中学校社会科授業 発問・言葉かけ大全 生徒が考えたくなるキーフレーズ100

中学校社会科授業 発問・言葉かけ大全 生徒が考えたくなるキーフレーズ100

授業がガラッと変わるほど、発問や指示の語彙が豊かに!

中学校社会科授業で役立つ発問や言葉かけを目的別に100個収録。「ランキングにしてみよう」「自分と反対の立場でも意見をつくろう」「本当にそれだけかな?」「隠れているものは何かな?」「意外だなと思うことはないかな?」などなど、超実践的フレーズ集。


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ISBN:
978-4-18-244220-9
ジャンル:
社会
刊行:
対象:
中学校
仕様:
四六判 224頁
状態:
在庫あり
出荷:
2024年11月25日

もくじ

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はじめに
第1章 社会科授業で使えるキーフレーズの目的と価値
第2章 目的別 社会科授業で使えるキーフレーズ100
1 全員参加できる授業にするためのキーフレーズ
導入
001 ○○と言えば何かな?
(学びの見通しと生徒の実態把握)
002 クイズです!
(全員参加できる導入)
003 みんなに紹介しよう
(生徒主体の導入)
004 なぜAにもかかわらず,Bなのかな?(導入)
(知的好奇心の刺激)
展開
005 なぜAにもかかわらず,Bなのかな?(展開)
(学習のねらいの達成)
006 Aの人々にとって,Bはどんな存在なのかな?
(人々と対象との関係性の把握)
007 図や矢印でつながりを表そう
(事象同士のつながりの視覚化)
008 ランキングにしてみよう
(根拠を明確にした話し合い)
009 自分の役割を果たそう
(他者の学びへの貢献と自己効力感)
010 自分と反対の立場でも意見をつくろう
(自分の考えの批判的考察)
011 AかつBにするためにどんなことができるかな?
(トレードオフからトレードオンへ)
012 予想を立ててみよう
(課題を解決するための見通し)
013 どんな情報や資料がほしいかな?
(課題を解決する方法の見通し)
話し合い
014 この話し合いの目的は何だろう?
(話し合いの目的の確認)
015 「なるほど。私は…」から話そう
(話し合いの土台づくり)
016 相手の考えを進んで聴けるといいね
(傾聴する態度の育成)
017 考えが広がった部分はどこで,考えが確かめられた部分はどこか
(他者との共通点,相違点への着目)
018 10点満点で評価しよう
(数値化による分析)
問い返し
019 それって,具体的にはどういうこと?
(抽象と具体の結びつけ)
020 本当にそれだけかな?
(粘り強く追究する態度の育成@)
021 すると,どんなことが起きるかな?
(粘り強く追究する態度の育成A)
022 たまたま…したのかな?
(因果関係の確認)
支援,評価
023 あと○分で考えをまとめよう
(目的に応じた時間配分)
024 どこを見たら,考えることができそうかな?
(個別の支援)
025 「ここまで考えられました」が言えるといいね
(「わからない」の捉え直し)
026 ○○がさらによくなっているね
(生徒の成長の言語化)
まとめ
027 みんなのキーワードをつなげてみよう
(大切な学びの抽出)
028 新たな発見はあったかな?なぜその発見が生まれたのかな?
(考えの変容とその契機)
2 資料の読み取りを深めるためのキーフレーズ
029 ○○を探してみよう!
(わくわく感のある読み取り)
030 隠れているものは何かな?
(資料の焦点化@)
031 ○○のまわりはどうなっているのかな?
(資料の焦点化A)
032 ○○がいつのものか確認しよう
(基本事項の読み取り)
033 資料の全体を見て気づくことは?資料の細部を見て気づくことは?
(資料の全体と細部への着目)
034 何の割合が高くて,何の割合が低いかな?
(比較による特徴の明確化)
035 何が増加して,何が減少しているかな?
(変化の視点をもった読み取り)
036 みんなで協力して見比べよう
(複数の目での読み取り)
037 どこから読み取ったのかな?
(読み取りの視覚化,共有)
038 関連づけて考えよう
(複数の資料の関連づけ)
039 どれにあてはまるだろう?
(読み取った情報の分類)
040 ○○と比べて,どんなところが違うかな?
(学習経験のある資料との比較)
041 実際に触ってみよう!
(実物による知的好奇心の喚起)
3 社会との関わりに気づかせるためのキーフレーズ
042 正式名称は何かな?
(身の回りのものと社会との関わり@)
043 身の回りにないかな?
(身の回りのものと社会との関わりA)
044 みんなの住む○○と比べて,△△にはどんな特徴があるかな?
(生活する地域と他地域の比較)
045 もし,みんなが○○に行くとしたら
(学習内容に対する想像力の喚起@)
046 もし,みんなが当時の○○だったら
(学習内容に対する想像力の喚起A)
047 なぜ私たちは,○○しようとするのかな?
(既存の価値観の揺さぶり)
048 ○○がなければ,どんなことに困るかな?
(身近なものや仕組みの役割)
049 今の私たちは困らないですよね?
