正しいのか,その答えが一つには決まらない時代。そんな時代だからこそ,他者との「対話」が重要な役割をもつのだと私は考えています。
自分一人で答えを決めつけず,他者との「対話」を通して最良・最適な答えを探し続ける力こそが,これからの時代を生き抜く子どもたちに必要な力だと思うからです。
本書の中には,「対話」を通して学びを深めるための大切な考えや,具体的な方法がたくさん詰め込まれています。
これらはいずれも,私がこれまでに出会った子どもたちから学んだ,大切な大切な宝物です。
そんな,私にとっての宝物の一つ一つが,読者の皆様にとって自らの授業を見直す一助となるならば,こんなに嬉しいことはありません。
「対話」の溢れる授業には,本気で他者と関わろうとする子どもの姿があります。「対話」の溢れる学級には,上辺だけではない本物の人間関係が生まれます。
そんな,素敵な授業や学級が日本中に広がっていくことを願い,本書を世に送り出したいと思います。
2018年1月 /瀧ヶ平 悠史
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