- はじめに
- こんな子がいるクラスに有効!UDチェックリスト
- 授業で陥りやすい失敗ポイント克服リスト
- こんな子に有効!合理的配慮チェックリスト
- 1章 基礎からわかる! ユニバーサルデザインのための子ども理解
- これだけはおさえておきたい支援・指導方針を決めるための基礎知識
- @支援・指導の前に考えたいこと
- Aユニバーサルデザイン(UD)とは
- B合理的配慮とは
- CUD・合理的配慮の目的分類と支援のチェックリスト
- 子ども理解のために知っておきたいキーワード
- @アセスメント−根拠に基づいて子どもを観察する
- A応用行動分析−原因・行動・結果をセットで考える
- B得意・不得意(凸凹)−脳の情報処理に注目する
- CPASS理論−情報処理過程の4つの枠組み
- プランニング−行動や問題解決を司る機能
- 注意−刺激に注意を向ける機能
- 同時処理・継次処理−関連付けと順序立ての機能
- Dワーキングメモリ−記憶を保管する
- Eセロトニン・ドーパミン・ノルアドレナリン−脳内神経伝達物質の関わり
- F視覚認知−視力とは異なる「見る力」
- 2章 子どものつまずきに対応! 通常の学級でできる支援・指導
- ユニバーサルデザインの観点から
- 【参加するための物的支援】
- @刺激の調節
- A視覚化
- B空間の構造化
- 【参加するための人的支援】
- @指示の明確化
- A授業のユニット展開
- Bプラスサイクル
- C脳内神経伝達物質への配慮
- 【力をつけるための物的支援】
- @板書の構造化
- Aプリント資料の構造化
- B教材選択・提示
- C思考の視覚化
- 【力をつけるための人的支援】
- @簡潔・具体的な説明
- A確認・追質問
- Bスキルトレーニング的指導
- 合理的配慮の観点から
- 【参加するための物的支援】
- @座席配置
- A刺激の調節
- B視覚化・構造化
- C時間・場所の確保
- D代替手段の提供
- 【参加するための人的支援】
- @個別対応
- A肯定的フィードバック
- B事前予告,リハーサル
- 【力をつけるための物的支援】
- @タイプ別指導法
- A代替手段の提供
- 【力をつけるための人的支援】
- @スモールステップ
- A意欲のデザイン
- 3章 ケースでわかる! アセスメント&支援・指導の実際
- 学級経営編
- @提出物がそろわない
- Aすぐに暴力をふるってしまう
- Bイライラを抑えられない
- C自己表現が苦手な子への関わり方
- D注意がそれやすい
- E計画的に取り組むのが苦手
- F思ったことをすぐ口に出してしまう
- 授業編
- @漢字が覚えられない
- A地図が読めない
- B九九ができない
- C発表するのが苦手
- D話を聞くのが苦手
- E議論するのが苦手
- おわりに
- 引用・参考文献一覧
はじめに
現在,特別支援教育に関するたくさんの実践例や方法が紹介されています。苦手さを抱える子どもたちに対しての関心が高まり,その方法が注目されていることは,とてもよいことです。
しかし,紹介されている支援方法を取り入れても,うまくいく場合といかない場合があります。その子のためを思ってやっていても,うまくいかない事例をたくさん見てきました。うまくいかない事例には,次の2つの共通点があります。
@子どもを十分に理解せずに,方法ばかりを考えている
「こんな方法があるから」,「このやり方がいいから」と,方法ばかりを取り入れても,うまくいきません。大切なことは,子どもの特性や状態,その行動の原因・背景を的確に捉えることです。これを,アセスメントといいます。どんなによい支援方法でも,子どもの実態やニーズに合わなければ,うまくいきません。子どもをよく理解し,根拠に基づく支援・指導を行うことが大切です。
A支援だけで,子どもの力をつけていない
「支援」というと,どうしても周りの環境を整備したり,教師の関わり方を工夫したり,という視点に重きが置かれがちです。
もちろん,その視点は大切です。しかし,私は子どものために力をつけるという視点を重視しています。そのため,本書で紹介するユニバーサルデザインや合理的配慮は,子どもが落ち着いて参加するためのものと,子どもに力をつけるためのものに分けて紹介しています。
本書は,次のような構成になっています。
1章は,2つの節から成ります。1節では,「そもそもユニバーサルデザインや合理的配慮とは何か」を解説し,それぞれの目的に合わせた支援・指導の分類表を載せています。2節では,本書で紹介する支援・指導の基礎となる考え方を解説しています。子ども理解の方法であるアセスメントの方法や,子どもを理解するための支援教育の理論などです。紙幅の都合で,2・3章で紹介する内容に関係する理論を中心に解説しており,すべてを網羅できていません。ご容赦ください。1章は,本書の中では,言わば「理論編」です。すぐに実践に役立てたい方は,2章からお読みいただいても構いません。
2章では,「落ち着いて参加する」,「子どもに力をつける」という,支援・指導の目的に合わせた分類表の項目ごとに,14のユニバーサルデザインと,12の合理的配慮のポイントと実践例を具体的に紹介しています。
3章では,学級経営で,授業で出会う様々な場面に対して,どのように支援・指導すればよいかを,合計13の場面ごとに具体的に解説しています。
また,4〜5ページ,8〜9ページには「ユニバーサルデザイン/合理的配慮のタイプ別索引」,6〜7ページには「授業での困った別索引」を載せています。「今,気になっているあの子に,どう対応すればよいか」,「授業のこの部分がうまくいかないが,どうすればよいか」という疑問から検索し,そこから読んでいただいても構いません。ぜひ,有効にご活用ください。
/梶谷 真弘
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- 明治図書
- 授業づくりや学級づくりのユニバーサルデザインを知る上で参考になった。2023/1/1830代・中学校教員
- 通常学級において配慮すべき点がよく分かりました2019/12/1440代・中学校教諭