- はじめに
- 自分の考えや意見を確かにつくり上げていく過程において,書くことなしでは,すべての学びは成立しない
- 第1章 すべての子どもたちに確かな「書く力」を
- 筑波大学附属小学校 /二瓶 弘行
- @ 言葉で「自分らしさ」を表現する力を
- A 文章を読解する力と「自分らしさ」を表現する力
- B 「書く力」は「生きる力」
- 第2章 今日からできる書く活動のアイデア60
- 1年
- なぞって書いてみよう! (書字トレーニング)
- 隠れているひらがなを見つけよう! (ひらがな)
- 「連想言葉リレー」で言葉をつなごう! (語彙)
- 五感を使って表現の幅を広げよう! (語彙)
- おとなりさんを紹介しよう! (作文)
- おなやみそうだん,お応えします! (作文)
- 友だちの名前を入れて「こくご日記」を書こう! (日記)
- 「漢字+言葉あつめ対決」で漢字をたくさん使おう! (漢字)
- 好きな数を紹介しよう! (説明文)
- 「おおきくなるっていうことは」どんなことかを考えよう! (創作)
- 2年
- 同じ画数の漢字を使って文をつくろう! (漢字)
- 「すきな○○作文」で自分の好きなものをおすすめしよう! (作文)
- 「絵かき文」で相手にわかりやすく伝えよう! (作文)
- 接続語を生かしてストーリーをつくろう! (創作)
- 「アクロスティック・スローガン」をつくろう! (創作)
- 「はらへり文」をおなかいっぱいにしよう! (説明文)
- 「文章の設計図」と「段落メモ」で文章を書こう! (説明文)
- 暑中見舞いを書こう! (手紙)
- 「お話の地図」を書こう! (物語文)
- 友だちになりきってくわしく伝えよう! (インタビュー)
- 3年
- 自己紹介文を考えよう! (自己紹介)
- カードを引いて詳しい作文を書けるようになろう! (作文)
- 「ことわざ新聞」をつくろう! (新聞づくり)
- 「いうえおか暗号」でヒミツのやりとりをしよう! (言葉の規則)
- みんなで1つの詩をつくろう! (創作)
- 2つのステップで説明文を書こう! (説明文)
- 「遊びのルールブック」をつくろう! (説明文)
- 身近な道具の使い方やつくり方を説明しよう! (説明文)
- 「コラージュ」で物語を紹介しよう! (物語文)
- 「本のショーウィンドウ」をつくろう! (物語文)
- 4年
- 学期の終わりの自分に手紙を書こう! (手紙)
- 日記を物語に変身させよう! (日記)
- 感情表現を入れずに俳句をつくろう! (俳句)
- 「段落メモ」で作文名人になろう! (作文)
- マップやチャートで書く材料を整理しよう! (作文)
- 作文の骨組みをマスターしよう! (作文)
- メモを書く力を鍛えよう! (メモ)
- 説得力のある理由を考えよう! (意見文)
- 感想文の感想文を書こう! (感想文)
- 「すてき」「ありがとう」を贈り合おう! (手紙)
- 5年
- 「○○っぽい日記」に挑戦しよう! (日記)
- 生き物の気持ちになってみよう! (創作)
- オリジナルの名言をつくろう! (創作)
- 「つみあげうた」をつくろう! (創作)
- 自分の心情を工夫して伝えよう! (作文)
- 資料マスターになろう! (説明文)
- 切り取って伝えよう,この瞬間! (説明文)
- 「けれども」でズバッと要約しよう! (物語文)
- 物語の登場人物になりきって日記を書こう! (物語文)
- 自分たちの文章のよい部分を伝え合おう! (評価)
- 6年
- 「創作四字熟語」で自分の目標を書こう! (創作)
- キャッチコピーをつくろう! (創作)
- 文章を引用して推薦文を書こう! (作文)
- 感情を示す言葉で始まる短歌をつくろう! (短歌)
- 自分が読み取った作品の世界をまとめよう! (物語文)
- 「物語五七五」で自分の読みを表現しよう! (物語文)
- 「でたらめデータ」で「でたらめ意見文」を書こう! (意見文)
- 「カウントダウン・カレンダー」をつくろう! (創作)
- ラブレターを書こう! (手紙)
