- はじめに
- 本書の構成
- 1年
- おおきなかぶ
- 授業者 /藤井 大助
- 研究授業協議 /樋口 綾香・星野 克行・笠原 冬星
- どうぶつの赤ちゃん
- 授業者 /樋口 綾香
- 研究授業協議 /宍戸 寛昌・山埜 善昭・河合 啓志
- 2年
- ふきのとう
- 授業者 /中嶋 千加
- 研究授業協議 /樋口 綾香・河合 啓志・宍戸 寛昌
- 名前を見てちょうだい
- 授業者 /古沢 由紀
- 研究授業協議 /河合 啓志・星野 克行・佐藤 司
- たんぽぽのちえ@
- 授業者 /笠原 冬星
- 研究授業協議 /樋口 綾香・山埜 善昭・宍戸 寛昌
- たんぽぽのちえA
- 授業者 /西尾 勇佑
- 研究授業協議 /宍戸 寛昌・河合 啓志・山埜 善昭
- たんぽぽのちえB
- 授業者 /宍戸 寛昌
- 研究授業協議 /樋口 綾香・河合 啓志・西尾 勇佑
- 3年
- モチモチの木
- 授業者 /宍戸 寛昌
- 研究授業協議 /河合 啓志・樋口 綾香・星野 克行
- 自然のかくし絵
- 授業者 /竹澤 健人
- 研究授業協議 /宍戸 寛昌・星野 克行・佐藤 司
- 4年
- 白いぼうし
- 授業者 /星野 克行
- 研究授業協議 /樋口 綾香・宍戸 寛昌・山埜 善昭
- アップとルーズで伝える
- 授業者 /三笠 啓司
- 研究授業協議 /樋口 綾香・山埜 義昭・平井 和貴
- 5年
- 大造じいさんとガン@
- 授業者 /岡田 憲典
- 研究授業協議 /笠原 冬星・河合 啓志・山埜 善昭
- 大造じいさんとがんA
- 授業者 /小石川 敦子
- 研究授業協議 /樋口 綾香・宍戸 寛昌・河合 啓志
- 注文の多い料理店
- 授業者 /笹 祐樹
- 研究授業協議 /宍戸 寛昌・樋口 綾香・山埜 善昭
- 言葉の意味が分かること
- 授業者 /平井 和貴
- 研究授業協議 /樋口 綾香・宍戸 寛昌・西尾 勇佑
- 6年
- 帰り道
- 授業者 /山埜 善昭
- 研究授業協議 /宍戸 寛昌・河合 啓志・岡田 憲典
- あの坂をのぼれば
- 授業者 /佐藤 司
- 研究授業協議 /宍戸 寛昌・山埜 善昭・星野 克行
- メディアと人間社会
- 授業者 /佐藤 司
- 研究授業協議 /樋口 綾香・河合 啓志・宍戸 寛昌
- 参考文献
はじめに
問 「この文章を読んでいるということは,あなたは国語の授業に何らかの問題意識をおもちなのでしょう。では,なぜあなたは『国語の授業』を学ぶのですか? 次のA〜Cから最も適切なものを1つ選び,記号で答えてください。」
A そこに魅力的な教材があるから。その作品の新しい読みを見つけた瞬間,ドキドキが止まらなくなる。
B 子どもと共に高みに向かえるから。こちらの想定外の読みが子どもから生まれた瞬間,えも言われぬ感動を覚える。
C ここに自分がいるから。自らの実感を基に新たな指導法を編み出した時,ニヤリと密かな喜びを覚える。
このように,「よい国語の授業をしたい」という願いが同じでも,立ち位置も求める方向も人それぞれで違います。かといって,そのまま違う方向に進むと共同研究の意味がないので,研究会ではテーマや手法をある程度絞って行うのが一般的。しかし,その当たり前に目もくれず,異なる教材観と授業観をぶつけ合うことに面白さを見出しているのが我ら関国研なのです。
関西国語授業研究会(以下「関国研」)は関西圏に勤務する30余名のメンバーが,国語の新たな実践的研究をしようと2017年に立ち上げた団体です。「教材の前では誰もが平等」「ビジョンは共有するが,手法は多様に」「とにかく子どもに言葉の力をつける」をモットーに,2か月に一度の定例会,年に一度の全国大会を開き,歯に衣着せぬ白熱した議論を続けています。
その熱い意見のぶつかり合いを,ライブ感はそのままに何とか書面にできないかと試行錯誤してできあがったのが本書です。見どころ@少々偏っていても気にせず,自分の主張を思う存分吐き出す「わたしの教材研究の視点」。見どころAその視点を具体化し,読者の先生が実際に授業を行えるよう計画した「教材研究から立てた単元構想」。見どころBそれら実践に対して3人がツッコミを入れ,提案者が反論する「研究授業協議会」。いずれも尖った企画です。
読んでいただけばわかりますが,とにかく執筆者の個性が駄々洩れです。ツッコミなのに自分のお勧めの指導法しか書かない人,丁寧な口調なのに厳しい意見を書いている人。その中からぜひお気に入りの執筆者を見つけて,ツッコミと応答を追ってみてください。例をあげてみましょう。先の問でAを選んだあなたは「研究者」型です。言葉の力を信じるあなたは,「ヒグチ」さんの授業観にピッタリ。Bを選んだあなたは「教育者」型かも。子どもの心を大切にするあなたには,「カワイ」さんのコメントが刺さるはず。Cを選んだあなたはズバリ「実践者」型。授業にマニアックな面白さを求めるあなたは,「シシド」さんの感性に近いかも。ぜひお試しを。
『100本ノック』というタイトルは明治図書の佐藤智恵さんが提案してくださいました。次々と飛んでくる白球をさばき続ける名野手のごとく,様々な教材を時に華麗に,時に泥臭く,キャッチして即投げ返して日々実践を繰り返している我々にピッタリの題名です。
この本が売れて,うまく重版が続けば続編を出すことになるかもしれません。続編が5冊を超えたら,書名の通り100本の実践が積み重なることになるのです。何年後になるのかわかりませんが,その日が今から楽しみです。たとえそうならずとも,我々は大阪のどこかの会議室で,マニアックな国語授業の斬り合いを続けるだけなのですが。
著者を代表して /宍戸 寛昌
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- 明治図書