- まえがき
- 第1章 マサ先生の中1英語「達人」指導法
- 1 総合的な英語力を身に付けるための指導
- (1) 英語を身に付ける学習指導の前提
- (2) 「場面」「表現」から入り,「音」を経由して「文法規則」でまとめる
- (3) 語順の確認と場面を想定した英作文で定着
- @第一ステップ……「語順整除」
- A次のステップ……「和文英訳」
- B最終ステップ……「場面英作文」
- 2 中学1年生指導の留意点
- (1) 英語学習のモチベーションの確認
- @承認行動
- Aスモールステップと発問
- (2) 日本語能力を指導に利用する
- ◆小学校英語活動との連関を図り,英語を音から学ぶ
- ◆マサ先生の英語指導の原点
- 日本語との違いを明確にする
- *1−1「音の違い」の指導法
- 日本語の知識の利用
- *1−2「文字」の指導
- *1−3「音声と文字」の指導
- *1−4「英語は『語順が重要』」の徹底
- *1−5「英語は『動詞が命』」の徹底
- *1−6「文法用語使用」のミニアム化
- 効果的な宿題
- 【内容】
- @語彙(単語・連語)の筆記練習
- A基本文(基本表現)の筆記練習
- B楽しく記憶する工夫
- C教科書本文の書写と音読
- D教科書本文の暗誦
- 宿題を確認
- 【まとめ】
- 第2章 プロ教師直伝! 中1英語「達人」レッスンプラン
- 1 英語学習の目的
- (1) 音と文字(フォニックス指導1)
- (2) 音と文字(フォニックス指導2)
- 2 英語特有の音を捉えよう
- 3 固定表現を知ろう(Classroom English)
- 4 中学1年生全般での教科書指導の基本形
- 5 日本語との違いを知ろう(文の形)
- Lesson 1−1「的確な質問の繰り返しで,授業に引き込むコツ」
- Lesson 1−2「英語では,自分はすべて“I”で表す」
- Lesson 1−3「英語と日本語の大きな違い」
- Lesson 1−4「英語の語順は主語+動詞」
- Lesson 1−5「be動詞は主語によって変わる」
- Lesson 2 「be動詞は偉い」
- Lesson 3 「be動詞は『足』だけではなく『手』もある」
- Lesson 4 「英語は語順が命」
- Lesson 5−1「一般動詞の文の書き換え」
- Lesson 5−2「否定文」
- Lesson 6−1「疑問詞『何』という表現」
- Lesson 6−2「疑問詞『何の〜』という表現」
- Lesson 6−3「日本語と大きく異なる数の概念」
- Lesson 7−1「命令文」
- Lesson 7−2「命令文の応用形」
- Lesson 7−3「英語は型とリズム感」
- Lesson 8−1「三人称単数現在形のs」
- Lesson 8−2「主語が三人称のときは動詞に“s”を付ける」
- Lesson 8−3「疑問文のつくり方」
- Lesson 9−1「現在進行形」
- Lesson 9−2「現在進行形の使い方」
- Lesson 9−3「会話はリズムと間合いが大切」
- Lesson 9−4「インタビューゲームで英語を楽しむ」
- Lesson 10−1「過去形」
- Lesson 10−2「過去の文では『動詞を過去形』に変える」
- Lesson 10−3「過去形の違う表し方(不規則変化動詞)」
- Lesson 10−4「過去形の文を疑問文や否定文に」
- Lesson 11 「canの位置と動詞の形」
- Lesson 12 「疑問詞を用いた疑問文の利用法」
- あとがき
まえがき
日本の教育は,大きな曲がり角にきています。教育の詰め込み主義が子どもをダメにすると言われた1970年代から80年代。その反省に立って進められたゆとり教育路線が,その完成を待つ間に失敗だと批判の嵐にさらされ,2002年から本格的に始まったゆとり教育改革は,大きな失敗としてすぐに方針変更を余儀なくされました。そして,また学力偏重主義とも言える教育内容に大きくシフトを切って,2012年に中学校では新しい学習指導要領が完全実施されます。学習時間からすれば,80年代に戻ったと言っても良いぐらいです。
この20年以上もの教育行政の試行錯誤は,日本の教育をある意味で大きく荒廃させました。子どもたちの学ぶ姿勢や学ぶ動機を大きく後退させたと言ってよいと思います。中学校の先生ならずとも多くの方が,小学校で身に付く学力に大きな不安をもつようになりました。ゆとり教育という名のもとに基礎学力を蔑ろにし,思考力が重要だと言って基本知識の習得を蔑ろにした結果,子どもたちの学力形成は不完全になり,子どもたちの学ぶ形は崩壊してしまったのです。
この反省の上に,今回の学習指導要領がスタートするわけですが,子どもたちの学びの形が崩壊した今,新しい学びの形を私たちは,提案していかなければならないのです。
この度,浅井氏が,中学1年生の英語に関して,従来の中学校の英語指導とは大きく違う教授法を提案していますが,まさに日本の英語教育の新しい学びの形の提案なのです。子どもたちにとって,英語を学ぶということは,どういうことなのか,浅井氏は,明確に授業の中でメッセージを送ります。子どもたちは,授業を通して,自然と英語を学ぶ意味を理解します。
語学は,学問である前に,コミュニケーションツールなのだと浅井氏は,定義し,中学校の英語の授業を組み立てます。授業自体が,コミュニケーションとはどういうものなのか,そういうメッセージになっています。
教師という存在は,子どもたちの学ぶ興味を生み出す,ある種エンターテイメント性を要求される職業です。ぜひ,浅井氏(マサ先生)のパフォーマンスに耳を澄ませてください。きっと皆さんにとって,新しい英語教授法が,そこにはあると思います。
それでは,マサ先生の授業の始まりです!
2012年3月 /中土井 鉄信
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- 明治図書
- 生徒との対話形式で話を進めているので実際の授業の状況を想像しやすい。2016/4/30dewberry