- はじめに
- 第1章 授業の腕をあげる3つのポイント
- 1 教師が授業を楽しもう
- 2 スキルを使ってみよう
- 3 意識して実践し,振り返ろう
- 第2章 授業の腕をあげる「ちょこっとスキル」60
- 「指示・説明」スキル
- 1 子どもを注目させる「黒板コツン」
- 2 指示・説明に緊張感を持たせる「1回しか言いませんよ」
- 3 聞く雰囲気を数値で伝える「良い耳メーター」
- 4 楽しく確認させる「指示・説明クイズ」
- 5 言葉を定着させる「ポイント復唱」
- 6 指示をいつでも確認させられる「指示の見える化」
- 7 目と耳で聞かせる「『体』話術」
- 8 指示した内容に目的を持たせる「価値の見える化」
- 「発問」スキル
- 9 突発的な発言も授業につなげる「なぜ?どうして?」
- 10 考えをつなげて深めさせる「どういうこと?」「何て言った?」
- 11 子どもと疑問を共有する「教師のとぼけ」
- 12 発問の効果を高める「ジェスチャー」
- 13 考える雰囲気を楽しくさせる「教師のワクワク感」
- 14 クイズ感覚で考えさせる「問題です!ジャジャン?」
- 15 子どもの思考を保障する「発問の後の間(ま)」
- 「話させる・対話させる」スキル
- 16 立場を決めさせる「ノートに○×を書く」
- 17 心を対話に向かわせる「よろしくお願いします」
- 18 相手の意見を大切にさせる「あいづちの練習」
- 19 相手の意見を受け入れ,反論させる「オブラート返し」
- 20 安心感を持って発表させる「発表の台本」
- 21 対話の前に練習させる「エアー説明」
- 22 子ども同士のやりとりを促す「教師の繰り返し禁止」
- 23 ねらいに沿った対話をさせる「オリジナル枕詞」
- 24 小黒板・画用紙を使わせる「考えの作戦基地」
- 25 気持ちを寄せて対話させる「頭の距離は心の距離」
- 「板書」スキル
- 26 考えを整理する「黒板のフォーマット」
- 27 子どもの目線で確認する「板書の構造」
- 28 意識すれば変わる「板書で美文字」
- 29 活用方法が広がる「チョークポキン」
- 30 一目でポイントを押さえる「オリジナルマーク」
- 31 子どもの意見で授業をつくる「黒板の開放」
- 32 書き込みながら説明できる「黒板にプロジェクター」
- 「ノート指導」スキル
- 33 パターン化させる「ノートのフォーマット」
- 34 思考を整理させる「線引きの多用」
- 35 思考の過程を残させる「消しゴムは使わない」
- 36 たくさん文章を書かせる「質より量」
- 37 ノートの質を向上させる「楽しく点数化」
- 38 子どもの考えを引き出す「ふきだし法の活用」
- 39 基礎学力を高める「学びの5ステップ」
- 「机間指導・立ち位置」スキル
- 40 子どもの動きを確認しやすい「教室の立ち位置」
- 41 子どものよさに近づく「立ち歩き」術
- 42 さりげなくヒントを与える「大きなつぶやき」
- 43 丸をたくさん付ける「ポケットに赤ペン」
- 44 白紙で教える「何でもヘルプカード」
- 45 教えながらスキンシップできる「子どもの鉛筆を借りる」
- 46 机間指導しながら組み立てる「授業作戦メモ」
- 47 子ども主体の空気をつくる「教師すみっこ計画」
- 「授業の手法」スキル
- 48 温かい雰囲気が生まれる「拍手の多用」
- 49 授業をよい雰囲気にする「天才丸付け!」
- 50 学習進度が一目でわかる「ネームプレートの活用」
- 51 考えの交流ができる「ミニ先生術」
- 52 子どもが自分で丸付けできる「教師用教科書の公開」
- 53 座学が苦手な子も安心できる「お散歩タイム」
- 54 より多くの考えに触れさせる「自由な立ち歩き」
- 55 対話的な学びを個人の学びにできる「振り返り」の仕方
- 「授業力UP」スキル
- 56 指導内容を整理する「今日のポイント」
- 57 1日の授業の見通しをもつための「教卓に教科書の山」
- 58 板書の技術を向上させるための「板書の撮影コレクション」
- 59 客観的に授業を振り返られる「授業の動画で反省」
- 60 自己満足で終わらせないための「ミニ授業公開」
- おわりに
はじめに
「授業が楽しいですか?」
私は,3年目頃まで,正直言って授業が苦痛でした。
毎日夜遅くまで授業を考えます。時には12時を回ることも……。
しかし次の日,待っているのは上手く流れない授業。
「昨日の努力はなんだったんだ?」
なかなか上手くいかず,落ち込む日々です。
研究授業はもちろんのこと,日々の授業を参観してもらったり,板書の写真や授業の動画を見直したりし,とにかく授業力の向上に努めました。
その中で,大きなことに気づいてしまったのです。
わかりやすい授業。それは,次の3つのポイントが大切だったのです。
@授業のねらい
A授業の指導内容
B授業者の伝え方の技術
私は今まで,@とAばかりにこだわっていました。しかし,どんなに「ねらい」を理解しても,「指導内容」を工夫しても,伝え方が上手くなければ授業は理解してもらえませんでした。「B授業者の伝え方の技術」に気づいてから授業が変わりました。子どもに伝えたいことが伝わるようになったのです。
メラビアンの法則をご存知でしょうか? 話し手が聞き手に与える影響力について研究され,提唱された法則です。人の行動が他人にどのように影響を及ぼすかという実験の結果から,
・言語情報(話の内容)…………………………7%
・聴覚情報(口調や話の速さ)…………………38%
・視覚情報(見た目・表情・動作など)………55%
ということが明らかになったそうです。言語情報だけでは,たったの7%しか伝えることができないのです。
つまり,指導のねらいや内容を追求する以外にもわかりやすい授業にするためのポイントがあるのです。
本書には,視覚や聴覚に訴える以外にも子どものモチベーションを上げたり,授業の準備や反省をしたり,子どものアウトプットを引き出したりする,知っているだけで誰でもできる「ちょこっとスキル」が満載です。
この,「ちょこっとスキル」を身に付けるだけで,授業者の伝えたかったことが,より確実に子どもに伝わるようになります。そうすると,子どもから,「先生の授業,わかりやすい!」とか,「今日の授業,楽しかった!」さらには,「先生のおかげで,勉強が好きになった!」なんて声が聞こえてくるようになります。教室に笑顔が増え,教師も授業が楽しくなります。
子どもも教師も授業が楽しくなる「ちょこっとスキル」を私たちと一緒に学んでみませんか?
本書は,読者のみなさんに,すぐに活用していただけるよう,次のようなページ構成になっております。
■こんなことありませんか?(授業の課題)
■スキルの使用例(具体的場面)
■画像(場面の解説)
■ちょこっとスキル(具体的な手立て)
■なんのためのスキル?(ねらい)
読者のみなさんが,一生懸命に考えた授業がより充実したものになるよう,少しでもお手伝いができたらと思っています。本書を通して一緒に学んでいきましょう。どうぞよろしくお願いいたします。
/橋 朋彦
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