- まえがき
- Chapter1 教育実習指導担当の心構え
- 1 楽しい教育実習になるように気配りをする
- 2 実習生が相談しやすい関係性をつくる
- 3 一人一人の個性ややりたいことに応じた指導を行う
- 4 他の教員・児童生徒とつなぐ
- 5 実習生と指導教員で一緒に授業や学級づくりを行う
- Chapter2 時系列でよく分かる 教育実習生受け入れ手続きのポイント
- 実習前
- 1 受け入れるための学校全体の体制をつくる
- 2 教育実習プログラムを作成する
- 3 実習生との信頼関係と児童生徒が受け入れる体制をつくる
- 4 事前の打ち合わせ会を行う
- 実習中
- 5 余裕あるカリキュラムを作成し,相談しやすいシステムをつくる
- 6 授業を見る視点について,早い時期に指導を行う
- 7 ミニ講座と研究授業の指導案づくりを行う
- 8 実習日誌の書き方を指導する
- 9 紹介式,お別れ式の準備を行う
- 実習後
- 10 評価票を作成し,成長が実感できる評価を行う
- Chapter3 場面別でよく分かる 教育実習生への指導・助言のポイント
- 事前準備
- 1 実習生が安心できる声掛けをする
- 2 研究授業への準備をする
- 3 実習の意義や留意点を説明する
- 実習初日
- 4 教職員や児童生徒との出会いの場をつくる
- 5 関係する教師・若い教師とのつながりをつくる
- 6 実習期間と1日の流れの見通しをもたせる
- 7 授業記録の書き方の指導と初日の振り返りを行う
- 指導案づくり
- 8 指導案の形式を指導する
- 9 教材研究の仕方を指導する
- 10 単元や本時の目標の書き方を指導する
- 11 教材観,児童生徒観の書き方を指導する
- 12 指導観の書き方を指導する
- 13 本時の展開の書き方を指導する
- 授業
- 14 効果的な授業形態の選択の方法を指導する
- 15 指導言(説明・発問・指示)について指導する
- 16 板書の仕方について指導する
- 17 効果的な情報機器や教具の活用について指導する
- 18 授業の評価の仕方について指導する
- 研究授業
- 19 研究授業までの授業計画を立てる
- 20 授業の中で困ったときの対応を指導する
- 21 授業研究会の行い方と留意点を指導する
- 学級経営
- 22 学級経営とは何かを指導する
- 23 子どもの捉え方と係活動を指導する
- 24 朝の会,帰りの会の仕方を指導する
- 25 掃除・給食の仕方を指導する
- 26 学級・学習のミニゲームの活用を指導する
- 学級事務
- 27 事務仕事について指導する
- 28 保護者対応について指導する
- 全日経営
- 29 全日経営で余裕のある時間割を工夫する
- 30 教育実習の評価について指導する
- お別れ会・アフターケア
- 31 子どもたちがつくるお別れ会の計画を指導する
- 32 実習のまとめを行う
- Chapter4 こんな時どうする? 教育実習困った場面のQ&A
- Q1 実習生が実習期間中に就職活動を行いたいと申し出てきたら?
- Q2 実習生が感染症に罹患し,実習ができなくなったら?
- Q3 児童生徒と関わるのが苦手な実習生へのサポートは?
- Q4 実習生の授業で,子どもが落ち着かなくなったら?
- Q5 実習生の頭髪・服装や言動などがふさわしくない場合の対応は?
- Q6 指導を素直に受け入れない実習生への指導は?
- Q7 実習中に児童生徒にけがをさせた,またはけがをした場合は?
- Q8 授業等で過度に緊張する実習生への指導は?
- Q9 実習生の体調管理にはどのような配慮が必要で,どう対処する?
- Q10 実習後,児童生徒との個人的なつながりが分かったら?
- Q11 実習生が教職に就く意思がなく実習に意欲がない場合は?
- Q12 部活動への参加で,授業づくりに支障が出ている場合は?
- Q13 実習生の授業をよりよいものにするには?
- Q14 児童生徒の顔写真,名簿等を渡す際に気をつけることは?
- Q15 実習生の授業を行う能力が著しく劣っている場合の対応は?
- Q16 実習生を遅くまで学校に残している指導教員への対処は?
- Q17 実習生に対するハラスメントにはどんなことがある?
- Q18 子どもとの距離が近すぎて,指導に支障がある場合は?
- Q19 給食や掃除などで,何も指導をしない実習生への対応は?
