- まえがき
- 第1章 アクティブ・ラーニングは「生きる力」の育成の実体化
- アクティブ・ラーニングで学び合う授業づくり 理論編
- 1 アクティブ・ラーニングと注目の背景
- 2 高等教育から初等教育,そして大学入試へ
- 3 アクティブ・ラーニングと集団づくり
- 4 アクティブ・ラーニングはキャリア教育
- 「アクティブ・ラーニングで学び合う授業づくり」の使い方
- ※第2章の実践編は,下記の内容を中心にまとめています。
- @ アクティブ・ラーニングのとらえと基本的な考え方
- ▲「私の考えるアクティブ・ラーニングとは?」主体性を引き出し,協働を実現する授業づくりの考え方をまとめています。
- A 子どもの主体性を引き出し,協働を実現した成功実践モデル
- ▲「このような取り組みで成功した」「こんな授業で子どもたちはこんな姿を見せた」という具体的な実践モデルを,はじめて取り組む方にも追試できるよう,わかりやすく解説しました。
- B アクティブ・ラーニング成功の極意
- ▲アクティブ・ラーニングとして「成功のために,ここは外せない」ポイントをまとめています。
- 第2章 これが私のアクティブ・ラーニング!成功する授業づくりの秘訣
- アクティブ・ラーニングで学び合う授業づくり 実践編
- 1 自治的集団づくりを志向することが,アクティブ・ラーナー育成につながる
- 1 アクティブ・ラーナー育成は昔からされていた?
- (1) 私の考えるアクティブ・ラーニング
- (2) 自治的集団を育むサイクルがアクティブ・ラーニングを促進する
- 2 アクティブ・ラーナー育成の筋道
- (1) Q−U(学校生活意欲)の変容から考えるアクティブ・ラーナーの育成
- (2) アクティブ・ラーナー育成を目指した活動アイディア
- 算数科6年:「いろいろな形の面積」
- 算数科6年:「比例と反比例」
- 3 アクティブ・ラーニング成功の極意
- (1) アクティブ・ラーニングの必要性を認識する
- (2) 子どもたちと共に,担任がアクティブ・ラーナーになる
- 2 『説明学習』×『挙手なし指名』によるアクティブ・ラーニング
- 1 私の考えるアクティブ・ラーニングとは
- (1) アクティブ・ラーニングじゃなきゃ,私,無理です
- (2) 教師とは1年,同級生とは一生
- (3) 挙手,やめちゃいました
- 2 『説明学習』×『挙手なし指名』とは
- (1) こんなところがいいんです!
- (2) こんなふうに行います!
- 社会科3年:「昔の道具と人びとのくらし」
- (3) こんなふうに工夫してます!
- 3 アクティブ・ラーニング成功の極意
- (1) 話合いをさせまくる
- (2) 暗記させる
- (3) 型を決めてテンポよく進める
- 3 授業のねらいをつかむことでアクティブに学んでいく!
- 1 パフォーマンス課題「オリジナルジュースをつくろう」
- 理科5年:「水溶液」
- (1) 評価規準
- (2) 本単元のパフォーマンス課題
- 2 グループ・モデレーションでアクティブからdeepへ
- (1) 子どもが作成するルーブリック開発のポイント
- (2) 学習課題をつかむ
- (3) 学習課題から大切なポイントを絞り込む
- (4) 子どもによるグループ・モデレーション
- 3 授業の実際
- (1) 見本のジュースから材料を探す
- (2) 炭酸水は水溶液か?砂糖の量は?レモン果汁の量は?