(違う立場の人々や将来世代が困ることへの気づき)
050 ○○には,目をつぶるべきではないかな?
(見逃したくなる課題への着目)
051 協力するとできること,○○だからできることを考えよう
(影響力と実現可能性)
052 …するために,○○から何を学び,どう生かしていけるかな?
(学びをよりよい社会の創造に生かす視点)
4 疑問や問いをもたせるためのキーフレーズ
053 疑問に思うことはないかな?
(自らの意思で学習を進める態度)
054 「本当にそうなのかな」と思うことはないかな?
(「見えていないこと」の可視化)
055 意外だなと思うことはないかな?
(生活経験とのズレから生じる疑問)
056 ○○と比べて,おかしいと思うことはないかな?
(学習経験とのズレから生じる疑問)
057 ○○に着目してみて,気になることはないかな?
(疑問や問いの方向づけ)
058 その疑問をもった理由も一緒に発表してください
(疑問から問いへの転化@)
059 調べてみたいことはないかな?
(疑問から問いへの転化A)
060 さらに疑問に思ったことはないかな?
(より深い学びを必要とする疑問や問い)
061 よくわからなかったことは,これからどうしたいかな?
(さらなる学習)
5 各分野の学びを深めるためのキーフレーズ
地理的分野
062 カードを並べて,世界地図をつくろう
(六大陸と三大洋の位置)
063 貝殻島の資料から,なぜだろうと思うことはないかな?
(領土問題)
064 ○○とはどんなものか,考えながら動画を見よう
(動画の視聴)
065 なぜ同じ○○の中でも,△△が違うのかな?
(範囲の中での違い)
066 ヨーロッパの人々にとって,教会とはどんな場所かな?
(ヨーロッパの人々とキリスト教の関わり)
067 フェアトレード商品が広がると,どんなよさが生まれるかな?
(様々な立場からの考察)
068 アフリカの経済と私たちの生活は,どうつながっているのかな?
(離れた地域との結びつけ)
069 「様々な文化を尊重する」とは,どういうことかな?
(生徒自身の言葉への置き換え)
070 交通網の発達は,日本中の人々を便利にしたのかな?
(公正の視点)
071 紀伊山地の森林を守ることは,何を守ることにつながるのかな?
(メリットの多面的な考察)
072 午前2時から収穫するレタス農家の苦労は報われるのかな?
(価値を高める工夫)
073 変わらないことに価値があるものが,なぜ変わってきているのかな?
(「当たり前」の揺さぶり)
074 実際の様子を見てみよう
(ICTによる視覚化)
歴史的分野
075 歴史は変わるか,変わらないか
(歴史の授業開き)
076 現代と古代の中国で,印鑑の使われ方はどう違うのかな?
(現代とのつながり)
077 どんな点で,武士の気風に合った,力強くわかりやすい文化なのかな?
(文化と作品の合致)
078 ストーリーにしてまとめよう
(人間関係や時系列の整理)
079 なぜトイレの普及が交通の発達とつながっているのか考えよう
(見えにくいつながりへの着目)
080 なぜ私たちは○○を想像できるのかな?
(歴史と生活経験の結びつけ)
081 年貢として米を運ぶなら,全部江戸へ持って行けばよいのではないかな?
(複数の見方・考え方)
082 当時の日本は,どの国に対しても平等な態度で接したのかな?
(国に対する態度の違い)
083 学んだことを思い返すと,さらに調べてみたいことはないかな?
(学習経験の振り返り)
084 だれが,だれに向かって,何のためにものを投げているのかな?
(自由民権運動の広まりと政府による弾圧)
085 欧米の文化や生活様式を取り入れることに抵抗はなかったのかな?
(従来の文化の見直し)
086 不景気により,アメリカはどうなってしまったのかな?
(株価の大暴落が招いた経済的混乱)
087 なぜ木炭自動車がよく使われるようになったのかな?
(戦争中の代用品)
088 なぜ日本は戦争をやめようとしなかったのかな?
(戦争の長期化が人々の意識に与えた影響)
089 みんな何に夢中になっているのかな?
(新しいマスメディアの影響)
090 今も変えられずに問題となっていることは何かな?
(現代に続く課題)
公民的分野
091 伝統文化のどこは変わらず,どこは変わっているのかな?
(伝統文化の変容)
092 立憲主義と民主主義,片方が欠けると何が起きるかな?
(立憲主義と民主主義の意味)
093 日本国憲法ができて,私たちはどんなことに安心できるようになったのかな?
(日本国憲法の役割)
094 法律があれば,偏見や差別のない社会をつくることができるのかな?
(差別解消に向けた意欲)
095 なぜごみ袋の値段が地域によって違うのかな?
(自治体ごとの取組の違い)
096 保護者の方は,地域住民としてどう考えるかな?
(保護者に意見をもらうための発問)
097 企業と社会全体にとって,どんなよさが生まれるのかな?
(責任を果たすことで生まれる利益)
098 円の価値が上がったのか,下がったのか,どちらかな?
(円高,円安)
099 日本が活躍するために,どんな取組ができるかな?
(国際的な視野で見た日本経済)
100 先進国が発展途上国に製品をつくらせるのをやめてはどうかな?
(貧困問題への取組)