- Q20 パソコン等の扱いについて,注意すべきことは?
- Q21 実習生に指導しておきたい社会人のマナーは?
- Chapter5 実習生の心に響く 言葉かけ・おはなし集
- 1 楽しんで実習を進めようよ
- 2 未来に向かって「今」できることをがんばろう
- 3 子どもが自分の力でやりとげたと思えるように
- 4 どうしてうまくいかないかを考えよう
- 5 自分の作り上げた価値観に振り回されない
- 6 なかなか熱意をもって取り組めないときに
- 7 壁にぶつかった自分を認めよう
- 8 教師のやりがいとは
- 9 よき人生観の確立を
- 10 夢をもち,勇気を出して一歩前に進んでいこう
- 引用・参考文献一覧
まえがき
最初から残念な話で恐縮ですが,全国で教員採用試験の倍率が下がっている状況が起きています。しかし,データを見ると試験を受ける新規学卒者が減っているということではないらしく,先生になりたいという大学生はまだそれなりにいるらしいのです。こういった大学生にぜひ教職に就いてもらいたいと思います。教職に魅力をもってもらうためには,まず教育実習で教師の仕事の楽しさ,やりがいを感じてほしいと思います。そして,先生方が一生懸命に教育に取り組む様子を見て,「自分もこのような先生になりたい」という憧れをもってもらえると嬉しいです。教育実習の経験のもつ意味は,大きくなっているのではないかと思います。
今回,明治図書さんから「教育実習を引き受ける学校向けの本を書きませんか」という依頼を受けました。これまで教育実習に取り組む大学生向けの本は何冊か出版されていますが,教育実習を引き受ける学校向けの本はほとんどありませんでした。調べると,いくつかの教育委員会が教育実習の手引きを作成されていますが非常に少ないです。初任者指導の手引きは多くありましたので,そういった文書も参考にしました。また,教育実習を多く受けている学校ということで,以前附属小学校や附属中学校に勤務されていた知り合いの先生方に,いろいろと聞き取り調査をしました。最近の大学生の傾向も教えていただきました。また,最近の若い方々への話し方や接し方を勉強するために,ビジネス書もたくさん読みました。心理学やコーチングなども勉強しました。そういった中で,実習生との接し方で,次のようなことに留意して本書を書いていこうと思いました。
〇常識的なことを知らないことも多いので,分からないと思って,丁寧に説明したり教えたりする必要がある。
〇自分の方法論や考え方や押し付けるといけないので,なぜこの仕事が必要なのか,やるとどんなよいことがあるか,意義をしっかり伝える。
〇いろいろと決めるときは,コーチングの手法を生かし,自分の考えを言わず,聴くことと質問することで相手の気持ちを引き出していく。
〇決断に時間がかかっても,自分で決めさせる。
〇すべて任せずに指導教員と相談しながら一緒に作り上げていく。
〇サーバントリーダーシップを考える。指示や命令をするのではなく,話に耳を傾け,どうすれば役に立てるかを考えるようにする。
〇積極性が見えない実習生には,役割を与え「やらないと損をする」状態をつくる。
〇やるべき行動をなるべく細かくチャンクダウンし具体的な指示を出す。
〇周囲がやっているから,自分もやらなきゃという思いをもたせる。
〇なかなか新しいことに挑戦をしようとしないので,小さな行動を考え,第一歩を踏み出してもらう。
〇叱られることに慣れていないので,何かを指導したいときはアサーティブメソッド(相手を尊重しながら自分の意見や要望を伝えるコミュニケーション)を心がける。
〇おとなしくて真面目である。「認められたい」という欲求を根源的にもっているので,たくさん褒めるようにする。
Chapter1では,教育実習指導担当になったときの心構えについて書きました。Chapter2では,実習生を受け入れる際の手続きを書きました。大学や教育委員会によって書類の内容が違いますので,本書と比べながら使ってみてください。Chapter3では,実習生への指導・助言のポイントを書きました。できるだけ具体的に書いています。Chapter4は,様々なトラブルにどのように対応するかを書いています。最後のChapter5では,実習生に話をする際に役立つ話を載せました。実習生の指導を初めて受け持つ先生方,指導の仕方に悩んでいる先生方のお役に少しでも立てればありがたいです。
2024年3月 /橋本 慎也
-
- 明治図書
- 初めて教育実習生をもつにあたり、参考になりました。また参考文献も載っているため、これからそちらもあたってみようとおもいます。ありがとうございました。2024/5/920代・小学校教員