- はじめに
- 序
- 1章 「始業前・登校時」の見取り術
- 1 教室に一番最初に入るのは,学級担任
- 2 教室の後ろから黒板側を見てみよう
- 3 「おはよう。」は,教師が先に
- 4 「おはよう。」の返し方で,教師への反発心やその日の子どもの様子を見る
- 5 朝,子どもが一緒にいる仲間が,本当に子どもが会いたい仲間?
- 6 「昨日,何してた?」で聞き上手の教師に
- 7 朝,「宿題を出す・出さない」を見れる場に
- 8 カバンを片づけずに遊びにいく子は決まっている
- 2章 「朝学習時・朝の会」の見取り術
- 1 敢えて静かにして声を上げない教師で
- 2 朝学習中に体の動きのある子は,敢えて見守る,その場にいく
- 3 「手紙回し」などをさせない鋭い目と緊張感を
- 4 時に後ろや廊下で静かに掃除をしている教師に
- 5 「静かな雰囲気」を感じさせ,集中力を育てつつ見ていく
- 6 「朝の挨拶」やり直させる教師に見えるものは?
- 7 朝の歌,たまに歌う曲を変えてみると見えるものがある
- 8 「10の〇」から見えること
- 9 子ども同士で質疑応答の機会をつくる
- 3章 「授業中」の見取り術
- 1 子どもの思考の動き出しを見る
- 2 目立つ子に注意を入れすぎるとクラスは荒れる
- 3 授業中の子どもの足の動きに癖が出る
- 4 持ち物の華美化は,トラブルのもと
- 5 次時の忘れ物は,前の授業終わりに把握を
- 6 子ども自身の努力の量が,授業やテストに反映される取り組みを
- 7 教師の巡視動線を変えてみる
- 8 子どもの声は,子どもが見取った教師のずれを指摘
- 9 授業中に子どもが遊び出すのは,授業づくりのミス
- 10 終わった子から手を組ませる〜課題解決〜
- 11 授業中に合法的立ち歩きを入れると,子どもの交友関係がばっちり分かる
- 12 「テスト返し」の時に,子どもの性格・家庭が見える
- 13 危険な動きをする子は要注意!周りの子がけがをする
- 4章 「給食の時間」の見取り術
- 1 給食前に担任は,必ず教室からトイレ・手洗い場までは歩くこと
- 2 給食配膳中の教師の「絶好の立ち位置」は?
- 3 給食配膳中の盛りつけを必ず見ること
- 4 給食中,担任は教卓で子どもの会話を聞く
- 5 給食中は会話を広げる工夫を〜意外な子どもの一面を知ることに〜
- 6 給食の片づけが汚い学級は荒れる
- 7 給食後の片づけで,クラスのしっかり者が分かる
- 5章 「休み時間・放課後」における見取り術
- 1 教卓に近寄ってくる子・遠巻きにいる子の意味を考えて見取る
- 2 一人でいる子は,教師の近くに置く
- 3 教室内・廊下で遊んでいる子たちを視野に
- 4 活発な子どもたちの遊びも,時に見にいく
- 5 休み時間に教室で採点作業をする担任は素人さん?
- 6 帰りの頃の子どもの言葉や動きは,要注意
- 7 ため口をきいてくる子どもは二通り
- 8 「最後まで残りたい」子には意味がある
- 9 一日の終わりとして,必ず学級担任が戸を閉めて教室を出る
- 6章 「いじめ」に関する見取り術
- 1 一発で分かる,集団的疎外感の実態
- 2 「いじめ」は集団内で育っていくものだと認識して見る
- 3 集団的疎外感を感じても,すぐに教師が大声を上げない
- 4 集団的疎外感を黙って見ている教師の存在を子どもは分かっている
- 5 集団的疎外感の構造を分析して見る
- 6 集団的疎外感を醸し出す中核的グループをどう解体するか考える
- 7 「疎外感から無視」そして「いじめ」へ
- 8 「たわむれからじゃれ合い」そして「いじめ」へ
- 9 言葉の荒れや「座席がえ」を注視せよ
- 10 日頃から,担任の味方になれる子たちをつくっておく
- 7章 「クラスの雰囲気を変える」ための見取り術
- 1 清掃に懸命に取り組む子を見取る
- 2 「分からないこと」を誠実に友だちに聞いている子の姿を見取る
- 3 クラスで問題児とされてきた子の違った面を探せ
- 4 静かな子・弱そうな子の積極的な面を見つけよう
- 5 クラスの姿を社会の姿に置き換えてみる
- 後序
- おわりに
はじめに
「子どもなんて見てれば分かるさ。」「毎日,ちゃんと子どもを教室で見ているよ。」「私は大丈夫。子どもと信頼関係ができているから。」
学級担任として,しっかりと学級を掌握している人は,そう言うかもしれない。
しかし近年,子どももさまざまな表と裏を使い分けることが多くなった。また教師の目の届かない場所で,何かが起きていることも珍しくない。現にさまざまな学校現場で「いじめ」は後を絶たず,今日が良くても明日が良いか否かは,もう分からない時代である。今,教師に見せる子どもの姿が,その子の本当の姿であろうか?日々の暮らしの中で,良いこと・いやなこと・辛いこと・めんどうなことなどで,子どもは刻々と表情を変える。
私たち学級担任は,子どもの姿をできるだけつぶさにとらえ,その子の行動を読まなければならない。そして子どもたちの健やかな成長のために次の一手を打っていかなければならない。
私は,学級崩壊後のクラスを何度も受け持った。その時,必ず「この学級では担任がクラスの子どものことを見ていなかったな。」と実感した。担任は,クラスを浄化してくれる子どものサインを無視し,悪い子だと決めつけてかかる中で,キラリと光る褒めるべき所を見逃す。そうして学級が壊れていく。そんなクラスでは,担任が子どもの問題行動をどのようにとらえ,どう子どもに指導してきたかが,まったく分からない状態になっていることも少なくない。
いまこそ,教育に予防的処方箋が必要である。未然に教師がしっかりと仕掛け,子どもの行動を繊細に見取り,読み解き,そして一貫した姿勢で子どもを指導する。そのための「見取り術」が求められる。
本書では,ワンランク上の学級担任が「子どもをどのように見て」「どのように読み」「どのような一手を打っていくか」を述べてみたい。
ぜひ,一読いただければ幸いである。
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