- 4 実際につくってみる
- (1) どんどん溶かしてジュースにしていく
- (2) ワークシートで振り返る
- 5 授業後に相互評価で振り返る
- 6 見えた2つの成果
- 4 みつめよう環境・考えようエネルギー〜持続可能な社会づくりを目指して〜
- 1 変動する地球環境と忘れない震災
- (1) 地球が危ない
- (2) 東日本大震災
- (3) 「本当に大切なこと」
- (4) 実践の展開
- 総合的な学習6年:「エネルギー発電について考えよう」
- 2 実践@「気付いたことを発表しよう」
- ◆「夜の日本」を見て考えよう
- 3 実践A「明かりをつけてごらん」
- 4 実践B「電気はどのようにしてつくられているのだろう」
- 5 実践C「2030年の電源構成について考えよう」
- (1) 電源構成について
- (2) 子どもたちと電源構成を考えてみる
- 6 実践D「今,できることを考えよう」
- 7 評価・子どもの変容をとらえる
- (1) 意識調査
- (2) イメージマップ
- (3) 振り返り
- 8 決められた正解のない問題に,考え続けようとする姿勢を育む
- 5 子どもが目を輝かせて追究する理科授業
- 1 理科における問題解決的な学習とアクティブ・ラーニングの違い
- (1) 主体性と対話する力を育むアクティブ・ラーニング
- (2) 「やらせる」理科授業から主体的に追究する理科授業へ
- (3) 子どもたちが主体的に学ぶ理科授業のポイント
- (4) 子どもたちが対話的に学ぶ理科授業のポイント
- 2 5年生「物の溶け方」で見るアクティブ・ラーニング
- 理科5年:「物の溶け方」
- (1) 「?」を生む教材との出会い
- (2) 食塩の様子を絵で表す
- (3) 実験計画を立てる
- (4) 実験
- 3 アクティブ・ラーニング成功の極意
- (1) 教師との人間関係が主体的な学びの前提条件
- (2) 「目的のために誰とでも協力できる」という価値の共有が対話的な学びの土台
- 6 アクティブ・ラーニング時代の体育〜子どもの「やりたい!」から始めよう〜
- 1 指導があるから子どもは自由になる
- (1) これをしたから「アクティブ・ラーニング」?
- (2) アクティブ・ラーニングかどうかは個人の状態
- (3) アクティブ・ラーニングは自由度を段階的に上げていく
- (4) わかる・できる・関わる授業をつくる
- 2 アクティブ・ラーニングで体育授業はこう変わる
- (1) マット運動におけるアクティブ・ラーニング
- 体育科4年:「マット運動」
- (2) ゴール型ゲームにおけるアクティブ・ラーニング
- 体育科4年:「セストボール」
- 3 アクティブ・ラーニング成功の極意
- ◆教師の主体変容・率先垂範で,子どものニーズに変化を起こせ!
- 7 アクティブ・ラーニングの肝は「能動性」である
- 1 アクティブ・ラーニングとは?
- (1) アクティブ・ラーニングの肝
- (2) アクティブ・ラーニングを支える一斉授業
- (3) アクティブ・ラーニングへ向かうための協働学習のリソース
- (4) アクティブ・ラーニングを特別なものにしない〜試行錯誤の進め〜
- 2 誤答提示で能動性に火をつけるアクティブ・ラーニングの授業
- 算数科5年:「三角形の面積の公式」
- (1) リソース
- (2) アクティブ・ラーニングの序章
- (3) 誤答提示によるアクティブ・ラーニングの加速
- (4) 誤答提示からスタートするアクティブ・ラーニング
- (5) 底辺と高さはどこか?
- 3 アクティブ・ラーニング成功の極意
- (1) 能動性を支えるもの
- (2) 子どもに「預ける」という感覚
- (3) 後追い
- (4) 多様性
- 8 学びを楽しむ!家庭科から考えるアクティブ・ラーニング
- 1 「楽しさ」の質が問題!?
- (1) 家庭科が「好き」,だけど未習得
- (2) 班で協力,担当は「皿洗い」
- (3) 家庭科の「楽しさ」が「互いに学ぶ」ために
- 2 家庭科におけるアクティブ・ラーニング
- (1) 学びにおける関わり合いの必要性
- (2) やらせるのか,「やりたい」「やらねば」とさせるのか
- 3 アクティブ・ラーニングの場と学びの要素
- (1) 「できる!」と「こうかな?」 @根拠をもって考えられる場
- (2) 米はなぜ炊くの? A試し,共有する場
- (3) 「そんなことも!?」を知る模擬家族 B違いを実感する場
- (4) 本音のアンケート,ランキング C家族の思いを知る場
- 4 学びたい!を生む授業,つながりを生む授業
- 9 「生きる力」を本気で育てるアクティブ・ラーニング
- 1 子どもたちのやる気スイッチを入れるには!?
