- はじめに
- 本書の特色
- 第1章 文学的文章と論理的文章では、学習指導を明確に区別する
- 1 文学的文章と論理的文章は、性質が全く異なる
- 2 論理的文章は「書く」ために「読む」
- 3 国語科では文学的文章を「読む」授業の方が価値がある?
- 4 論理的文章を「読む」意義とは、論理的な考え方を身につけることである
- 5 日常生活では帰納論理の思考を働かせている
- 6 論理的文章教材の役目とは、具体と抽象的概念の関係を教えることである
- 7 論理的文章の種類
- 8 論理的文章の手本―寺田寅彦「『手首』の問題」―
- 9 報告の手本―立花隆『田中角栄研究』―
- 10 論理的文章の読み方の学習事項
- (1) 論理的文章の読み方は科学論文の書き方指導書に学んだ
- ―「文章構成・段落とキーワード・事実の書き方」―
- (2) 論理的文章の構成
- (3) 段落とキーワード
- (4) 事実の書き方
- 11 文学的文章を「読む」意義とは、作品を立体的に身につけようとすることである
- 12 文学的文章の読み方の学習事項
- (1) 作品の構成
- (2) 人物像の変化
- (3) 描写
- 13 1教材を4時間以内で終える
- 14 生徒の感想
- 第2章 授業実践―論理的文章編―
- オオカミを見る目[1年 東京書籍]
- ちょっと立ち止まって[1年 光村図書]
- ガイアの知性[2年 教育出版]
- モアイは語る―地球の未来[2年 光村図書]
- 作られた「物語」を超えて[3年 光村図書]
- 絶滅の意味[3年 東京書籍]
- 第3章 授業実践―文学的文章編―
- 少年の日の思い出[1年 東京書籍・三省堂・教育出版・光村図書]
- トロッコ[1年 三省堂]
- 走れメロス[2年 東京書籍・三省堂・教育出版・光村図書]
- 坊っちゃん[2年 東京書籍・教育出版/1年 光村図書/3年 三省堂]
- 故郷[3年 東京書籍・三省堂・教育出版・光村図書]
- 最後の一句[3年 東京書籍]
- おわりに
はじめに
本書は説明文と文学の読み方指導について、定番教材による授業の進め方を示しながら、説明している。説明文と文学との性質は全く異なるため、それぞれの学習内容を明確化することが重要である。説明文の読み方と文学の読み方には、基本的な学習事項がそれぞれあり、これらを系統的に繰り返し教えると、指導経験上、生徒の論理的思考力が育ち、読む力が確実に向上する。
他教科と国語科とは、教科書の文章の役割が違う。社会科・理科等の教科書の文章は、語句・内容の一つ一つが学ぶべき知識となっているため、内容の列挙や整理を通して、知識を身につける学習指導を行う。これに対して、国語教科書は「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」の能力を高める材料が掲載され、様々な文種の見本としての文章が集められた教材集である。国語科の教材は文字によって書かれた文章が中心で、その他には図・表・グラフ・絵・写真などがある。そのため、学習内容は授業活動に現れる。この考え方によって、本書は組み立てられ、日本語の語句や文章の特質を生かした読み方、授業の進め方を記述した。
第1章の読み方の学習方法に基づき、第2、3章は定番といわれる説明文と文学を各学年2編ずつ並べ、4時間以内の学習内容をセリフで示した。追試験後、ご批判いただければ、幸いである。
二○二四年五月 /長谷川 祥子
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- 明治図書