- 学級通信つくってちょうだい! (学級通信)
はじめに
自分の考えや意見を確かにつくり上げていく過程において,書くことなしでは,すべての学びは成立しない
ずっと何十年も小学校教師をしている私には,「夢」があります。
何の縁なのか,私の教室にやってきた子どもたちに託す願いであり,教師として目指すべきクラス集団の姿でもあります。
そのクラスでは,だれもが読みたくてたまらない。一編の文章や作品に描かれた言葉を丁寧に検討し,言葉の意味,文章の要旨,作品の主題を自分らしく読み取り,自分の考えや読みの世界を確かにもつことに懸命になる。
そのクラスでは,だれもが書きたくてたまらない。自分という存在を言葉で書き表すことの喜びがわかり,書くことで自分らしさを確認でき,仲間に伝えられることを知っている。だから,必死に言葉を選び,構成を考え,表現を工夫する。
そのクラスでは,だれもが話したくてたまらない。ある話題について,自分の思いを言葉で表現しようと,誰もが適切な言葉を探すことに必死になる。思いを託せる言葉をもてたら,仲間に伝えようと懸命に挙手する。
そのクラスでは,だれもが仲間の考えを受け取りたくてたまらない。ある話題について仲間はどう考えるのか,自分の抱く思いと同じなのか違うのか,知りたくて仕方がない。だから仲間の発する言葉に必死に耳を傾ける。
そのクラスでは,言葉を媒介にして伝え合うことの重さをだれもが知っている。言葉は「自分らしさ」を仲間に伝え,仲間の「その人らしさ」を受け取る重要な手段であることを,学級集団全員が「価値」として共有している。
そのクラスでは,言葉が,静かに生き生きと躍動している。
全国津々浦々の小学校,そこで毎日,展開される国語の授業。
国語は,言うまでもなく,「言葉の力」をはぐくむ教科です。言葉を読む力,言葉を書く力,言葉を話す力,言葉を聞く力,そして,言葉で他者と伝え合う力,これらの「言葉の力」は,まさに,人が人として生きていくための「生きる力」でもあります。
だから,教室にいる子どもたち全員にはぐくんであげなければならない力なのです。あの子にも,あの子にも,一人残らず,すべての子どもたちに。
きっと,この「夢」は,私だけのものではないでしょう。
国語の授業を通して,教師のだれもが抱く「夢」なのだと思います。
本書は,そんな「夢」を実現するために,言葉を「書く」力に焦点を当てました。
国語の授業で,「書く」活動は欠かせません。作文の学習はもちろんのこと,物語や説明文の読みにおいても,「聞く・話す」学習においても,自分の考えや意見を確かにつくり上げていく過程において,書くことなしでは,すべての学びは成立しません。
ところが,子どもたちの多くは,書くことに積極的ではありません。露骨に嫌な顔をして鉛筆を握ろうとしない子もいます。
そんな子どもたちにこそ,教えなければいけません。
書くことによって,自分の考えがだんだんとはっきりとしてくることを。
書くことによって,自分の考えが仲間に確かに伝わることを。
書くことは,すべての教科の学びを深めるうえでとても大切であることを。
そして,何よりも,書くことは楽しく,おもしろいことを。
本書では,吟味を重ねた60本の「書く活動」のアイデアを集めました。また,そのジャンルは実に多岐にわたっています。まさに,子どもたちの日々の生活すべてにおいて,確かな「書く力」をはぐくもうとする,教師の思いがあふれています。
この『書く活動アイデア事典』は,既刊の『言語活動アイデア事典』の姉妹編です。両書ともに,込められた願いは一緒です。
教室にいるすべての子どもたちが,言葉と生き生きとかかわりながら,「言葉の力」を身につけていく国語授業をつくりたい。そんな先生のために,本書が少しでも参考になることを願っています。
2016年7月 /二瓶 弘行
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- 明治図書
- 使いやすい。2016/10/3050代・小学校管理職
- やる気がおきたのでよかった2016/8/31おーちゃん