- 第1章 子供の伸びを確かに見取る! 本書で提案するパフォーマンス評価とは
- 1 単元開始直後
- 2 単元の終末
- 3 パフォーマンス評価とルーブリック
- 第2章 単元計画からルーブリックまですべてわかる! 定番教材のパフォーマンス評価実践例
- 「たんぽぽの不思議」を伝え合おう!【2年/たんぽぽ】
- 音読・感想名人になろう!【2年/お手紙】
- 条件に合わせて感想を書こう!【3年/のらねこ】
- 1人1分間の音読大会を開こう!【3年/モチモチの木】
- KP法で町の行事を発表しよう!【3年/町の行事について調べよう】
- 1人1分間の「語り」大会を開こう!【3年/おにたのぼうし】
- 「夏みかんチャート」で読みを深めよう!【4年/白いぼうし】
- 「バタフライチャート」で読みをまとめよう!【4年/花を見つける手がかり】
- 「コスモスチャート」で読みを深めよう!【4年/一つの花】
- 1人1分間の「ごんぎつねスピーチ」で読みを伝えよう!【4年/ごんぎつね】
はじめに
文学作品の単元が終了した,ある日の放課後。
子供のノートを読みながら…
「おお,初発の感想から随分と内容が変わった! 子供ってすごいなぁ。
たった1つの単元で,グンと成長していくんだから」
教室で1人,2週間前のノートに書かれた「初発の感想」と,その日書かせたばかりの「結びの感想」を読み比べながら,子供の成長をしみじみと実感していたとき,不意に問いが生まれました。
「…待てよ。いくら教師の自分が子供の成長を実感しても,学んだ本人が自分の成長を実感できていなければ,意味がないんじゃないか?」
子供は,毎日様々な教科を学び,休み時間には体を動かし,教師や友だちとのかかわりに心弾ませて,「今,ここ」を生き続けています。
そう,1日前のことは過去の出来事。もう,1週間前のことは昔の出来事。2週間前のことは…,もはや歴史上の事実です。
何か手を打たない限り,1つの教科の1つの単元を学習し終えたころに,学習し始めたころの自分の出来具合のことなど,忘れてしまうということです。「どれだけ成長したか」。このことを,自分自身が実感できていないとしたら,これほどもったいないことはないはずです。
何とかならないものか…。様々な手を考え,先行研究を調べましたが,その時点では,有効な手だてが見つかりませんでした。
それから数年ほど経った後,東京学芸大学教職大学院に現職教員の立場で派遣研修の機会をいただいた際に出合ったのが,「パフォーマンス評価」でした。渡辺貴裕先生が講義の中でお話しされたことを,今でも覚えています。パフォーマンス評価は,プレ(学習前)とポスト(学習後)の2回行うことで,一定条件の中での学習効果が明らかになるというのです。講義の後,先行研究を調べ実践を重ねていく中で,パフォーマンス評価は子供たちが自分自身の成長を実感するうえで,有効な手だてとなるのではないかと思いました。
もし,プレ(学習前)とポスト(学習後)に行うパフォーマンス評価が,1枚の紙に表れていたら…。子供がこれを基に自己評価を行ったとしたら…。いくつもの閃きが浮かんでは消え,消えては浮かぶ中で,ついに結実したのが,本書に登場する「感想文チャート」です。これをきっかけに,様々なチャート(ワークシート)が誕生しました。
藤原学級の子供たちは,新たなチャートを見るたび,いつも輝く眼差しで
「先生,今度は何チャートなの? これ,どうやって使うの?」
「先生,このチャート,おもしろそうだねぇ。早くやってみたい!」
と,ひたむきに取り組んでくれました。本当に,どうもありがとう。私が本書を書くことができたのは,あなたたちがいてくれたからです。あなたたちの笑顔と,学びを実感する姿が,私に力を与えてくれたのです。
独立行政法人・国立青少年教育振興機構が2017年9月〜11月に行った国際比較調査では,日本の高校生の自己肯定感は米国・中国・韓国と比較しても著しく低い,という結果が出ています(「私は価値のある人間だと思う」という項目に対して「そうだ」「まあそうだ」と回答した日本の高校生は44.9%。米国は83.8%,中国は80.2%,韓国は83.7%)。日本の子供たちは,もっと自分自身の成長について自信をもっていいと思います。そのためには,自分の成長点や課題点を客観的に眺められる方法が必要です。
本書は,子供が自身の成長を実感できる方法についての1つの提案です。
2019年2月 /藤原 隆博
この本を読んで、子どもも狂詩も成長を実感できる方法が分かりました。