- はじめに
- Chapter1 中学2年「知識&技能」の教え方ガイド
- 1 生徒間の学力差,どうすればいいの?
- 2 教科は,どんな特性があるの?
- 3 「できた」感を持たせるためには,どうしたらいいの?
- 4 「知識及び技能」は,どんな力を育てればいいの?
- 5 「知識及び技能」の評価問題は,どう作ればいいの?
- 6 「文法」は,どう指導したらいいの?
- 7 「語彙」は,何を指導したらいいの?
- Chapter2 「音声」の教え方ガイド&ワーク
- 1 単語の音の「連結」をする
- 2 単語の音の「脱落」をする
- 3 単語の音の「同化」ができる
- 4 似ている音素を言い分ける
- 5 区切り(意味のまとまり)を意識して音読する
- 6 適切な音読ができるように自分で考えて音読する
- Chapter3 「語彙」の教え方ガイド&ワーク
- 1 〔綴りと音の関係〕2文字子音@〜 ch[tʃ]/sh[ʃ] 〜
- 2 〔綴りと音の関係〕2文字子音A〜 th[ð]/th[ɵ] 〜
- 3 〔綴りと音の関係〕マジックe
- 4 〔綴りと音の関係〕2文字母音@〜 oo[u:]/oo[u] 〜
- 5 〔綴りと音の関係〕2文字母音A〜 ea/ee [i:] 〜
- 6 〔綴りと音の関係〕2文字母音B〜 ay/ai [ei] 〜
- 7 〔綴りと音の関係〕2文字母音C〜 ou/ow [au] 〜
- 8 〔綴りと音の関係〕母音+子音@〜 ir, ur, er/ear[ə:r] 〜
- 9 〔綴りと音の関係〕母音+子音A〜 au, aw, al[ɔ:] 〜
- 10 〔綴りと音の関係〕2文字綴り〜 ew[ju:], ph/gh[f] 〜
- Chapter4 「文法」の教え方ガイド&ワーク
- 1 未来形@ will 肯定文・疑問文・否定文
- 2 未来形A be going to 肯定文・疑問文・否定文
- 3 接続詞@ that I think that he is an honest boy.
- 4 不定詞@ 副詞的用法 I went to Nagoya to shop.
- 5 不定詞A 形容詞的用法 I have a lot of things to do.
- 6 不定詞B 副詞的用法 I am glad to take a good trip to Kyoto.
- 7 It is ... for 〜 to ....
- 8 助動詞@ must, must not
- 9 助動詞A have to, not have to
- 10 There is/are
- 11 疑問詞+ to +動詞の原形
- 12 接続詞A if
- 13 接続詞B because
- 14 第5文型 SVOC
- 15 make +人+形容詞
- 16 want +人+ to
- 17 比較@ 比較級・最上級
- 18 比較A 長い単語の比較級・最上級
- 19 比較B 同格
- 20 受け身 肯定文・疑問文・否定文
- ワークシートの解答
- 付録 「単語の活用形」ワーク
- 1 不規則動詞の過去形・過去分詞が書けるかな?
- 2 比較級・最上級が書けるかな?
はじめに
2023年夏,オーストラリアに出かけ,食事の際,次のように尋ねられた。Would you like something to drink? とっさに,Just water, please. と返答。すると,Tap water? と聞かれた。オーストラリアは日本と同じで水道水は飲めるということは知っていたので,Yes, please. と答えた。このとき,久しぶりに,tap water という英語を聞いた。たまたま,tap water という語彙知識があったので,スムーズに理解することができた。しかし,もしtapという英語の意味がわからなかったらどうなっていただろうか。おそらく,数回のやり取りの後,最終的には理解できたと思うが,語彙を知らないと,コミュニケーションに影響が出る。
また台湾に行ったときのこと。台湾の町は,看板も漢字で書いてあるので,比較的,どこに何があるのかわかり,便利である。地下鉄に乗っても,駅名が漢字で書かれているので,不自由なく,目的地にたどり着くことができた。
一方,韓国はハングル語が読めないと何と書いてあるのかわからず,苦労した経験がある。
さて,その台湾でのことである。お腹がすいたので,レストランを探していた。すると,「大飯店」という看板を見た。その大飯店を目指して歩いて行った。しかし,レストランが見つからない。近くの人に,Do you have arestaurant near here? と尋ねたが,見つけられず,途方に暮れたことがあった。少しして,「大飯店」とは,「ホテル」という意味であることを知った。
また,台湾で理解できなかった語に「月台」があった。駅に行くと見かける。矢印で「月台」と書いてあると,「こっちに行くと『月台』方面に行くのだなあ」と思ってしまい,路線図を見ても,「月台」という終着駅は見当たらず,どのホームに行っていいのか迷った。しかし,後々,「月台」は,駅の「プラットフォーム」という意味であることがわかった。つまり,こちらに行けば,「1番ホームに行けるよ」と示していたのである。
ここで思い起こすことは,「知識及び技能」があれば,コミュニケーションは円滑に行われるが,「知識及び技能」がなければ,コミュニケーションに支障が生じるということである。
やはり,「知識及び技能」は大事であることが再認識される。「思考力,判断力,表現力等」を育てることはもちろん大事ではあるが,その土台となる「知識及び技能」をしっかり身に付けておかなくてはいけないと感じた。
本シリーズは,学年別の3冊構成である。本来は1冊で収めたいところではあるが,文法事項も含めると量が多くなることから,3冊組となっている。
学習指導要領には,指導すべき「知識及び技能」が書かれている。
ア 音声
イ 符号
ウ 語,連語及び慣用表現
エ 文,文構造及び文法事項
『中学校学習指導要領(平成29年告示)』p.146
これらの「知識及び技能」を,3学年を通して指導する。学年の指定はない。教師に任されていると言ってよい。よって,本シリーズ学年別の3巻も,決して当該学年で指導しなくてはいけないということではない。
1年編で書かれている事項も,指導していなければ,2年生で指導したり,3年生で指導したりすることが考えられる。逆に,本書2年編の内容を1年生のうちに指導することも可能である。
どうか3巻を眺めていただき,先生方の指導事項の系統図を完成していただき,生徒に確かな「知識及び技能」をつけていってもらえたら幸いである。
なお,Chapter2以降の「評価基準」の「十分に」とは約8割以上,「概ね」とは約6割〜8割の習得状況を指す。
2024年2月 /瀧沢 広人
-
- 明治図書