- CHAPTER1 これからの子どもに必須の「問題解決力」
- 1 今こそ問題解決型授業!
- 2 21世紀型能力って何?
- 3 問題解決型授業はアクティブ・ラーニング型授業!
- 4 教師は何を意識すればよいの?
- 5 教師の役割は?
- 6 5つのステップで問題解決型授業をつくろう!
- STEP1 出会いの場
- STEP2 問題把握の場
- STEP3 見通しをもつ場
- STEP4 1人1人が考えをもつ場
- STEP5 科学的な見方考え方のコンセンサスを得る場
- CHAPTER2 そのまま追試できる! 問題解決型理科授業モデル16
- 3年
- 1 昆虫を育てよう
- 2 豆電球にあかりをつけよう
- 3 ものの重さ
- 4 太陽と地面の様子
- 4年
- 5 ものの温まり方
- 6 月の動き
- 7 体のつくりと運動
- 8 乾電池のつなげ方
- 5年
- 9 振り子
- 10 人の誕生
- 11 流れる水の働き
- 12 ものの溶け方
- 6年
- 13 水溶液の性質
- 14 人の体のつくりと働き
- 15 大地の変化
- 16 電気の働き
はじめに
愛知教育大学附属名古屋小学校に赴任して,6年が経ちました。赴任する前は,教材開発を中心に教材研究をしてきたのですが,それだけで理科を知った気でいました。附属の先輩達に,「その教材の意図は?」と聞かれたとき「おもしろいから」としか答えることができず,底の浅い授業をしてきたのだと思い知らされました。先輩から提示の仕方や,言葉の使い方,板書のあり方など,様々なことを教えていただき,現在に至ります。愛知教育大学附属名古屋小学校では,長年,多くの教科が問題解決型授業に取り組んできました。それをベースに,言語活動の研究を進めたり,意欲面の研究を進めたりしてきました。結果,今日的な理科授業の課題に対して,考えをもって取り組めているのではないかと思っています。
新しい指導要領の改訂に向けて,議論が尽くされる大切な時期になりました。その中で改めて「問題解決型授業」について考えを深めるべきという潮流があると感じています。これまで,さんざん語られてきたテーマですが,改めてこのキーワードが重要視されているところをみると,この考え方がなかなか浸透していないことが理由として挙げられるでしょう。若い先生が増え,理科の授業を実施するだけでも大きな負担になっているのだと感じます。
問題解決型授業に挑戦するには,授業を見て真似ることが一番ですが,なかなか見本となる授業が身近にないのが実情でしょう。本から学ぶこともできますが,理科の授業書において,問題解決型の授業書や解説書があまり多く出ていないように感じています。それが,この本を世に出そうと考えた原動力となりました。
本校の理科は「問題解決型授業」をベースにしています。何年もかけて,工夫を積み上げてきました。この積み上げてきた工夫を総称して「附属名古屋式問題解決型授業」と筆者は呼んでいます。この附属名古屋式には,いくつかの特徴があります。1つは,問題解決力を毎授業,繰り返し鍛えています。その毎授業の中で問題解決の過程が5つのステップに分けられています。単元の初めに,全員に興味をもたせる「初めの観察実験」を行っています。この観察実験でもった興味を「調べたいこと」「学習課題」に引き上げるために,マグネットカードを使って集約します。さらに実験に「1人1実験」「1人1観察」をできるだけ組み込んで実践をしています。そして,科学的な見方考え方を養うために「視覚的な集約表」を取り入れた授業を展開しています。
本書は,問題解決型授業の一例を,できるだけ具体的な事例を交えながら紹介してあります。「これが知りたい」「やってみたい!」「この実験をすればいい」「結果がおかしい」「この結果は誤差が大きいね,その理由は……」……そんな声が理科室で響き合うような授業をつくり上げてみませんか?
2016年4月 愛知教育大学附属名古屋小学校理科部 /古市 博之
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- 明治図書
- 問題解決型授業の糸口が見つかりそう。2022/6/750代・小学校教員