- 2 学級活動に対してアクティブ・ラーナーになろう
- 3 委員会活動でアクティブ・ラーナーになるよう種まき
- 4 委員会チームでPDCA
- 5 毎日ある国語科を通して,アクティブ・ラーニング
- 〜主体的・協働的な国語の時間になるには〜
- 10 課題に対してアクティブに関わる
- 〜課題解決のために自分にできることを考える総合〜
- 1 教師は何をする
- (1) 一体何が変わるのか
- (2) 活動を「させた」総合的な学習の時間
- (3) 学年の課題と自分の貢献
- 2 一人一人の課題解決を重視した実践
- (1) 実践例〜5年・米づくり〜
- (2) 教師の関わり
- (3) 学校体制で活動を支える
- 3 アクティブな姿を継続するために
- (1) 経験したシステムを他の場面で使う
- (2) 教師が変わる
- あとがき
まえがき
指導要領改訂への動きが活発化して参りました。文部科学省は,「何を学ぶか」という指導内容の見直しに加えて,「どのように学ぶか」「何ができるようになるか」の視点から学習指導要領を改善するといいます。また,「社会に開かれた教育課程」の実現を目指し,学習内容を深く理解し,社会や生活で活用できるようにするためには,知識重視か思考力重視かという対立的な議論を止め,知識の量や質と思考力の定着の両方を目指すといいます。
そうした指針を受けて,学習過程の改善の視点として打ち出されているのが「アクティブ・ラーニング」(「主体的・対話的で深い学び」の実現)です。教育界に降って湧いたように登場したこの言葉に,現場は戸惑いその正体を探るべく様々な主張がなされました。正に「アクティブ・ラーニング」バブルといった状況となりました。アクティブ・ラーニングは,果たして「方法論なのか考え方なのか」という極めて基本的なところも右往左往しているように見えましたが,「学習改善の視点」というところで落ち着くようです。
「アクティブ・ラーニング」って何だろうと疑心暗鬼になるよりも,まずは一歩を踏み出してみませんか。そのためには具体例があったらいいなと思いませんか。本書は,指導要領の改訂に先駆けてアクティブ・ラーニングの視点で授業改善に取り組む教師たちの力強い実践を10例掲載しました。それぞれの注目のポイントを示します。
橋健一氏は,算数の授業を例にしながら能動的学習者を如何に育成するかについて切り込みました。授業論に終止しがちな風潮に楔を打ち込んでいます。吉田賢二氏の「説明学習」×「挙手なし指名」は,とても興味深い実践ですが,そこに学習者をはめ込んだのではなく,「自分が学習者だったら」という視点で授業をつくったところが秀逸です。岡田広示氏は,評価の専門家らしく,難しいと言われるアクティブ・ラーニングの評価の問題に正面から向き合いました。八長康晴氏は,持続可能な開発のための教育(ESD)の視点で構想した授業で,「決められた正解のない問題」に挑む子どもたちを育成しようとしています。松下崇氏は,自治的集団づくりのプロです。それらしく,子どもたちが主体的に協働に学習するための仕かけを紹介しています。アクティブ・ラーニングの成功のポイントは,子どもの自由度を上げることですが,松尾英明氏は,その自由度を上げるためにはその基盤となる指導があることを専門の体育の学習を通じて,丁寧に記述しています。南惠介氏は,早くからアクティブ・ラーニング型の授業に取り組んだ一人です。授業は「投げかけ」が中心に述べられがちですが,「後追い」が大事という主張に唸らされます。佐藤翔氏は,家庭科を例にアイディア豊かな4例もの実践を示していますが,最後に示す授業づくりのポイントは全教科に応用可能な提案です。教科指導だけで主体的学習者を育てることは,現実的ではないと考えています。濱弘子氏は,委員会活動と国語の授業を取り上げていますが,カリキュラム全体で子どもたちの主体性を育てるという主張は説得力があります。岡田順子氏は,アクティブ・ラーニングを成立させるのは「教師の在り方」であると,これまで言及されてこなかった授業改善の本質にズバリと切り込みました。
第1章には,アクティブ・ラーニングの導入の背景や定義,その構造の概略を示しました。皆様のこれからの授業づくりの力強いガイドになると確信しております。
/赤坂 真二
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- 明治図書
- アクティブラーニングの授業のイメージをもつことができました。2022/10/1340代・小学校教員
- 小手先の手立てではないため、実践とともすれば、今後役に立つ2019/2/1830代 教諭
- 様々な先生方の考える、現場目線のアクティブ・ラーニング。自分なりにも考えてみようと思わせてくれます。2016/12/1030代・小学校教員