- はじめに
- T章 たった「3分間」で子どもも教師も変わる!
- 1 たった「3分間」されど「3分間」
- 2 時間の使い方を見直す
- 3 時間が短いほど集中力はアップする
- 4 短時間の指導が子どもを伸ばす
- 5 意識の変革が教師人生を変える
- U章 学校生活がガラっと変わる!「魔法の3分間」時間術
- 1 朝の気持ちを盛り上げる!3分間スタートダッシュ
- @ 1日のはじまりをあいさつで元気に!
- A 沈みがちな雰囲気は真似っこで楽しい気分に!
- B 教師の語りで集中力を!
- C やる気を出すには歌遊びでスタート!
- D 暑さは怖い話で吹き飛ばせ!
- E 素早く起立,正しい礼で切り替えを!
- F 気分が乗らない時は気持ちをリラックス!
- G 注意力散漫ならゲームで盛り上げよう!
- H 大きな声で憂鬱を吹き飛ばせ!
- I 手足を動かして身体を目覚めさせよう!
- 2 子どもの心をわしづかみ!3分間仲間づくり
- @ 気持ちをひと言で表現して友達関係を円滑に!
- A パントマイムで自分の気持ちを伝えよう!
- B 挙手で同じ気持ちを共有しよう!
- C リズムで気持ちを合わせよう!
- D ゲームしながらコミュニケーション力アップ!
- E 絵を描いて友達とつながろう!
- F 声を出して気分をどんどん盛り上げよう!
- G 全員協力のゲームで自然と気持ちがつながる!
- H クジで仕掛ければ友達をもっと知りたくなる!
- I 自分を知ると友達とのトラブルが激減!
- 3 子どもが自ら振り返る!3分間生徒指導
- @ 時間の大切さを体感させよう!
- A あっという間にイスを片づけるようになる!
- B 注意しなくても指名→起立の習慣がつく!
- C 100の注意より効果的な決めセリフ!
- D 解決策は子ども自身で考えさせよう!
- E 同じ過ちは何度も繰り返させない!
- F 同じことを繰り返す子どもに効果的!
- G 頭よりも身体で理解させる方が効果的!
- H 先生からのプレゼントで指導は楽しく!
- I 正直者は得をする!
- 4 子どもの意欲がグンと上がる!3分間学習指導
- @ 算数授業のウォーミングアップ!
- A 漢字の興味を倍増させよう!
- B 意欲的に授業を受けるようになる!
- C フラッシュカードで心地よく学習!
- D 苦手な子どももラクラク書ける作文活動!
- E 発表した子におしみない拍手を!
- F 「やるのは子ども」を忘れずに!
- G 分かることをどんどん書かせる!
- H 発言は自主的挙手より強制指名が効果的!
- I 簡単な英会話を多用しよう!
- 5 授業時間を有効に!3分間授業術
- @ 丸つけは主要問題だけに!
- A 丸つけは子どもにやらせる!
- B 作文力は教師でなく子どもに!
- C 早くできた子からテスト提出!
- D プリント回収は列単位で!
- E 学級掲示物は子どもと一緒に!
- F 評価は机間巡視中に!
- G 同じスタートラインに立たせてGO!
- H 欠席した子への指導を工夫!
- I 日記を書いたらさようなら!
- 6 ダンドリ上手で多忙とオサラバ!3分間仕事術
- @ すき間時間を有効利用!
- A 日記のコメントはまとめずこまめに!
- B クラスの仕事は教室で!
- C いつでもできる仕事は今やろう!
- D 手が止まったら次の仕事へ!
- E 依頼者の身になって仕事をする!
- F 手当たり次第の仕事はNG!
- G 終了時刻を決めて仕事をする!
- H 退勤前に3分間のメモ時間を!
- I 机上を整理整頓して退勤!
