- はじめに
- 第1章 地理のネタ開発と授業づくり
- 1 ネタ開発と授業のねらい
- (1)興味・関心が高まり教室が活気づくネタ
- (2)知識・理解につながるネタ
- (3)社会のしくみに迫るネタ
- (4)一つの事実を地理的に考えるネタ
- (5)多面的・多角的に考察できるネタ
- 2 アクティブ・ラーニングによるリアルタイム授業~“爆買”の授業~
- (1)“爆買”って何?
- (2)“爆売”する中国
- (3)「復活」を遂げる中国
- (4)なぜ今“爆買”?
- (5)“爆買”実践から考える地理学習~アクティブ・ラーニングを踏まえて~
- 第2章 へっ!そうだったんだ!「世界の姿」ウソ・ホント?授業
- 1【方法】地球儀で遊ぼう~緯線ルーレットゲーム~
- 2【方法】地球儀で学ぼう~都市間の距離を測定する~
- 3【方法】一筆書きで世界地図に挑戦!
- 4【習得】メルカトルの錯覚にだまされるな[方位]
- 5【習得】メルカトルの錯覚にだまされるな[面積]
- 6【習得】キルナの鉄鉱石の輸出港(北大西洋気候)
- 第3章 「世界の諸地域を知ろう」ウソ・ホント?授業
- 7【習得・活用】人口・面積から考える中国
- 8【習得・活用】インドの世紀はやってくるか?
- 9【活用】最大の農業国?~オランダ~
- 10【習得】クイズで知るアフリカ
- 11【習得】人口分布から考えるカナダ
- 12【活用】移民の多いカナダ
- 13【ミニネタ】あっと驚く! アマゾン川
- 14【習得・活用】動態的にオーストラリアを学ぶ
- 15【活用】オーストラリア! ビールVS自動車
- 第4章 へっ!そうだったんだ!「日本の姿」ウソ・ホント?授業
- 16【活用】考える「河川」の学習
- 17【ミニネタ】小・中学生がつくった地図記号
- 18【活用】2万5千分の1の地図から島の人口を考える
- 19【活用】市町村の合併はなぜおこなわれるの?
- 20【習得】シリコンアイランドの過去と現在(九州)
- 21【授業方法】沖縄へのアンケート調査から基地問題を(九州)
- 22【活用】島根って,昔から人口が少なかったの?(中国四国)
- 23【習得】うどん・みかん,つまものから考える四国(中国四国)
- 24【方法・活用】本州・四国連絡橋の果たす役割(中国四国)
- 25【ミニネタ】奈良市1位は日航ホテル?(近畿)
- 26【ミニネタ】琵琶湖の恵み
- 27【活用】近畿地方の人口増減から見えてくること(近畿)
- 28【活用】飛び地北山村から考える地域再生(近畿)~歴史と産業の変化から動態的に考える~
- 29【習得】農業生産額日本一の市町村は?(中部)
- 30【ミニネタ】でっかい北海道の寒い現実(北海道)
- 31【活用】人口を中核に北海道を考察する(北海道)
- 32【探究】すごい! ステキ! やさしい東大阪~2019年W杯で東大阪をアピールしよう~
- おわりに
はじめに
大人も子どもも両方が美味しいスパゲッティを作ることは可能だろうか?のっけから授業とは関係ない話だが,これは天海祐希主演のテレビドラマ『Chef~三つ星の給食~』の一話である。一流の料理人である光子(天海)は,親子給食会を開催し,親子で同じメニューのスパゲッティを提供し,両方に「美味しい」と言わしめた。プロの料理人の所以である。
教師は教えるプロであるから,勉強が苦手な生徒も,また得意な生徒も,同じ“メニュー”(教材)で,双方が意欲的で,しかも,わかる授業をつくることが大切である。そのためには“学力差”のない教材や発問,そして,討議課題が不可欠である。
「社会科の授業は,誰もが主人公になれる」。ある研究会での若手の先生の発言である。社会科は,教材や内容の工夫ですべての生徒が参加できる“学力差のない授業”が可能である。深い教材研究で臨んだ知的興奮のある授業では,子どもの目も輝いている。授業とは,いわゆる低学力の子どもも含めすべての生徒が参加し,思考・判断できるものでなくてはならない。
「主体的」「対話的」な「深い学び」が提唱されている。いわゆる「できない子」は,往々にして学習意欲がなく「非主体的」であり,話し合いにも参加せず「対話」も難しい。そこから「深い学び」などはとてもおぼつかない。しかし,意欲的に追究したい教材や授業改善により,ユニバーサルデザイン型授業が可能である。授業では一気に意欲を高める“すぐれネタ”がある。そのネタが単元のねらいと合致すれば,“わかる”授業へと転化する。“すぐれネタ”を開発し,授業に活かすことで,“学力差のない”授業が可能になる。すべての生徒の目が輝く授業をつくることは,プロである教師の責務であり,教える内容を子どもの目線で紐解く眼力が問われている。
2017年2月 /河原 和之
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