はじめに

 みなさんは,授業の中で生徒がどのような姿になっていることを理想としていますか。また,授業を通してどのように生徒が成長していくことを望んでいますか。

 本書では,「全員が生き生きと授業に参加する」「生徒が自ら学び続ける」ことを目指したキーフレーズを紹介しています。

 生徒が学習課題に取り組む際,はじめは課題に取り組むことができなかった生徒が,自らの手で,あるいは他者と協力しながら学習できるようになる。時には,教師から与えられた課題や資料を超えて,生徒が自ら学ぶようになる。そんな姿を思い描いています。

 実際に達成することは容易ではありません。しかし,少しでもその理想を達成するために,発問や言葉かけを工夫しています。

 近年では変わってきていると思いますが,私が中学校教師になったばかりのころは,知識伝達型の授業,いわゆる講義を中心とした授業も散見されました。

 すべての場面で知識を伝達することを否定するわけではありません。知識伝達を行ってから,生徒が思考する場を設けるというような授業構成も考えられます。

 しかし,もし知識伝達を目的とした講義型の授業が主となっているのであれば,それが「長期的に見て,本当に生徒のためになっているのか」を考え直す必要があります。

 授業におけるねらいを,学習指導要領の目標や内容を踏まえつつ,現代社会の変化,目の前の生徒を捉え,再構成していく必要があります。

 しかし,中学校の授業づくりにおける課題として,講義型の授業から脱却したいと考えながらも「やり方がわからない」「自分のやり方でよいのか自信がない」という先生方もいらっしゃるのではないでしょうか。私自身がそうでしたが,授業準備の時間が確保できなければ,講義型で授業を進めることもありました。そのような授業スタイルから少しでも脱却を図ろうとしてきた中で生まれてきたのが,本書で紹介するキーフレーズである発問や言葉かけです。


 生徒がより深い学びに到達する。

 生徒が中心となって活動し,思考する時間が主となる。

 全員の生徒が生き生きと授業に参加している。


 この本を手に取られた読者の方々も,これらのような願いをもっていらっしゃるのではないでしょうか。このような授業は,教師からの発問をきっかけとしてつくられていきます。

 この本では,100のキーフレーズを紹介しており,今まで実践してきた中でも,先述のねらいの達成に近づいたと感じているものを中心に紹介しています。


 本書の中では,

@全員参加できる授業にするためのキーフレーズ

A資料の読み取りを深めるためのキーフレーズ

B社会との関わりに気づかせるためのキーフレーズ

C疑問や問いをもたせるためのキーフレーズ

D各分野の学びを深めるためのキーフレーズ

というように,それぞれの目的に応じたキーフレーズを紹介しています。

 ポイントとして,キーフレーズは単体で使ったとしても,その効果を十分に発揮することはできません。その目的や,効果,または負の側面を考えたうえで使うことが大切です。

 また,最終的には目の前にいる生徒に合わせて発問や言葉かけも変えていく必要があります。私が日々向き合っている生徒と,みなさんが向き合っている生徒は同じではないからです。生徒の発達段階,学習経験,生活経験,興味・関心によって,授業中の思考の流れは変わってきます。

 しかし,多くの選択肢があるということが,教師としても自信をもって,教壇に立つことにつながり,生徒をより深い学び,より楽しい学びへといざなうことにつながります。

 ここで紹介しているキーフレーズが,みなさんにとってアイデアや技の1つとなることを期待しています。


  2023年5月   /林 大志郎

著者紹介

林 大志郎(はやし たいしろう)著書を検索»

1987年生まれ。兵庫県公立中学校教諭。

生徒の「知的好奇心」を育てる社会科授業づくりを心がけ,日々実践を重ねている。Twitter上で,中学社会科授業ネタ1000個づくりにチャレンジ中。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • わかりやすい内容で、すぐに活用できる。
      2023/10/260代・大学勤務
    • 社会科の授業の発問や補助発問や切り返しをする上で参考になった
      2023/6/930代・中学校教員
    • 項目ごとに振り分けられているので分かりやすいです。発問の使い方について、例えば分野ごとの例があればよりイメージしやすかったです。
      2023/6/920代・中学校管理職
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