- おわりに
はじめに
子どものトラブルや保護者への対応に加えて,学級事務や校務分掌の仕事など,教師の仕事には限りがありません。以前にも増して,教師の仕事は多忙になっていくばかりです。どんどんやってくる仕事をこなすことに時間と労力が費やされ,最も大切な,授業や生徒指導に力を入れることができなくなってしまう状況に陥る教師の何と多いことか。仕事の段取りがうまくできず,効率的に仕事を進めることができないためか,経験の少ない若い教師は,あまりの忙しさに疲弊しています。その傾向は,特に,やる気があり,熱意をもって教師という仕事に取り組んでいる,誠実な人ほど顕著です。彼,彼女らは,毎日,朝早くから出勤して,夜遅くまで学校に残って仕事をしています。それでも,積み残した仕事をこなすために,家にまで持ち帰っているという状況です。
このような状況が続けば,いくら若くて体力がある人でも,いつか必ずエネルギー切れを起こしてしまいます。「何のために教師になったのか?」と,仕事に対する情熱が奪われ,教職についた時の夢を見失い,何のために働いているのかと,人生の充実感さえ味わうことができなくなってしまいます。最悪の場合,心身に異常をきたし,仕事を休んだり教職から去ったりする人が,年を追ってさらに増加することになります。
しかし,だからといって,「世の中が悪い」「環境が劣悪だ」と,現在自分が置かれている環境に不平を言っていても,現状が変わるわけではありません。不平不満を感じながら仕事をしていては,何をしても苦しくつらい気持ちになってしまい,仕事の充実感を味わうことはできません。多忙で余裕のない現在の状況を変えるためには,自分自身が変わる努力をするしか方法がないのです。計画的に時間の目安をもって仕事を進めているか,わずかなすき間の時間を有効に使っているか,学習指導や生徒指導に無駄な時間を費やしてはいないか……。今一度,自分の仕事の進め方,仕事に対する意識を振り返る必要があります。
同じ時間であっても,使い方によってその価値は変わってきます。「時は金なり」と言われますが,わずかな時間であっても,有効に使うことができれば,子どもの力を伸ばし,教師の力量を高めるための「魔法の時間」にすることが可能です。何の目的ももたず,何の工夫もすることなしに子どもを指導したり,仕事に時間を費やしたりしていては,大切な時間を無駄にすることになります。子どもを伸ばすこともできず,教師の力量を高めることもできません。ただ時間を浪費することになり,多忙感がますます増して,教師の仕事からも日々の生活からも充実感が奪われていくだけです。
教師には,「子どもを教え導く」という大切な使命があります。子どもから尊敬され,親から信頼される教師になるためには,豊かな人間性を備えていかなければなりません。そのためには,「余裕」が必要です。美しいものに心を惹かれ,純粋な子どもの姿に感動することのできる気持ちの余裕です。子どもの行動の背景にある生活や心の動きを感じ取ることのできる余裕です。教師自身が豊かな人間性を磨くためには,ゆとりをもつ時間を必要とします。そのゆとりの時間は,勝手にできるものではありません。自ら積極的につくり出していくものなのです。
「同じ仕事をするのであれば,教師としての生きがいを見出しながら過ごす時間にしてほしい」「子どもの力を伸ばすことの素晴らしさを味わってほしい」小著を手に取ってくださった方に,私のそんな思いが伝わり,明日からの実践に役立てていただければ光栄です。
/中嶋 郁雄
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- 明治図書
- 隙間の時間を利用した授業、生徒指導、仕事術が学べてよかった。2019/6/2120代・中学校教員
- 忙しい教員にとって、なるほどと思う時間の使い方がいくつもあった。2016/4/2450代・小学校教員
- 興味深い内容だった2016/4/2440代・小学校教員
- 3分間という時間の使い方を詳しく学ぶことが出来ました。2016/4/2430代・小学校教員
- 「具体的で大変分かりやすかった」2016/3/2030代 鴻巣市小学校教諭